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第195死 【インタラプトカード】と【アレンジチンキスカード】

 未知のスペースへとお邪魔します、そして──


 パパッとな彼女は既にニタニタと笑う爬虫類に対して斬りかかっていたが──ぶわり、寸前で嘲笑うかのようにどこかへとデスラプトルリーダーは消えた。


 辺りを見回す、その古いブラウン管に3、2、1と謎のカウントダウンは進む。半笑い、訝しむ表情の栄枯は。



【タマゴをさがせ】



 カウントが0になり、そうテレビには表記がされていた。



「タマゴをさがせ……タマゴをさがせという事です、ええ!」


 顎に手を置いたのはカウントダウン0まで、彼女は以外にも早くその突拍子のないアソビに従った。



 そうタマゴをさがせと言われたからにはタマゴをさがせ! なのだ。


 この深層スキルの世界を深く理解する必要はない、丘梨栄枯はタマゴをさがすのだ。


 案の定、確認した冷蔵庫の中に大きなタマゴを発見。何か分からないものには触れてみる子供にも出来ること。


 栄枯がその手に触れたひんやりとしたかすかな振動を感じるタマゴは黒ずんでいった。



 1つをクリアそう確信。そして当然ひとつである訳はない。


 どこぞのメーカー違いの冷蔵庫の数々を開けていく、当たりハズレを手にし、面倒臭くなり斬撃。斬り刻む機器類の数々。


 斬り刻むソファーもチェアーもブラックな包丁で全てを。再びブラウン管のテレビを見つめ残り時間をちらりと確認、17秒。走る丘梨栄枯は、


 ──ゲーム筐体に映る大きなタマゴを刻もうとしたがブラウン管のテレビ同様に不思議なほど強固で刻めやしない。


 隠したい守りたいものほど強固な守りに、そう考えられる──丘梨栄枯は至って冷静──見つけて笑ったのは黄色いポケットに入っていた不自然。


 メダルを筐体に投入し侵入プレイ開始。


 横スクロールのステージを進み、


 見えた聳え立つ巨大なLRタマゴに対して乱舞乱斬、ワラいながらヒビ割れていくサンドバッグをチンキスブレードの死電子が蓄積し、内部から爆散。


 爆散と同時に退散。ジャングルな現実へと戻り、確認したブラウン管のカウントダウン表示は今に──0を示した。


 タマゴをさがせ。


 結果的に敵の深層スキルの世界で暴れ回り時間いっぱい立ち回った丘梨栄枯。


 少し乱れる息に予備知識ゼロのゲームプレイ後の煌めく汗に0を見つめて────



 パっと、風ふき裏返ったのはメキシカンラグのカーペット。その鮮やかなボーダー色の裏に、描かれた巨大なタマゴそこに在り。


 ゲームリザルト、答え合わせでもするかのように。必死さを嘲笑う風はサイゴに吹いた。


 胎動するソレを振り返り目にした彼女は苦笑い────爆散。


 膨張しきり飛び散る白い殻、吹き荒れる熱風。


 いつの間にか鬱蒼としていたモノは無くなり青い天が高く。

 

 森は死に絶え乾いた大地に現れた、


 シルバーレバー・トリケラトプス。


 シルバーレバー・ディプロドクス。


 シルバーレバー・アンキロサウルス。



 深層スキル世界の第2幕とでもいうのか、ステージを変え姿を現した銀色の機械恐竜たち。




「ふふ、ふざけていますね、ええ、全くもって!」


 乾く喉に握るブラックなナイフ、燦々と炎熱ゆらゆらと空気歪ませる陽炎。対峙する巨大な三体の恐竜がエンジンを始動し動き出した。







 カードを奪うなんらかのスキルとこの元気なひじょうにメタリックな恐竜たちを合わせて最強のコンボという事でしょうか。


「困りましたねぇッあちらはカード使い放題、こちらは相変わらず包丁と果物ナイフの自力ですかッ」


 黄色いスポーティーで駆け抜けた乾いた大地。飛んでくる【LR】パーティーシルフぼるとブレードのエネルギー斬、恐竜たちの各々の尻尾から発するその飛び道具の隙間を掻い潜っていく。


