第71死 スナイパー:
あり得ない規模の予期せぬナニカが爆発……ミエている黒に呑まれて死んだ、そして【LR】絶対防御1.0秒と自・ホトプス、死ぬ前に出来るだけの手札を切ったならば。
「────っ痛ぇ…………なにが」
目の前には変わらぬ砂漠。ヤケに熱い……アツすぎる、プレートだけでなく身体中が白煙を垂れ流しその威力の跡を垂れ流すように、無理矢理のクールダウン。
耐えられない──発動した【SR】シャワーカード、地獄のシャワーユニットの強い水砲でその熱気を冷却し、なぜか燃え尽きていない無傷チグハグな濡れた服で──
MMOには……俺1人しかいない。
「栄枯さんたちは……どこに……」
ここは……天国? にしてはさっきと同じケシキ……。
チカッ、と。心臓を狙ったのか──その光に身体と構えたプレートは反応した。
「ほんとうにスナイパー!?」
シャワーユニットのパイプはグデグデに溶け出し折れ電子の藻屑へと失せる──反射的に構えた盾がヒドク3度焼けて受け取る。
──MMO──
ホップ:【SR】身体能力UP1.1倍
「とりあえずこれでっ!」
黒いレーザーの弾丸に仰け反った身体でなんとか立て直しをはかり、撃たれた方角を見据えながらその場から退散する。
プレートを構えながら足の出やすい左へと移動したが、出てきたのは。
「スナイパーに雑魚のおともまでっ!」
急にわいてきた砂漠の鹿をプレートの重い旋風を起こしながら薙ぎ払い倒していきその大振りに合わせた隙を狙われて──もろに身体に直撃し減っていく電子保護シールド残量に焦燥しながらも遅れて二撃三撃目を防ぐ。
「畜生死んじゃうってェェ!! AIカメラはズルして位置を割り出せないのなら……! 俺が栄枯さんみたいにやるしかないのかッ死のダンジョンは!」
──MMO──
ホップ:【LR】スーパードローン
「こっちにも切り札の準備はあるって! たのむっ!」
だいたいの位置を把握し宙に召喚し命令、羽音のしない7機七色のカラフルスーパーなドローンは乱雑な隊列で飛び進みこそこそしているスナイパーの位置を割り出すために。
天に伸びる黒線に、何機か回避できずに撃ち落とされているのが確認出来る。だが、仲間の撃墜すらも有効活用──スーパードローンはマップに指し示すその明確で詳細過ぎるリアルタイムな情報を。
青年はただ闇雲に砂漠の鹿や虫をただ倒していたわけではない。【UR】パラライズネットMarkⅡは発動者の周囲に蜘蛛の巣のフィールドを展開されて残していた鹿を絡め取る。
「吸・ホトプスっ」
「ぅ出・ホトプスッ!!」
一瞬の白い線が狙うは、透明人間でありスーパードローンには見えている。手応えは分からないが届いている。
次々と捕らえたエネルギータンクを消費しながら、熱されたプレートから白光し大出力の連射が砂漠の彼方を狙って斬り裂く。
────砂漠に咲かせた白い花が枯れた頃に、透明の衣装が剥がれ見えてきたのは黒ではなく──白い折り紙のような人型、折り紙のライフルを持ち、白いカウボーイハットを脱ぎ──お辞儀をした。
スーパードローンはそんな映像をズル出来ないAIカメラに代わり映し出している。
敵の正体が分かった、でも青年の表情はずっと苦いままであり反応がみえたMMOのチャット欄に反射的に目を向けた。
──MMO──
栄枯:頑丈だなスーパードローン懐かしのラストピースを使いもう一度黒い戦争をしたいのか
ホップ:栄枯さん!? ナニをしゃべって!? 俺は今元の砂漠ですけど今どこにいますか!?
スナイパー:すべて冗談だラストピース
スナイパー:今はそのチカラでこのバトルを楽しませてくれるのだろう
スナイパー:ただ戦うだけではなくMMOとはワラえる面白いことを考えるここまでスル気はなかったが気が変わった
スナイパー:これは久々の手始めだ
そのながながとしゃべりつづけたスナイパー、栄枯ではなくスナイパー。
訳の分からない言動が青年のMMOに刻まれ。唖然と口をあけ押し黙るしかなかった。
「スナイパーがしゃべって……これは……意味が分からない!!」
宙に浮くビジョン、別画面のカメラには構え──スーパードローンのカメラに向けた紙のライフルの銃口が見えている。
白いスナイパーは天のカメラを撃ち抜く事なく前方へと構えた。
砂漠の上に黒い線が引かれていく、貫かれたその位置にはもう居ない。青年は走り出し。
「やっぱりここは死のダンジョンの天国なのか!? それで俺はッ死んでもスナイパーに狙われてる!!」
正気の事が起こってくれない。ならば正気ではいられない。死んでしまったと仮定し興奮し思い込む青年と、透明が壊れ姿を現した謎の白いスナイパーとのバトルが始まった。