第55死 バトルリーダー、丘梨栄枯
すっかり忘れていた魔法瓶に保存していた電子アスパラガスのミネストローネとRしょぼいお米の軽食を済ませ。
時刻は午後12時27分。
青年がスパホで作ったUIをぼこぼこチューブとAI栄枯に馴染ませて丘梨栄枯パーティーのMMOの仮の調整を終えた。
「では、一度これで実戦に出ましょう」
《ワクワクっ! しつきたっ!》
「はい!」
AI栄枯:【基礎バトルモード】
MMOの基礎となるバトルモード。死のダンジョン内ではノーマルモード、リラックスモード、クッキングモード、スリープモード、ぼやきモードなどの日常モードとダンジョン探索モンスターとの戦闘に使うバトルモードの切り替え式を採用する事にした。
基礎バトルモードのUIには味方の電子保護シールドの残量、死鳥舎AI栄枯からの有益なアドバイスの表示などがある。そして丘梨栄枯、金ポデ、ホトプレ個性に富んだ仲間たちはそれぞれが使いやすいように基礎バトルモードをカスタムすることでより個人にあったMMOのUIをつくることにした。
丘梨栄枯考案バトルモード改善案
【栄枯専用バトルリーダーモード】
常に3人の手札を把握検索出来るライブラリー機能を追加。遠距離カード能力UP系カードなど大まかな種類分けをすることで所持カードの整頓把握が今までよりも容易となる。各々の使ったカードは表示されクールタイムも分かるものは秒数表示、第6感的直感体感的ではなくなる。これまで以上に高速の連携と場所を選ばず作戦を立てパーティーでのカードコンボを成す事が可能だ。
パーティーへの指示はどこへいても半透明の作戦チャット欄に届く。昔ながらのMMO仕様。
だが、これらを全て管理しながら戦うのはひじょうにべらぼぅに難しいそれこそ冷静クールなみんなのお姉さん的パーティーリーダー丘梨栄枯(31)のベテランにしか出来ない芸当であろう。
金ポデ考案バトルモード改善案
【視覚バイブレーションアラートマップ】
味方以外のダンジョン環境内の様々な音の変化をAIカメラに拾い上げさせ視覚的な波で表示し敵の接近や攻撃の危険を知らせる。
ミニマップには敵と味方を識別、自分との位置関係を簡易表示することで苦手な乱戦をサポート。
【ウェポンバイブレーション】
これまでよりも分かりやすく。敵に攻撃が当たった手応えを振動として黒警棒にながし金ポデに伝えることでインファイトの戦いをよりハッキリとした感覚を持って自信を持ち臨めるようになる。
ぼこ:こいつらは何をやってんのや?
ぼこ:MMO
ぼこ:遊びでやってんじゃないよ!
ぼこ:ワクワクしつきたろ?
ぼこ:ええやんかっこええやん
ぼこ:やりたい放題ですな
ぼこ:急にそんなことやられても困る
ぼこ:さすが栄枯姐さん
ぼこ:情報過多でしぬぞ(31)
ぼこ:バトルリーダー、丘梨栄枯
ぼこ:↑すぐ打ち切りになりそう
ぼこ:アップグレードしすぎやろ
ぼこ:もはや聴覚障害関係ないじゃん
ぼこ:栄枯のためのMMO
ぼこ:ごちゃごちゃやってないでさっさと行ってこい!
