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第72死 青年VSスナイパー

──MMO──

ホップ:ここはコピペした天国? どこですか! 俺が死んだのなら栄枯さんたちはどこです!


スナイパー:戦闘中に敵に何を言っているラストピース


ホップ:冷静に考えたら今までに戦闘中喋る敵なんていませんよッそれにホットプレート相手に狙撃なんてこの遊びはアンフェアだ!


スナイパー:私が遊びでやっているというのかそれはワラえるな


ホップ:MOTHER AIか何か知りませんけど死のダンジョンが試していたんでしょ栄枯さんを! 試作したマークツーなんて寄越したりカードデッキ枚数を40にアップデートしたり狙撃したり


スナイパー:私はただのモンスターだ、マークツーなど知らない本来キミたちと喋る必要はない


ホップ:死のダンジョンの関係者AIなら遊んでないで脱線した俺を栄枯さんのところに戻してください! 本来のルールってあるでしょ機工知能(きこうちのう)で確認し直してください!


スナイパー:それは出来ない死のダンジョンただではな撃つぞ




 戦いの最中の敵と敵の通信チャットは終了した。


 たまに外れる黒い狙撃に。


 首輪をブッ刺した鹿を砂地に引きずりながら彼方へと垂れ流す白い閃光。


「……連射力が違い過ぎるってェそれにこんなに段階式の大掛かりじゃいくら出力があってもこっちの攻撃タイミングがバレバレで当たらない! 兵器と、ホットプレートの限界だ!」


 重鈍なホットプレートがメインウェポンでは黒線に容易に捕まる。しかし青年はスナイパーとのチャットの最中にちゃっかりと【R】眠れない錠剤1day【LR】ヒールショートスリーパーインジェクションの栄枯の幻闘でシミュレーションしたコンボで電子保護シールドを回復していた。


 敵に対して何かになりきり無駄に遊ぶくらいだ、あのおそらくMOTHERから逸脱成熟した機工知能AIの機人に近付かないと。


「死のダンジョンが先をゆく電子ナラッ! 大学で習う抑制協調的AIの未来とは違ってるって! 人を狙い撃たないでくださいってェェ」




──MMO──


スナイパー:人は特別であり特別ではない死のダンジョンならな


ホップ:ココロあるAIならやめてください! 俺が死んじゃいます!


スナイパー:電子と人類に境などないだから狙い撃てる


ホップ:人との会話をしてください!


スナイパー:今しているッ舌を噛むぞ




 青年が幾度も取り替え引きずっていた鹿は黒く撃ち抜かれ、スナイパーに対し同じようなやり方が通用しなくなってきていた。


 クソッやっぱそうなるよねッ! 遠距離合戦でネタの割れたホットプレートなんかじゃ絶対に勝てないアイツが遊んでいるうちに──


 補充分を合わせて持てる手札での最高のイチゲキで仕留めるそれしかない。…………っ、食材……アレなら。


 電子保護シールドの残量は38%の危険水域。回復カードはクールタイムが長い、可能性は既に仕掛けている、ここは──逆転の手札。


「すみません栄枯さん今がその時使います」


 突如、砂漠の上に黒い雷が落ちた。切ったのは【LR】ブラックサンダーのカード。もしもの時のため栄枯が青年に持たせていたカードであり後で効率良く使う予定のカードであった。




──MMO──


ホップ:【SR】カットビンポリン


ホップ:【LR】ブラックサンダー


ホップ:【LR】クッキングマスター(黒)




 青年は黒線に対してプレートを構えながらポイントに向けて横走る。


 小高い丘陵の死角に既に仕掛けていたトランポリンを踏み張り伸び切った膜が天へと青年とホットプレートを押し返した。


 【SR】カットビンポリンはよく跳ぶトランポリン、黒い狙撃をも下にかわしてはるか上へと突き抜けていく。天を見上げる紙ライフルの銃口に──




──MMO──


ホップ:【UR】パーティーシルド(黒)




