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第212死 砂嵐、二つの閃光

 半円球の空間は吹き荒れるが無音、グレーの砂嵐。


 その背景、平面のステージの上、


 戦い続ける5人と、


 何度も湧き出て来るどこぞで見た事のあるようなモノトーンの赤、紫、白、灰、色味細部目などの造形を簡略化されたシルエットモンスターたち。



「またこの赤亀ッ!? 何回出てくんだァァ【傘・ラキプス】ッ!」


「ひゅー……古参ナイト的にはそんな気がべらぼぅにしたぜぇ!」


「ベラボデジャブゥゥゥ!」


「ふむ、こればかりは流石にやめてほしいな! 【シルバーウルフファング】中辛(ジュウシン)!」


「ええッ、ッひじょうに!」




ぼこ:よくやった、丘梨栄枯!!!


ぼこ:よくやってないです、丘梨栄枯です


ぼこ:ばかなっしいいいいいいいい


ぼこ:またこのパターンか…


ぼこ:いやいやッ


ぼこ:これはひどい


ぼこ:這い這い野郎復活


ぼこ:モンブラン復活


ぼこ:ガラスの馬復活


ぼこ:亀


ぼこ:全部だチンキス!!!


ぼこ:ここは墓場か…


ぼこ:あながち間違いではない


ぼこ:クソゲー


ぼこ:ふざけんなァァ


ぼこ:丘梨こいつずっとこんなんよな


ぼこ:丘梨の居るところが死地、これ常識


ぼこ:どんなけついてないねん…


ぼこ:ついてるけどな


ぼこ:↑チンキス!


ぼこ:また死にかけてるよこのパーティー


ぼこ:栄枯が死を引き寄せてんのよ


ぼこ:貧乳ノッポは死神感ある


ぼこ:巨乳だとないもんな


ぼこ:↑チンキスチンキス!


ぼこ:普通にやべぇ


ぼこ:ほんまにヤバイときにはがんばれって言葉は出てこない


ぼこ:丘梨栄枯がんばれ!!!!!!




 倒しても倒しても復活し出現する──電波受信に失敗したアナログテレビの砂嵐のようなステージ彼方から続々と、終わりがない。


 終わりがない戦いを幾度も続けている、困難を共にする栄枯には心強い仲間達が今はいる……だが彼らに頼りっぱなしという訳にはいかない、丘パのリーダーはこの不可思議な無限に出てくるモンスター四天王のからくりを勇敢に戦いながらも思考を展開しながら解こうとしている。


 その美しい顔の眉間に皺が深まるほどに、考えるがやはりどうも一応探ってみたマザー・テンの気配を感じられず要領を掴めない。きっとそうだろうと、栄枯は思ったのだがタネも仕掛けもカラクリも────



「エイコうしろ!? バインレッグドラッヘきてる!!!」


「バインへ? なんです!?」


 振り返った栄枯の背後彼方に現れたのは彩度高くミドリに光る13の脚を持つ龍、これまで幾度も見た事のある厄介な新手。


 鎌首をもたげて要らないご挨拶をし────、


 丘パは勘定に無かった大型の新手により挟み撃ちのカタチを取られてしまった。


 現在、並ではない四天王モンスターを相手にしながらの丘パにとって更にタフな再生能力を誇るもう一体はひじょうに厄介。


 丘梨栄枯はざわりと波立つ心でどうするかを考える。誰にどのモンスターを任せ、今どちらの対応に当たるべきか灰色のキューブモンスターの相手をしながら…………極限の集中──どちらかではないっ、八つの角を黒く刻み次の行動に移った!



 リーダーの栄枯が次のターゲットへと振り返ったその時────、眩いミルク色の閃光が────


 分離しようとした多脚ごと呑み込んでいった。


 そこに鎮座していたはずのミドリは燃え尽き存在せず、


 眩い光の残滓のナカ存在していたのは灰色と黒の混じるウェーブ髪、ボロついた鼠色の道衣を身に纏い腰に手を当てた。


「ふもっ? いつもよりチカラが上がったようじゃな?」


 ミルク色の残り香失せて、右手のひらを何かを確認するようにさすり終え、その老人は振り向いた。



「おおやはり栄枯よ、久しぶりじゃの! おぬしの予感がばっちりビビッとじゃったぞ! ばちビビ……ちがったかの?」


「仙人様……! べらぼぅにおひさし、ぶりです? ええっ」


 ボロ道衣を着た老人のみせた満面の笑みのギャップはとても懐かしく、再びその深みのある黒と星色の瞳はめぐりあった。



 思いがけない人物の登場にそれぞれ担当の四天王モンスターを処理した面々は振り返り濃度のことなる驚きの反応をみせた。


 第1死のチュートリアルで別れた幻のメンバーが丘パへ更なる合流。


 あの大出力のミルク色の閃光は、復活する敵の駆除に勤しんでいたメンバーたちの険しい表情を微笑ませる程に……。



 だがしかし、少々の雑談をしている間にもここは不可思議で理不尽のよく起こる閉鎖された砂嵐の戦場。


 今度は2体、


 ミドリとアカの、計──26脚。


 のそりのそりと、その長い脚で蜘蛛のように砂嵐の彼方からにじり寄って来ていた。


「フム、もう一度やつを仕留めるべきかのぅ栄枯? 今日は調子がよい、べらぼーはまだまだ撃てるぞいっ」


「ええ、それはひじょうに頼もしいですが少しこの劇場には……何かカラクリがあり」



 不意に丘パの前を過ぎったのは赤龍に突き刺さる無数の白い閃光──


 吸い寄せられ戻ってきたのはツイストし繊細に束ねられた巨大なレーザービーム────ミドリは背後から貫かれ登場間もなく2体の巨大龍は光の大波となり片付けられた。




「無論仕留めろ、未熟な戦士たち」




 聞こえてきた氷のように澄んだ平坦声。


 生成り色のショートヘアーが肩からつま先までぐるりと纏うロングマントは爆風に白くなびき揺れ、


 その少し異なる星々を持つ真っ直ぐな星色の瞳は、栄枯の見せる煌めきと合わさった。



「珊瑚……さん?」


「ほぉ、イチゲキでニゲキとは……これは老いた目も繊細に驚いたわい」


「展開しながら練り上げただけだ、デカい的相手にはこれぐらいは造作もない、そしてチャージするまでもない」



 それはまた突然に……登場したのは栄枯の幻闘シミュレーターに住んでいた風貌雪女。栄枯が彼女に教えてもらった名前は珊瑚、雪女よりはカラフルで白くも成れる可愛いらしい名前であった。何故彼女が出て来れたのか、何故彼女はここに来たのか、栄枯の瞳は映る……語らう仙人様と珊瑚さんを見ながら不思議色に染まっていったが──やがてくすりとクールに左の顔をしぼり苦笑った。

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