表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/244

第31死 朝はアレ

 白い繭事件から数時間後。


 各々は拠点メルヘン&ぐりーんに好きに配置した粗悪なベッドの上で眠りについていった。1人1台割り当てられたダブりまくった万能カードR粗悪なベッドを栄枯の気配りにより使用する事が許可されたのだ。


 ぐーぐーと眠りについていく、仙人も、金ポデも、活躍しなかった者などいない死のダンジョンでの疲れが溜まっていたのだろう。



 この青年もまた。


「あのやばい死のダンジョンなんだよなここって……」


「……死のダンジョンの吐い信者丘梨栄枯さん……俺は……はぁ……」


「家の電子境界も壁に投影させたままじゃないよな……何故……ほんとに何が起こってんの……んーー……ふぅぅーっ……」


 青年が見上げるいつまでも青い空、夜の概念がないのか、紛れもなくここはダンジョン。


 しかし燦々とチグハグな青い天を見ていては眠る気が起こらない、青年は布団にくるまりうつ伏せに寝返りを打った。


 ────眠る戦士達。死のダンジョンの一日目はこうして全員イノチを鼓動させながら……眠れる夜を過ごしていった。




▼▼▼

▽▽▽




 新しい朝がきてしまった。


 ダンジョンで朝が来る、すなわち朝食問題である。


 ぱしゃりぱしゃりと吐い信者としてのイノチである美しい顔を入念に洗い新しい1日のスタート。


 丘梨栄枯のモーニングに必須であるコーヒーがない。この厳しい死のダンジョンの環境下でそれは当たり前の事である。


 粗悪なベッド製の取手のないのが逆に洒落た木のコップを人数分。澄んだ泉の水を飲むのも体内の毒素が浄化される気がして気分の良いものだ。泉の水は格別、苦いコーヒーがなくとも栄枯はその爽やかな朝にひじょうに満足していた。


 しかしそんな爽やかな朝にもアレはやってくる、いつものブルーシートの陣地の上、パーティーメンバーである4人はまたもアレを食することになってしまった。


「あ、昨日のよりフルーツいっぱい、あこれなんだろ? アーモンド味? うわ、これたのしい美味い!」


「ダンジョンの朝にちょうどいいのぅこの一切れで栄養の宝庫だわい、ナイスチョイスじゃ異国の者よ」


 金ポデはお茶目に指でオッケーマークを作り2人に応えている。明るい異国美少女のオッケージェスチャーは破壊力抜群である。


 じろり、エメラルドの瞳が彼女を見つめている。昨日のあの事件で……へこんではいないようだ。むしろアレをまた自分から出してきたということは、挑戦。日本人とはちがう異国の強い折れないメンタリティ、言葉にはしない金ポデだがメラメラと伝わってくるものがある。


 しかし栄枯はその熱視線すら気に留めない。


 美しい角度の顎に手をやり、洗い清潔になったバーベキュープレート上のアレを見ながら熟考していく……。




ぼこ:栄枯アレ回避失敗


ぼこ:栄枯お嬢様のきらいなやつ


ぼこ:金ポデ「逃さん」


ぼこ:朝はアレ


ぼこ:金ポデ「ダンジョンの朝はアレに決まってんだろ栄枯?」


ぼこ:だから結局アレはなんやねん


ぼこ:白繭ふたたび


ぼこ:懐かしい味だから……


ぼこ:懐かしくてパサついててクソ甘くて美味い!


AI栄枯:アレとは、シュトーレンまたはシュトレン。ドイツ発祥の伝統的なクリスマスケーキです。一般的にパン生地にバターマーガリン、洋酒に漬け込んだドライフルーツやナッツ、砂糖、塩、スパイスお好みで、ええ、これらをごろっと練り上げパパッと焼き上げ更に最後に粉砂糖をべらぼぅにまぶし出来上がりちぱちぱちぱ。保存期間は1ヶ月から3ヶ月べらぼぅに保存の効く死のダンジョン向けのあまぁいあまぁい超高カロリーな最高のケーキだと言えます。


ぼこ:しってた


ぼこ:しゅってた


ぼこ:しゅっとれん


ぼこ:アレ、シュトーレンだった。


ぼこ:白繭じゃなかっただと……


ぼこ:あー、これは当たりはずれあるやつ


ぼこ:てかドイツ!?


ぼこ:アメリカ人「What's!?」


ぼこ:金ポデまさかのドイツ人


ぼこ:アメリカ人「ハニー!?」


ぼこ:ドイツ人とは限らんやろ


ぼこ:ドイツ人以外んなの食べんやろ


ぼこ:↑シュトーレン!


ぼこ:うるせぇシュトーレンするぞ!


ぼこ:シュトーレンぐらい知っとけよおまえら……そこらのパン屋でも売ってるやろ、たぶん


ぼこ:シュトーレンVS丘梨栄枯


ぼこ:ドイツ伝統菓子持参のドイツ人なんて最中持参する日本人やろ


ぼこ:↑あのパサつき皮とありがたみのなさなら対抗できるわな


ぼこ:不意に最中を殴るな!


ぼこ:↑でも朝食が最中2個だとぶん殴るよね?


ぼこ:シュトーレンと最中に謝罪しろジャパニーズ!!


ぼこ:日本代表は最中か誇らしいな(パリッひっつく音)


ぼこ:ふざけんなシュトーレン買ってくる!


ぼこ:シュトーレンはむしろありがたみしかないだろ


ぼこ:ドイツ人はダンジョン行く前にシュトーレン焼くからな


ぼこ:だからおまえらシュトーレンは美味いから……


ぼこ:最中なんかと比べられるシュトーレンさんに謝れ!!


ぼこ:さすがに最中は格が足りない


ぼこ:るせぇ、最中皮に挟むぞ!


ぼこ:色んな方々を傷つけてますよ、ええ、ひじょうに


ぼこ:殴れたら殴り崩す、お菓子の世界は甘くねぇ


ぼこ:保存まで効くとか無敵やん


ぼこ:ダンジョン脱出までじっくり楽しめるわね


ぼこ:さすがドイツ伝統菓子、耐久性が日本産とは違うぜ


ぼこ:栄枯どうやっても逃れられない


ぼこ:金ポデ「毎朝出したら好きになるやろ」


ぼこ:だれか最中買えや


ぼこ:わかったモナカアイス買ってくる!


ぼこ:そのうち熟成されるやろ(涙目)


ぼこ:死のダンジョンで生き残れ、丘梨栄枯! ダンケシェーン!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