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第192死 極限の死の舞台

 分かち合うやさしさ、頬張る甘いおにぎり──ガリっとカラフルに直撃。



「────っ……フッザけんなてめぇらふざけんなァァ! 握り飯に爆弾仕込むタァ人のココロがねぇのかおい似非日本人クズ!!!」


「にゃっははははは。でも美味しかったでしょ?」


「あー殺す、もう槍持ったお兄さんは手加減しねぇ今殺すぜ勃起パーカー!」


「にゃははははだぁれが勃起パーカーなのさねネーミングセンスぜろぜろぉぉそんなの流行るわけ」


 雨脚強まるこのコロッセウムを覆っていた蔦葉の傘を裂き、ポタポタと降らし滲むイロ雨に──。何かが舞い降りた。




「んん、槍持った中ボスの親戚? にゃはははオーバーァァ」



 決闘の舞台の間に乱入してきたしゃがむ黒いシルエットに対して、笑う美少女探索者のご挨拶──遠慮なしにグーパンチで飛んでいったミトンが──、



 その背、180度回転したその鳥のクビその黄色い眼で後ろをギロリと睨み、開いた背の翼から黒い拡散ビームの雨が乱射された。


 ご挨拶は敵対行為。ソレは冗談の通じる相手ではない返すのは全てを滅する────


 一面を支配していく眩しい黒き線に鮮やかなミトンは呑まれ……



「あほか! 実力不足ガァ!」


 清らかな水の大壁は幾重にも。美少女の前、砂地に突き刺さった赤槍を媒介とし、ポイントを指定した。透き通る長方形が汚れを吸い込み激しくいつまでも拡散する黒い雨を凌いでいく。そしていつの間にか現れていたさっきまで敵対していたはずのその背その乱れた金髪、


「にゃにゃナ!? まさかの敵が味方を庇うパターン理解不能ッッッ、ってね!?」


「イマにフザケテんじゃねぇぞ! 何にでも手を出す何も知らねぇ馬鹿娘がァよハハハハハッハーーーー」


「はぁ? んん? ははーん、アレだこれこのおばみんちゃんに戦いながら惚れ」


 ピンクの風がなおも雑談に勤しむ美少女を横から攫っていった。


 そしてアオアオさを失い腐る蔦葉のカサを突き抜けて激しい状況から上昇していく。


「うわっ!? ウイングマンナニすんのさね! モテモテなのはわかっちゃるけど!」


「お前は死んでいた、というか死ぬ」


 桜色の翼を羽ばたかせ腹に黒パーカーを抱えながら地表から離れていく、観客席で手出し無用と言われその戦いを見守っていたニコ。


「にゃははは? そりゃ油断してたけどッ、行くよ殴り返せウイングマン!」


「俺の演算ではお前のチカラを足しても乱入して来たアレには7秒と保たない、行かない」


「にゃにゃびょー!? なわけないってまだ本気じゃないのよッ天下無敵のオーバー未惇様にはバージョ」


「本気じゃないのはおそらく向こうもだ、お前も死の予感を読めるなら気付いている、ヤツらの性格と状況を利用する」


「はいい? そりゃちょったぁラスボス中ボス女幹部含めて強いけどサァ! なんかセコイっぽくないのぉーーッ」


「槍の男1人ならまだしも実力で劣る者が弱ったところを不意に討つ、それもまた戦いだ」


「せこーーーーっ! ってそんなガチのやり合いじゃないのよ! イチャイチャな雰囲気察すんのぉー」


「察するのはこの場の実力者が察せなかったアレをだ」


 暴れるオーバー未惇を抑えながら、その瞳のカメラに見下ろす眼下──黒く染まりつつあるコロッセウムの円形劇場。その光景はもはや決闘とは言えない。







 赤槍が操る清らかな水は破られない用に出力を上手くコントロールし黒い射撃を寄せ付けない質の良い守りに徹する。


 ──隙をついた花のコブシ咲き乱れる。


 ぐるぐると右腕に巻きつくトゲトゲしい荊、重いソレを振り抜き与えた強烈なパンチと咲き誇るカラフルパンジー。


 突如参戦した蔓眼鏡の女に強襲され砂地をずり下がる黒いシルエットは殴られた身に咲く花をドロドロと腐らせて。


 力を込めて硬いモノを殴ってしまった、蔓がキレてしまいズレた眼鏡を成長させた蔓で微笑みながらフレームをなであげ修復。



「あれれぇ太陽は座して待つのでは? 知らないけど」


「そうだぜ座して待ってろよオッサン王、俺がやっからよぉ」


「フッ。強き太陽を求め盗っ人が忍び来ただけだ、我も混ぜろ」


 ド派手にその円形劇場のステージに飛び降りて来たのは半裸の巨躯、燃えたぎるような血毛(あかげ)


 永らく座していた王席から長巻を腰に携えて。


「まっ、しゃーねぇナァ老いぼれられても困るしな!」


「ふふふふふ」


 ギロリと睨み合うのは、ワラう王の黒い瞳と見開く盗人の黄色い眼。




「デスⅤゥゥゥおおおお!!!」


「デスふぁいゔ、知ってたけど」


「デスⅦ」



 チカラを解放。雷電轟きオーラ妖しく漂わせ、段階を飛ばしてチカラは増幅していく。



 清流と濁流赤槍に繊細にうずまくデスⅤ。


 苔タ本をぱらぱらと優雅に読み上げる蔓眼鏡、花々しく砂地に生命を染め上げていくそれが彼女のデスふぁいゔ。


 強き太陽王に余計なモノなどいらない。古き長巻を抜けば、其処に足りないモノはない。達人は長い時を経て熟練した数々の技を封じて内在する無限の電量と化しパワーを底上げる。そして錆びた刀は艶めくイロに染め上がっていく。


 その巨躯は美しい長い得物をゆったりと構えた。



 この堺市に出来上がったコロッセウムに天にも届く桁違いの死の予感は渦巻き、招かれざる客を招いた太陽王とその仲間の────極限の死の舞台がイマ始まろうとしている。

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