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第218死 ▼チャネル5▼

 その何回りも大きなエメラルドの三日月ボディが横倒した孤を前方に向け浮遊しながら、前を行き逃げる黒いホットプレートバイクの背を追う。


 半球状のチャネルスペースの中、無限に続く夜のハイウェイサーキットで出鱈目機体同士のカーチェイスは、万全の準備をし栄枯たちをニヤリと待ち構えていたマザー・テンの奇襲を経て、唐突に始まってしまった。


 舞台は壊れた月のただようチャネル7から────



▼チャネル5▼



『こう圧をかけられドキドキと追いかけられる立場というものはどうですか丘梨栄枯ッフフフ!!!』


「とんだかぐや姫! 散々ルールに則り正攻法で追いかけ続けた結果とラスボスさんの披露する演目がこれとはッ汚いやり方ですっ、ええ!」


『演目というのであれば待ち飽きたかぐや姫はきっと新たなかぐや姫をさそい迎えに行くというのですよ、中立の月には居ませんがね!』


「あっち向いてホイのニホン無茶苦茶バナシが好きなようでッ!」


 適切なカードを惜しみなく切る──後ろへと投げ捨てて押しつける危険な金平糖はアスファルトを激しく彩り、


 三日月がそのカラフルを真っ直ぐ突き抜けたところに太い両指放つ10の閃光をお見舞いする。


 色味のちがうエメラルドは混ざり合い──光の束をも眩く斬り裂き突破。


 破られようが既に第2のプラン、アスファルトから生え殴りかかる巨大な二つのグー拳は少し粘るが容易く狂気の三日月に砕かれ。


 疾走トマラナイ────

 


 今度はお返しとばかりに妖しい月明かりを纏い──拡散する10以上の膨大な閃光を、


「チンキスフィルド!」


 彼女は叫んでみたもののそんなアレンジ技など彼女のレパートリーには存在しない。スキルチンキスの出力をただ全開に狩野千晶のスペース系スキルであるホットプレートバイクに纏わせ敵の射撃攻撃に死電子の荒い膜を張り対抗。荒々しくぬるりと──敵のエメラルド拡散レーザーを弾き、懸命に丘パのリーダーはその眩い猛攻猛乱射を凌いでみせた。


『フフフフ無茶ですね! そんなチカラの使い方ではッ……いつまでも保たせませんよ! フフフフ!』


 そのマザー・テンの言葉通りに少なくない熱量こもる頭……だが、その自信に満ちた黒髪ショートカットのおデコには愛と気合いのやりくり上手に余ったナースシップを、ぺたり…………クールな彼女はいついかなる時でもクールに──クールダウン。


「死の指導者とやらに、吐い信者丘梨栄枯リーダーシップ見せてやりますよ!」


 滝のような汗で滲むカーキの背は運転に集中、熱く耳を打つその声と、ただリーダーを信じて黒いアスファルトと流れていく宝石の道灯りをホットプレートバイクで突き抜けていく。





 先程の激しい攻防は微力ながらも迫る三日月エメラルドの妨害に成功。空いた車間距離の生じた余裕に大声で語らうのはこれから先のプラン。


「どどうします栄枯さん!!!」


「もっとエンジンフルパワーでもう少し時間を稼いでくださいっ」

「──砂嵐をチャンネル0とするなら4、0、10、6、3、7、5。ギラギラさんは7つのチャンネルを既に使っています! つまりその分みなさんべらぼぅに暴れております!」


「えっと!? えっと……それはきっとみんながそれぞれのチャンネルで暴れる事でマザーの電量が減っていってるってことですか! あ、タイムリミット的な!?」


「ええ、さすがその通り電量の事はひとつ前提として! 珊瑚さんがしつこく追えと言ったあの意味が分かりました。そして、私がパパッと移動したのは6回べらぼぅにチャンネルを斬り刻みながら私の跡ニオイを残して来ましたね、いやでも繋がりとこの独立しながらも連鎖する劇場の規模は見えてきます! そもそもこのチャンネル劇場がどこも半円球のドームであると既にあなたも察しているようにギラギラさんの帽子は半円球型ッ最初から仕組まれていたお馬鹿なキテン物質です、あなたもあの数の変化とチグハグおかしなファッションを見ればバレバレにここまで容易に想像できますよね? ふふっ」


「え!? えっとォ! あぁたしかにあの大事そうにしていた帽子なんとなくその違和感ありました俺も! 周りの景色が歪に歪んでいたのもドーム型だから……オオそっすね!!! そうかッ! すごいッすごいよッッエイ……んとッ! キテン物質がなんなのか良く分かんないっすけどォォ黒帽子のファッションはラスボスがするにはハナからおかしいすもんねェえ! あハハハなるほどォォ!!! 栄枯さんじゃあこれのカラクリわかったんすか!!!」


「ええ、もう1分ちょいで私のキテン物質がパパッと四角く完成します! しつこい自称旧ギラギラかぐや姫も目的である私を殺す為に追ってくるハズですっ、頼みましたよ! それまでまともに相手する必要はありません、ふふふッこのままうんと逃げ切りましょう!!!」


「わっかりましたァァァハイッ!!!」


 フロートするドーナツ状の搭乗席のナカ、2人乗りの背越しの会話はすらすらとそのクールな脳内プランを言葉にハッキリと出力し共有し合う。リーダー丘梨栄枯の思い描き目指すひじょうなゴールに青年も、うんと、今日一番のハイテンションな返事に乗って電量全開でホットプレートバイクをトバしていった。

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