 ディプロドクスその麒麟のように背の高いフォルムの懐に潜り飛び跳ね突き刺した包丁。そのままロープウェイの滑車をすべらせるように──チンキスブレードのチカラを行使し一気に腹を割いて太い四つ足の間を抜けていく丘梨栄枯。


 死電子の剣でダメージ限界を迎えたシルバーレバー・ディプロドクスは爆散。


 すかさず迫った硬い鎧を纏った機械恐竜アンキロサウルスの頭突きを──死の予感の感度は良好、跳躍回避、その頭頂に手をつきチンキスを浴びせてアタマから無力化、鎧の間の柔い部分を鮮やかに突き刺し黒く膨れ上がるスキルのチカラで。また一体、撃破。


 仲間を矢継ぎ早にヤられたトリケラトプスは金平糖手榴弾を散らし、丘梨を中距離から攻撃。更に後退しながら二本の大きな角から荒い雷撃を打ち放し、寄せ付けない堅実で冷静な戦車のような動きをする。


 大地を熱く潤す激しい弾幕にとりあえず無理をせず残り一体────のはずが、何故かぶわりと大地から湧き上がる仰々しい光とともに復活していく機械恐竜2体。天へと聞いたこともない鳴き声で吠えながら、挑発でもしているのか……。


「やはり……幻闘リハーサルでの指摘通り企みを上手く破れなければこのような理不尽な事になるのですね。しかしこれは……ある種エンターテイんメントしていますね、ふふ参考になります恐竜さん」


 なおも微笑む丘梨栄枯。


 敵は復活、さっきまでの素晴らしい動きをみせた戦いがげんなりな無駄な労力ではないのかと……あのデスラプトルリーダーは彼女の苦しむ姿を想像してさぞワラっているのだろうと。


 否。


 彼女が微笑むのは、そこに彼女なりのクールな勝算が見えてきたからだ。


「華やかさで恐竜さんに負けるわけにはいきません、ええ。そして──」


 彼女はバトルカードを発動。性懲りも無く──再びの激しい戦闘の最中に、意味のないはずのカードを切り何故かトリケラトプスの動きが止まった。


「──なんでも盗めばいいというものではありません」


 何か焦るように迫り来る2体の機械恐竜、ディプロドクスが一回転しながら放った強烈な尾の鞭を黒い刃にチカラを込めてぶった斬る。中途あざやかに千切れトブ、シルバー。



 先程発動しようとしていたカードは【UR】金平糖手榴弾、そして奪われたのは死電子をたっぷりと乗せたアレンジチンキスカード【UR】金平糖手榴弾。


 悠々とそのジョーカーを奪い取った輩は、今頃カードがひとりでに喉元に突き刺さり痺れているだろう。



「駆け引きは、パパッとォォぉぉ!」


 丘梨がクールタイム無しで使っているもはやスキル感覚の技である【LR】メガバズーカフィンガーバルカンボム、だがそれは実質バトルカード扱いであり便利なビームは発動を阻害され撃てなかった。


 だが今は違う厄介な謎のスキル使うリーダーはチンキスで拘束。


 彼女のクールなチカラの匂いをぷんぷんと漂わせるその位置は既に特定済み。


 飛びかかる2体の機械恐竜など。巨拳生成、鉄拳制裁! 乾いた地から隆起し天へと巨体を突き上げた。


「ええ、パパッとロックオン! べらぼぅにいきます!」


 発射する10のエメラルドの閃光は彼方ゆれうごく実態の無い陽炎を撃ち抜いた。


 こそこそと隠れて機械恐竜たちをレバー操縦していた3匹のデスラプトルたちは────陽炎をもぶち抜く出力最大圧倒的な炎熱に焼かれた。


 キラキラと煌めく陽炎はゆらゆらとエメラルドに染まっていく。


 やがて乾いた地に突き刺さったデスラプトルリーダーのカードと共に────。



「さすがに恐竜よりはかしこいですよ、ふふっ、フフフ──」


 元いた草原にひとりたかく背伸び──、ぐるりと回し下ろされた腕と微笑みと。


 孤独な丘パ丘梨栄枯vs狡猾なリーダー率いるダイナソーパーティーは、丘梨栄枯の逆境にも挫けない確かなメンタルで鮮やかに身体を働かせて凌ぎ、さらにクールな頭脳で対応そして得意のアレンジ猛炸裂。結果的に見事な大勝利で幕を閉じた。

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