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第213死 ふたり

 珊瑚と仙人が新たに合流し心強い戦力の増えた丘梨栄枯パーティーであったが……。


 もうかれこれこのメンバーになってから10分以上は戦い続けていた。敵の種類や数もこの砂嵐のステージの防衛本能であるのか増え続け……。



 やはり繰り返され無限の復活を遂げる敵。その高カロリーなスベテを丘パは協力し合い一度平らげ────並び立った栄枯と珊瑚は、彼方から続々と復活する敵と砂嵐のステージに流れていくカラフルな閃光を遠目に────、


 



「これはいわゆる滅茶苦茶なダストボックスだな、未熟者が使う粗末で荒い厄介な技だ経験した事がある」


「ダストボックス?」


 ダストボックスという表現に要領を得ない丘梨栄枯の表情に珊瑚は重ねて続けた。


「憶えていようが憶えていまいが捨てられた玩具共という事だ。だから本来このステージのどこかに居るはずのスペース主がいない。未熟なお前たちは敵の起点物質に気付かず馬鹿正直に戦い、主さえ存在出来ない深くに仕舞われたのだろう」


「なるほど……」


 その説明を聞いた栄枯は顎に置いていた指を、納得したのか軽くぱちんと鳴らした……。


「……こういうタイプは電量が尽きるまで付き合うか、幸いにも数だけは揃っている、囮を使い同期をずらす必要がある」


「同期? 囮とは一体……」


 またも堂々パパッとぶつけられた質問に、白い説明者は少し瞼を下ろし目を狭めた。


「……本当に未熟だな。つまりこういう事だ」


 珊瑚は地に手を翳し平面ステージから隆起する──白い一枚の飾り気のないモノリスを作り上げた。


 いきなり出てきたソレに──まだ疑問を浮かべる星色の輝き。だが、ソレの出現と同時に薄い違和感がビリビリと徐々に栄枯含む珊瑚除くメンバーたちに伝っていった。


「一番強い私がこのステージに立ち仮点物質となり引き付ける、自由になったお前たちは行け。──エイコ、ヤツをあのチカラで斬ったならニオイで少しでも分かるはずだ。起点物質を見つけて壊すか、この馬鹿で浅慮なスペース主をしつこく追い続けろ、本当に使えるチャンネルはそう多くない。変な所でしつこいのはお前の取り柄だ──以上だ返事と反論は要らない」


 宣いながらもコントロールする蛇のように生きた数多のレーザーが敵を撃ち抜いていく、その強さを丘梨栄枯パーティーの彼らに魅せつけながら……。


 ビリビリと栄枯達の存在、身体の色合いが乱れ歪んでいくのが分かる。各々の濃度で慌てる他のメンバー達と……伝える用件を終えた彼女の生成り色の髪と煌めく星々の横顔を、栄枯は真っ直ぐ見つめて、これ以上の質問疑問はない──強く微笑み答えた。



「珊瑚さん、ええ! では未熟な私ですが、すこし! ひじょうに評価してくれたお言葉を甘く受け止めて……行ってきます!」



 手を翳し敵を殲滅する月のように美しい横顔はそのまま、口角をすこし────。



 強い仮点物質のモノリスが乱したこのステージからどこかへと移動。


 プツンと──栄枯率いる丘パのメンバーたちは消えていった。





 残された────生成り色の髪を息継ぐよう、かきあげて。



 呼吸はふたつ。




「────おい、なぜいる。戦力を計算できない馬鹿か?」


「栄枯なら大丈夫じゃ、ワシは天才じゃからな。それにここで派手に暴れれば栄枯たちの陰の助けにもなろう? おぬしはワシより詳しいようじゃが、そうじゃろ?」


 灰色と黒の年老いた髪とボロついた道衣は、その白マントの背を見つめゆっくりと語りながら近付いていく。



「……フッ、お前が天才だと? さっきのでいい気にでもなったか、ヤツら未熟な戦士たちの世界しか知らないようだな未熟な玄人」


「ははははそうじゃの……じゃが、ここ最近は前世のワシをぼちぼち思い出してきてのぅ。──やはり天才じゃった」



 それは目も合わせない背越しの会話、



「フッ、相手をするにも老人の戯言には責任はないものだ。────これについて来れないなら私の邪魔はするな」



 横目に見つけた、やがて並び立つ────



「責任ならあるぞい、べらぼーっにな!」



 耳に変じてとどく雄々しさと、


 黒く染まっていくふたりの髪は、




「「【デスⅩ】」」




 洒落ていない砂嵐のダストボックスの中で────重ね合わせて魅せつける、極大のチカラ。


 黒くバチバチと激しく両者の間をアツく彩った────会わさった目は一瞬の邂逅──翳し放つレーザービームは再び黒く熱く歴史を染めていく。

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