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第185死 弔い、【EA】ジェットランウイングブレード!!!

 おおきな人は小さき人を見送った。


 モンスターの海に敷かれたレッドカーペットを走り抜けた先、黒い塔は以前より大きく聳え立っていた。



▼堺スカイハイ前ひろば▼



 丘梨栄枯の目に見えた光景より先に確認すべき事がある。


 辺りに────人は居ないようですね……。


 目を閉じてわかった範囲にヒトはいない。ただそこには邪魔な小石が──つまずけない程に敷き詰めてある。


 守りは強固に、数は揃えてあるそう言っているようだ。


「やはりこの先にナニかあるようですねキュプローのパラソルガールと私の読み通りです。こうもぞろぞろと一点中心に寄せ集めて集めていれば言わなくてもバレバレです、ふふ、招いているのでしょうか。それと──」


 彼女を待ち受けていたのか、その赤い毛並みの獣とちぐはぐな組み合わせの機械の鳥が飛ぶ光景に──、


「遅刻してすみません。ならば勝手ながら……居合わせた舞台役者が弔ってあげます、この作法で!」


「ええ、【EA】ジェットランウイングブレード」


 幻闘スペースから取り出した、一枚のカード。左の人差しと中指の間、緑にキラリと光るその一枚のカード。妖しく微笑み翻し、発動そしてブラックな相棒をやさしい手つきで撫で上げていく。


 刀身から放たれる──バチバチと白い雷電が輝き暴れる。


 黒い包丁は甲賀流忍者見習いと練り上げた合成カードを纏い武装化。そして現世にてお披露目、薄羽を何枚も合わせた美しい黒翼の剣となり。


 誰もが目を惹く賑やかな登場をしたのであれば、もう既に気付かれている。埋め尽くす程の狼の群れ、二足立つワーウフル、工事用ライドロボットに、空を支配するドローン。


 辺り全てが敵だ。ならば遠慮はいらない、その道中弔いへの準備は万端。彼女の星色の瞳は煌めき迷いはない。


 前にがっしりと逆手に握りエレガントに構えた横倒しの黒翼はかるくフレた狼と狼男を真っ二つに斬り裂き、────止まらない。


 その刃が吹き抜けた後に泡立つ光の粒が増えていく。黒髪を靡かせておでこは全開、アクセル全開、そんな敵陣を斬り裂く剣戟夢物語の道中一人芝居に女が独り歯を見せ笑ってしまうのはどうか許してくださいと。


 吹き浴びるクールな風で呼吸をしていく。


「ふふっ、ゆるしてくださいこれは気持ち良いものですっ! はぁああああああっ────────」


 クールな吐い信者のお姉さんは叫んでみた。舞台稽古の成果もあってか叫んできていなかった人生の叫び方がここ最近分かってきた、


 まだまだ未熟ですが。


 よく通るその声をノセて、その声の調子に乗って、



 乗っ取られた火器を積んだドローンの編隊は彼女の前では意味を成さない。刃から分離し跳ね飛ぶ薄羽が対空砲火で自動ロックオンしやわい装甲を貫いていく。


 翼を得た、風を得た、風になる。あまりにも速い黒風は、もはや獣の目で追う事さえ困難。


 通りすがり、ぶった斬り、夢幻の黒羽を散らし黄色いスポーティーで疾走していく。


 トチ狂った狼男がヒトを真似て乗り込む黄色と黒の色被り工事用ライドロボットなど障害にはならない。可動した鉄のドリルが唸る獣が操るペダルとレバー操作などではその存在を捉えるには遅すぎる愚、躊躇いなくバターのように斬り切り口は赤熱し溶けていく。


 弔う爆散のエメラルド花火。彼女を止めたければドイツ製戦車でも足りない、ドローンは空飛ぶ小蝿、小型中型モンスターでは強度不足。切れ味対空能力ばっちしのアレンジ、戦い経験を積んだこの女は何も考えていない訳ではない。至ってクールにド派手に、溢れ余る電量を惜しまず合成カードの効果を行使。


 お得意のエメラルドに彩ったお祭りを駆け抜けていく!


 もはや何者もその荒ぶる黒風の吹き抜ける道には、おそくおもくかるく────、


 爽快弔いエンターテイんメント。悲しむより走る斬る、身体に込み上げてくる熱量を増し丘梨栄枯は止まらない。


 聳え立つ黒塔目指してジェットランウイングブレード、目的ついでの群がる輩の大掃除。


「ええ、目的は見失っていません! きゃんきゃんとひじょうにうるさい道中をおおおおっ甲賀流ゴウセイエンターテイんメント!!! はぁああああああああっ────────」


 吐い信者丘梨栄枯、堺スカイハイポールタワーへの一番乗りへ────。

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