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第193死 太陽王パーティーと黒き盗賊

 太陽王パーティーと黒き盗賊。極限の死の舞台はこの円いエリアだけでは収まるものではない。黒い嘴を開き発狂、背面の黒いモノトーンとちがい広がる衝撃的な色合いの両翼から──


 ご挨拶代わり、コロッセウムに乱れ咲く黒き閃光。改めて開幕開口一番の死の予感に反応、散り散りに別れる3人と。


 もはやどうしようもない……竦む足すくむ身体……。それでも我が子をぎゅっとその腕に抱いて……きっと無力に祈るだけでは大きなサダメの器には抗えない……無情にも不運にも見物客の元まで届いた黒き流れ弾は────、


 賓客席の空間、柱から柱に張り巡らせた恐ろしく透明な水の結界は凶弾を濁り防ぐ。


 またも突き刺さった赤槍の元にパッと現れた金髪の男。


「よっと! 可愛いな何歳だ」


「え、え、えっと……さんじゅうろくっです……」


「ちげぇよ下界人」


「よんちゃーー」


 怯えて動転した母親と対照的に無邪気なその女児の笑顔、右手のよんはお兄さんに突き向けて。


「よんちゃーーっか! まったく親より賢い天才児だなハハハハよくいうぜ子供はみんな天才児そんで俺も永らく天才児! だからよニンゲン凡人に育ち切る前によぉく見てろ脳筋戦士どもの介護の仕方を! 槍のお兄さんのトクベツ英才教育だ!」


「【クリアスナイプ】・【オールシルド】!」


 それは味方へと受け渡す水の槍。


 清らかに生み出す乱射してかつ繊細に、その男コントロール空間認識能力ともに抜群。アタマの使い方が良いのだ。


 狙い撃ち受け渡す、後は自動で対象を意のままに追尾、付き従う便利なシモベと化す。


 攻撃を防ぐクリアなシールドは前衛で黒と共に踊る王と女を助ける。


「黒いビオラのようなダークネスなビームばっかり思春期の男子でしょうか! 知らないけど」


 宙に付き従い意のままに発動するのはシルドのマジナイ。クリアな水の障壁が黒を吸い込んでいく。


「こっちの男子さんはやはり草花にモテそうですね、小まめな水やりそう水槍ふふふふふふ」


「【アイビーライブラリ】」


 苔タ本から解放、開かれたページから飛び出る蔦荊の鞭はクリアな聖水を通り抜けて──成長著しく勢い太さを増して軍勢と成し、黒鳥に襲い掛かる。


 砂地をなめるように突き抜けていくソレを突風砂埃巻き起こす急上昇で回避。コロッセウムの壁に根をつけてターン──しつこく追うのはその数多のミドリの生命、天まで突き抜けて鳥を捕まえにいく。


 植物と怪鳥の珍しい空戦。素速く背面の翼でビームを拡散しながら無数の追うミドリを対処。なおも集まり束ねて──水を与えて成長速度を増して突き抜けて来た蔦荊のドリルに。


 四本の右足指で空を縦に一回転しながら投げ捨てられ突き刺さった黒く歪なナイフ。傷つけられた若々しいミドリは黒く染まり燃やされていく。凄まじい勢いで伝い蔦荊を────、



「だから脳ぷらんノープランはよぉーーっ! そらよっ!!!」


 燃え尽きる前の援護狙撃クリアスナイプ、躍動するふたつのノープランが求めているタイミングにこの男素晴らしいアシスト、種子散らし宙から分かれた草花無限成長。蔦荊は再び左右から新たなミドリの軌道を描いていく。


「知ってましたけど、【パンジーライブラリ】」


 めくったページは【アイビーライブラリ】の道中、ぬるりと姿を表す蔓眼鏡女。そして発動したのが【パンジーライブラリ】、右腕にお得意の植物で巻きつけたのは苔タ本。


 蔦荊はなにも敵を捕らえる為だけではない敵を殴りつけるまでの道を作り出し、イマ届いた。


 天までお届け、


「【パンジーライブラリパンチィィィィ】」


 燃え尽きていない成長した別ルートから黒い怪鳥の意表を突き殴ったのは棘棘しいぐるぐる巻きの右拳一発。


 武装した【パンジーライブラリ】無限のページを散らしながら花を咲かせ不思議にも殴り続ける。


 10、20、30鮮やかにパンジーの花が開花しながら勢い上昇していく。


 止まらない手痛い一発を────────、強引に破った。


「なんとまぁ? 夜な夜な想い綴った乙女心が分かりましたか、知らなかったけど」


 いつまでも続く攻撃の正体を黒き怪鳥は解析し、散り散りに破り捨てられた数多の本のページ。体表を邪魔にいろどる草花は腐りゆき。


 顔まで覆っていた腐ったイロの視界から走り迫ったのは、別ルートのミドリ。


 明けた視界の状況を正しく把握し切れないバタついた動きでは、時既に遅すぎる。堂々と駆け抜けてゆく王道────。



「【架電斬り】」



 アオい雷電纏い艶めく長巻は突き刺さり、ニヤリとワラう血髪の王は袈裟斬り──黒を斬り払った。



「【切電】」



 繋がり架けられた雷電は、体内の迷路を巡りネムる電量を得ながら増幅し爆発する。極限まで増幅したアオはやがてスイッチを切り最大のスイッチが入る──一瞬にして血のように紅く染まり内部から切られた雷電の大ダメージ、ただの斬撃ではないただでは済まない渋い熟成アレンジのイチゲキこそ太陽王のチカラ。



「久々に見たぜ、天才児が後衛に回るわけだ」


「やはりみんなの向日葵っ! 太陽を見上げて見つめる憧れこそ大ぉきくヒトというハナを育てるのです、ふふふふふふ、知ってたけーぇどっ♪」




 極大なる電量、巡り巡った最高のイチゲキ。


 仲間のつくりあげたミドリの道に佇む太陽王はチカラを誇示する。


 それは見る人によっては花火より美しいエンターテイメント、あるいは残酷で絶対的かつ絶望的なチカラそれもまた美しいと認めざるを得ないのかもしれない。


 誰もが見上げた黒を染め上げたその血の華に敵う者など────今宵はやけに──その瞳がワラっている。

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