「さっきからチラチラこうしろってことでしょ!」

「AIでも機械でもたらふくを喰らえ!」


 【UR】パーティーシルド(黒)でスナイパーがナメてか放置していたスーパードローンの付近へと瞬間移動。


 突然に宙から舞い降り続ける青年を検討違いの銃口を向けていたスナイパーが気付き振り向く間にも──MMOが整頓した数多のカードはヤケクソに切られた。


 ブラックな食材カード電子アスパラのミサイルは発射され、エノキショットガンが突き刺さる、爆弾トマトやポイズンピーマンその他のイカれた食材はプレートに乗せ振り払い次々と無限に射出された。


 食材カードのクールタイムはゼロ。【LR】クッキングマスター(黒)で30分間3.0倍に跳ね上がった食材の威力を、全弾全カードプレートに込めて発射。


 急襲に対し反撃を諦めたかろやかなスナイパーのステップさえブラックなデタラメ爆撃に呑まれていく。


 狙い通りに爆撃し、地に舞い降り召喚した焼き肉モンスターにエネルギープラグを繋ぐ。吸い取った電子エネルギーは出力する白い閃光になり、黒の中にある白い土手っ腹を撃ち抜いた。


 青年の思考したチェックメイトのイチゲキが突き抜けた──だが折り紙体は破れ自壊、鋭い射撃ビームを受ける直前で体を上下に分離し回避。さらに長いライフルは二つに分かれ高速で折り直されて両手に持った二丁ショートライフルで反撃の射撃。


 未来でも見えていたのかトリッキーな攻撃をプレートは反射的に受け止めるが身体へと肩へと突き刺さる黒い弾丸の数々。手を出し尽くし、電子保護シールド残量は15%を切っている。


「畜生こっちは遊びじゃないって!」


 下していた命令は俺を助けろ! 背後に舞い降りた──ベージュ色のスーパードローンは後ろ手に協力し接続されたホットプレートのプラグ、ちいさな体からの膨大なエネルギー補給から超速の出力。


 チカッと、どころではなく眩く辺り前方を黒を、塗り潰すように消し去った。


 いつまでもサン乱乱射する白い閃光がスベテを撃ち抜き。


 みずいろのカッターシャツの背の前に咲き誇った砂漠の華は激しく燃え上がり白く燃え尽きて──


 ひらりと舞い降りたカウボーイハット。と、ぽすり突き刺さった紙のライフル。残されていた1機のスーパードローンは白煙を上げながら電子の藻屑へと消えてその役目を果たした。




「ハァハァッ…………これは兵器……最初からこうすればよかった……」



 縦に構えたホットプレートをがしゃりと手放し砂地に置き。


「ほんとうに遊んでいたのか……さいごまで……」


 吹き抜けるそよ風になびく紙を眠たくて眠れないダークガーネットの瞳で見つめ──カゼに飛ばされていく──いやライフルを回収し折り込む──そしてまた飛んでいく。


 カウボーイハットが鳥となり空を舞い踊るように銃口の首を向け目を見開くこちらに──掠めて過ぎ去っていった。




──MMO──


スナイパー:まんぷくだ遠くちかいパーティー会場でまた会おうラストピースたち


スナイパー:それとカードは全てみえていた良いゲームにしようホップ




「はぁはぁッハァハァァァッ…………カードはスベテ……なんだったんだあのAIは……」




 突如の事態に銃口を向けられどたりと思わず尻餅をついてしまった。静寂を得た辺りをぐるりと見渡し荒げる息をととのえて──



「訳わからないけど……ありがとう栄枯さん……」


「ってそんな場合じゃ栄枯さんたちを。……でももううごけない……栄枯さんなら……ちょっと、だけ休憩──」



 汗まみれの身体、もはや心地よい熱砂の上で大の字。窮地を救ったブラックでクールなホットプレートをとなりに──青年VSスナイパーの激闘はMMOで投げかけ語り合いシンプルではない勝利の後味を分かち合った。

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