▼▼▼
▽▽▽
MMOの試験運用実験のためスタート地点のオアシスを発った丘梨栄枯パーティーは砂の通路を進み、大部屋へと入るや否やさっそく出くわした未知のモンスターたち。
MMOはすでにバトルモードに切り替わっており熱砂の戦闘は始まっていた。
AI栄枯:丘梨栄枯パーティーの戦闘データからモンスターを仮称、特徴を分析。
①仮称サンドランナー(鹿)
・鹿ですね
・砂漠の鹿ですね
・五角形の砂地ポイントを作り突進またはスライディングする技に注意です。
②仮称サンドマン
・砂の棒人間
・人間なので狡猾です
・泥団子や砂の玉、砂を投げてくるので目をやられないように注意です、ええ、ひじょうに。
「チンキス!」
栄枯は生成された砂のホームベース上にわざと立ち砂の上を走り突っ込んで来たサンドランナーをタイミングよくチンキス斬りで固めてブラック包丁で斬り刻むプレイで大技を仕掛けた相手を返り討ちにする相性の良さと上手さを見せる。
なおも突っ込んで来るサンドランナーの群れを金ポデと手を合わせ確実にその数を減らしていく。
丘陵から狡猾に身を隠しながらサンドマンが投げる遠距離射撃泥団子には。
「自・ホトプス【Rジャストガード】!!」
この男が対応。愛用のホットプレートとお気に入りのみずいろカッターシャツが泥だらけとなり少し苦い顔を浮かべてしまう。
《わたしサンドマンたおつよ栄枯》
「ええ!」
密となり向かってくるサンドランナー(鹿)の群れを狩っていた丘梨栄枯パーティーは次の段階へと移った。
金ポデはそう栄枯に告げると単独で丘陵を目指し突貫していき、カードを切る。
─MMO─
金ポデ:【SR】身体能力UP1.1倍60秒
栄枯:【SR】シルフブレード付与
ホップ:【R】トランポリン
言葉は発していない、栄枯とホップがサンドランナーを抑える中MMOの作戦チャットには金ポデの切ったカードが表示されそれに合わせて各々は思考しカードを切っていった。
身体能力UP1.1倍と持ち前の運動神経を活かし熱砂を駆ける、栄枯から金ポデへと付与された風は黒い警棒に纏い、駆ける先に現れた謎のトランポリンはホップが用意したものだ。
すべてを把握していた金ポデはジャンプでトランポリンの中心に乗り、弛み張った布が金ポデのスニーカーを押し返し大ジャンプを成した。
金のポニーテールを揺らし丘陵を飛び越えた。
目下には、砂を固めて積んでいくせっせとコソコソと次弾を用意しているヤツらがいる。ここで更なるカードを切る。
【R】急降下
使いどころの無さそうなカードは切られ、舞い上がった金髪美少女は、激しく砂の兜をカチ割りながら急降下。
斬殺した一体、砂塵は舞い散り、せっせとこしらえた泥団子を無惨にも破壊しながら風の刃を発動。
黒い警棒を振るうだけで発生する栄枯から受け取った風の刃は飛び砂人形の身体を両断していく。
シルフブレードの風の斬弾は10。10回分のエネルギーを使い切りサンドマンを急襲蹂躙し、やがて壊滅。厄介な敵のいる丘陵の制圧に成功した。
すぐに栄枯の元へと応援に向かう金ポデ。MMOで栄枯に指示された金平糖手榴弾をサンドランナーの群れの横腹から投げ捨てカラフル援護爆破、この攻撃で勢いを得たパーティーに合流し協力してサンドランナーたちを葬っていった。
熱砂と丘陵の大部屋は完全に制圧されMMOを実験的に用いた丘梨栄枯パーティーは見事に勝利を収める事ができた。
「ええ、お疲れ様です。まぁまぁと言ったところでしょうか、ふふMMO、言葉にせず省略できる部分もあるので良い面もありますね、ただ無理に機能を活かし使おうとするのは注意ですね、ええ、ひじょうに」
《カードログありがたいね悩まない》
《バイブレーションの補助もあるからたたかいやしかたよ栄枯ホップ!》
「はい! こっちもいい感じでした、カード連携が前よりダンチっすね」
「ええ、まだまだ改善すべきところはありますが金ポデさんもあなたも各々よくやりました、はじめてにしては、ふふ」
ぼこ:また普通にたたかってるよ
ぼこ:おまえらが行けって言ったんだけどな
ぼこ:MMOだかなんだかしらねぇが意味あんのか
ぼこ:↑かっこいいだろ?
ぼこ:栄枯もみんなよろこんでるぼかぁそれでいい
ぼこ:普通につよいから困るんよな
ぼこ:なんだかんだ栄枯つよいからな
ぼこ:栄枯も地味につよくなったよな、なんでや?
ぼこ:栄枯はプロだからね
ぼこ:金ポデもさらに強くなったきがす
ぼこ:ホトプレはチートだしな
ぼこ:うん特に言うことない、うん
ぼこ:第3死でも生き残れ丘梨栄枯!