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第82死 俺たちのカレー

▼第3死雪な降らないな街▼


 スタート地点のオアシスの前、ブルーシートの陣の上で新しくなったホットプレートを温めていく。


「はいはじまっておりますべらぼぅにつづいております、丘梨栄枯の生吐い信ですよ」


「では何を焼きましょうか」




ぼこ:はいはじま


ぼこ:↑チンキス!


ぼこ:出たわはじまりの栄枯


ぼこ:はじまり(おわり)


ぼこ:こいつ最後まで成長しないな


ぼこ:してるよ


ぼこ:貧乳ノッポだからね


ぼこ:↑チンキス


ぼこ:この1パターンしかない模様


ぼこ:何もない俺よりえらいよ


ぼこ:量より質、栄枯です。


ぼこ:ではナニを焼きましょうか


ぼこ:ではの意味がわからんねんけど


ぼこ:焼いてくれるのかいおねえさん?


ぼこ:↑ええ、ひじょうに


ぼこ:ちくわ


ぼこ:チーズ


ぼこ:肉塊


ぼこ:焼肉モンスター


ぼこ:ポイズンスパイダーボム13


ぼこ:栄枯が焼くならなんでも


ぼこ:栄枯スペシャル


ぼこ:全面焼き


ぼこ:お湯


ぼこ:↑チンキス




 黒いトートバッグから取り出した見覚えのある黒いあのパッケージ。右手で、バーンと、キャッチャーミットに収めた長方形をAI カメラはアップで収めながら引いていく。


「ええ、焼かないでくださいシルファンカレーですよ」


 クールなお姉さんのみせた微笑み、そして爽やかで華やかな静止画に死鳥舎様からのぼこが加速していく。


 丘パのメンバーがリーダーの吐い信を生で見ながら笑う中、この男だけは驚き訝しみを深め笑ってはいなかった。


 渋いフェイスの眼光は鋭くそのパッケージと栄枯の横顔を斜め見、前のめりになっていく。


 様子のおかしなその男の視線にすぐに気付いた丘梨であったが、すでにその男はどもるトーンを上ずらせ口を開いていた。


「しゅすまない丘梨くんその黒いパッケージは」


「はい最後に皆さんと食べたくて取っておいたシルファンカレーですよ、少し突然の雷に打たれた」


「すまない5分! いや1分だけカメラを止めてくれ!!」




▼▼▼

▽▽▽




「はいはじまっておりますべらぼぅに続いております、丘梨栄枯の最後の晩餐」


「シュトーレン&電子小松菜の味噌汁」




ぼこ:待て


ぼこ:ちょっと待ちましょうか


ぼこ:なぞのスリープモード


ぼこ:空白の3分間


ぼこ:時間の概念が死んでた気がする


ぼこ:おそろしいほどのスムージーな進行


ぼこ:何やら裏の取引があったようで


ぼこ:丘梨栄枯と失われたカレー


ぼこ:↑これこれのタイトルなんだってな


ぼこ:カレー泥棒


ぼこ:ガチのミステリー


ぼこ:え恐怖


ぼこ:銀狼大暴れ


ぼこ:さすがに察した


ぼこ:なんやねん……


ぼこ:謎の圧力がかかった模様


ぼこ:これはイケナイ権力の行使


ぼこ:これだからぼんぼんは


ぼこ:丘梨取り込まれる


ぼこ:丘梨からカレーを奪うなんて相当だぞ


ぼこ:下手すりゃ殺される所業


ぼこ:カネか?


ぼこ:大人同士の汚ねぇ部分


ぼこ:カレー権力行使


ぼこ:カレーは甘くねぇ、大人も子供もな


ぼこ:↑心の丘梨栄枯出てんぞ


ぼこ:傭兵銀狼を雇った報酬だったもよう


ぼこ:あっさり命より大事なシルファンカレーを明け渡す栄枯がこわい


ぼこ:おまえらの察しの悪さも怖いよ


ぼこ:俺たちの栄枯が……


ぼこ:俺たちのカレーが……!


ぼこ:メニューが質素になった模様


ぼこ:↑シュトレン!


ぼこ:最後の晩餐がこれでいいのか


ぼこ:まぁこういうのが一番ありがたいんよ


ぼこ:たしかに電子小松菜の味噌汁はありがたいよな


ぼこ:電子小松菜は上品なミソスープになるからな


ぼこ:電子小松菜がまずこの世にないんだわ


ぼこ:ダンジョンにも小松菜はあるんだなって


ぼこ:たぶんダンジョン史上初の電子小松菜やろな


ぼこ:無限シュトーレンもな


ぼこ:↑シュトレン!


ぼこ:お母さん


ぼこ:↑チンキス!




 にやけている、その男は渋い顔にのせるニヤケが止まらないようだ。男の部下からとんでもない情報が耳に入り、ここ最近べらぼぅに気にかけていた吐い信者丘梨栄枯の戦いに寝起きの飛び入りで救援に向かい奮闘、結果的に目的のブツを手に入れることに成功した。


 その男を少し、見る目が尊敬と畏れ多いものに変わってしまったようだが裏の取引を終えた栄枯だけはクールなフェイスで通常進行。フライパンに水を汲み、ホットプレートの上に乗せて湯沸きを待つダンジョンスタイルを選び。その横のスペースでシュトーレンを焼いていく。


 カレーでガッツリ〆るつもりが、栄枯の気の利くアドリブでゆっくりスローに、イージーなあたたかい食事で丘パは最後の晩餐を迎えることになった。シュトーレンをつまみ食いしたり積もる話を死鳥舎様と談笑しながら──消化しながら。

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