第79死 ラストバトル!❶
もはや不可能と思われた死人が生き返り栄枯たち3人の元へと戻ってきた、感動の再会というよりは次々と変わる状況の整理を──
「たぶん……表と裏なんかシミュレーションゲームの地上と宇宙マップステージみたいになってはぐれていたみたいすね、救援に来たギンロウさんと抜け穴を探していました!」
「なるほど……では救援のカードが正しく機能したそちらの砂漠ステージが正常でここが全くの模しただけの別世界の宇宙バグで私たちの方があの世にいたようですね、ふふ、ええ」
「えっとみたいすね! ほんとまたみんなに合流出来て良かったです! あでも造雪」
《ホップしんだおもてたよ!》
「ははすみませんギリギリなんとか生き残れました……スナイパーが」
「にしてもラスボスに間に合わせるたぁタイミングが悪いし良いぜホトプレェ」
「ナイトさ……悪い?」
「なんにしても間に合って良かった、丘梨くん君達も今のうちにシールドを回復して息を整えておくといい。私があの妙なモノを見張っておこう」
「ええ、とりあえずカードと状況を整理しつつ────」
ぼこ:なんかこいつら早口で納得してるけど意味不明
ぼこ:急に何説明してんだ
ぼこ:露骨な説明セリフ
ぼこ:説明されてもわからんちん
ぼこ:電波の飛ばし合い
ぼこ:やっぱこれだね栄枯節
ぼこ:ホトプレ節では
ぼこ:MMOなホトプレくんもたいがいおかしいからな
ぼこ:急にダンジョンから宇宙まで飛んだな
ぼこ:なんてことないの!
ぼこ:長文夫妻ふたたび
ぼこ:おまえらほんま細かいとこ好きやな、小姑か
ぼこ:説明台詞ほど手早く状況を説明できるものはねんだよ。命懸けのバトル中なら尚更な
ぼこ:↑へぇ賢い、でもキミはそこで見てるだけだよね
ぼこ:↑ナンセンスですよひじょうに、ええ
ぼこ:おまえらの病気最後まで治らんのか
ぼこ:栄枯さん(31)の言葉をこねくり回すのが大好き、死鳥舎です!
ぼこ:栄枯が居なくなった後のおまえらが心配ですよ
ぼこ:栄枯は不滅!
ぼこ:命懸けの割には長々としゃべる余裕が
ぼこ:↑チンキス
ぼこ:まぁこのパーティー全部おまえらなんだけどな
ぼこ:栄枯はおまえらより理解が早いからな
ぼこ:分かったふりが得意な栄枯さん
ぼこ:まぁ意味わからんって言ってる場合じゃないのはわかる
ぼこ:てかしゃべってる間に元の場所に逃げろ
「ホトプレの帰還はうれしいが白いタラバガニはどうするんだ栄枯、脚一本であのパワーだぜぇ……」
《元のサバクにぬけみちで逃げれないのホップ!》
「それは……すみません全く考えてなか……分からないすね……なんか差異を埋めるためかランダムに飛ばされたみたいで。銀狼さんと見つけた黒い亀裂に落ちたらここに来てました……ごめんなさいッ俺のミスです! あっ! ドローンに探索させますか!?」
「いえ、どうやらそういうことでもなさそうなので、私たちも散々目を凝らして出口を探しました宇宙に上がれてもミッションを達成しない限り地球には降りられないという……データ的に推測ができます」
「ヘマをしたのは私もだ、すまない急いでいたものでな。だが見つからない非常口より非現実だが現実的にアレの対処を考えるべきではないか? どう思う丘梨くんそのミッションとやらは」
「ええ、銀狼様のおっしゃる通り。どうもアレは私をここに閉じ込めて嬲り殺したい、そんなべらぼぅな意志を感じます」
《栄枯ばっかが狙われてたね》
「俺らは雑魚扱いかぁ、ひゅー」
