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第86死 丘パのその後① 金ポデ: 社長:

 魔法の世界へと通じていたふるい木の壁から祈る静寂に黄金の艶めく髪を持つ美少女が飛び出して来た。とっとっと、着地したスニーカーはバランスを崩しながらも懐かしの光景に──


「ビルギット!!」


 受け止められ、抱きつかれている。彼女の部屋で待っていたのは同じ髪の色をした人物であった。


 わたすビギちゃんもこれは予想の範囲内で、あはは、ママならこうかなぁ…………いたい……。


 止まらずに抱き止められていた時はそろそろいいかなぁと動き出し。


「もうイタイヨ、ママ……迎えなんて栄枯とただのエンターテイんメントおおげさだよぉ」


「え、ビルギット!? あなたしゃべって!?」


「うーんなんか思い出した? のかなぁ。あはは、ただいま!!」


「ぐすっ……おがっずすおがえ……」


「あ、ガルバルディにパパまで! みんな栄枯観てたの!? わたす────」


 続々と彼女の元へと部屋のドアから出迎えに来ていた。するりと抜けた赤い愛猫のガルバルディに更に重なるように抱きしめにきた父親────。死のダンジョン生還祝いのこの街で1番のシュトーレンケーキを、白服を着たダンジョンオブデスオーガナイゼイションDODO(ドッツ)の職員が運んで来ている。予想以上のおおごと過ぎる状況に──


 ビルギットはすごく照れ笑っていた。




▼▼▼

▽▽▽




 この素晴らしく見飽きた景色を一望出来る部屋にもダンジョンはある。


 行ったときと帰ってきたトキ。その違いはこの部屋に差し込む光の色味だけである。


 こんなにも静かなものなのだな……。


「甘いシュトレンと紅茶のひとつでもあっていいものだ、これでもエスエフの社長で銀狼なのだがな……フッ」


 砂漠帰りの男は手荷物をガラスのローテーブルに置き。背伸びするのも忘れ、手早く黒い革製ソファーに捨て置いてあったスパホで電話を入れた。


『────はいこちら開発部のヤマダです。こんな時間になんですか社長』


「なんですかではない。さっそくシルファンカレーをフードスキャンⅣルナティックウルフにかけてくれ」


『失礼ですが社長さっそくの意味しってます?』


「君は社長の意味を知ってるかね開発部ヤマダくん、すぐに私がそちらへ向かう」


『えっと社長直々なんてみんな迷惑ですけど』


「ただの食品会社社長にそこまでの威厳はない既に何度も来ているだろう、それにそこに勝手に寝泊まりしているのは君だけだろうに。さぁ丘梨栄枯くんのシルファンカレーだ!」


『え、アレ? 本当に社長だったんですか!?』


「さすがに多少の見た目の変化があっても自分の家の社長ならば気付くだろうギャグにしても笑えないぞ、そこで首と分析機を洗って待っていろ」


『クビの代わりに入念にもう一度床のゴミ拾いをしておきます! 転んではいけませんエスエフの社長なので!』


「さすがエスエフ社員食品を扱ういい心掛けだ! さぁ、シルファンカレーだ!」


 渋い顔にのせるニヤけが止まらない。楽しみにしていた新作ゲームソフトのパッケージでも持ち帰りその道中をお楽しみのようだ。


 男はみどりパジャマのまま商品開発部へと車をトバし向かった。

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