「栄枯さんなんか仕掛けて来ないとおもったら再生してますね……あいつ」
スーパードローンのカメラはその細部をズームアップし映像に捉えている。
うねうねと蠢きながら和紙の繊維のように複雑な迷宮が絡まり合い伸びてカタチを成していく。白龍の内部迷宮に棲まう小さな白い蜘蛛たちがよく働き再生の補助をしている。
「仕掛けるか栄枯ぉ? 古参ナイト的にはちぃとばかしゾンビ相手にゃ火力が心配だぜぇ」
《わたすもイチゲキボムだれか持ってない? アレなら避けれなくテモチートでたたかえるっ!》
「むこうは脚一本で舐めプするぐらい余裕ということでしょう不用意に近づき刺激するのは危険ですッ……ですが……時間を稼いでもらえれば少々クールタイム的なものがありますが再生を上回る必殺のイチゲキで仕留める自信があります、LRメガバズーカよりも強力なスキルで!」
グッとツヨく握りしめた右手の甲を見せつけた星色の瞳に──反論する者などいなかった。もう何度も彼女のその強い意志に従うのが当然でそれが1番良いと知っているパーティーメンバー。耳を突き抜けて残るクールでメラメラなリーダーであり吐い信者の言葉。
《カクスダマ!? わかったよ栄枯! 信じてるよ栄枯!》
「ひゅー、古参ナイト的にも100理ある栄枯教を信じてるぜ!」
「俺はいつでもイケます栄枯さん! いつもみたいに指示してください!」
「ハハ、部下からの絶対的な信頼を感じるな。ナラ露払いなら任せてくれたまえ丘梨くん! さっきの程度なら脚の一本や二本この銀狼遅れは取らない!」
「……ええでは、もう十分に喋りました迷っている暇はいりません各々適当に無防備な私を援護!」
握られた拳をパッと咲き開かせた丘梨栄枯、妖しく強い微笑みで4人に命令をパパッと下した。
いつも通りの振る舞いの吐い信者を見て4人各々も死鳥舎たちにも笑みがこぼれ不思議とチカラが湧き上がる。
「はははひゅー、そうじゃないとな丘梨栄枯!」
《ラストバトルも栄枯を援護ォォーーっ!》
「イチゲキボム俺ありましたよ金ポデさん! これ!」
《ホップ愛してるそれをヨコシテ!!》
「え愛し……スーパードローンありますか? 俺に回してください! 栄枯さんにアレを近寄らせません!」
《あるよチートホップ!》
「あるぜぇ寵愛チート! 美少女だけじゃなく俺にもその使わない金平糖をヨコセ!」
「私も古いカードパックならまだまだあるぞ! 最低限の準備はして来た、前衛と後衛で好きに使ってくれ。新参者の私は邪魔にならないよう自由に守らせてもらうぞ丘梨くんたち!」
「ひゅー社長! 古参ナイト的にべらぼぅにありがたい立ち回りだぜぇ!」
4人は指示もなく独自に判断しカードを手早く交換していく、役割を分担し栄枯を援護するために宙に散らしたカードをMMOのリストで種類分けて。得意なカード、自分は使わないカード、有効なカードを熟考選別していく。
そんな4人を見守った彼女は、三度ほど片手で両目をゆっくりともみほぐし、忘れていた最後の準備を完了しその星色の鋭く美しい造形である瞳をリアルへと、ふたたび満開に咲かせた。
「ええ、では各々べらぼぅに任せます私に指一本触れさせないでください、イキマス!」
「幻闘シミュレーター、ポイントリアル展開!」
アツく叫び──彼女の長身の頭の先から足元から黒い砂漠に広がるエメラルド色のグリッドライン。仙人様から学び譲り受けた幻闘シミュレーターを周囲の限定的範囲に展開した。
もうひとつの秘蔵のスキルは既に発動している。
その右手にノセられたちいさな一つの実を、つよく。