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第176死 ターゲット、ネイビー

パープルブラックデススライムベアー:


スァズァァジゴギジィィィィ(俺は硬いモノが好きだ!)

巨大な無脊椎粘液熊モンスターである。


▽好きなもの

ダイヤモンド 金属バット ゴルフクラブ 大型トラック車 デコトラ 木炭 石炭 アズキアイス ハードグミ


▽スキル

スライムで熊すなわち最凶。

出来るだけ可愛らしい熊の姿の状態を保つ生態を持つ。なので変幻自在であるスライムの長所を活かしきれないのがかわ



「フレアボムキッスブローォォ」


 突如の襲来、粘体に突き刺した拳、突き上げた拳。宙へと持ち上がったターゲットは爆散。


 状況をクリアした虹色ドットの輝きは、職員探索者と連携し避難を促し先行誘導するドローンの情報を元に次のエリアへとその白い機体で走ってゆく。


 市街へと、見上げる人々へと黒紫色の粘液の雨が降り注いでいった。


『次ィィ!』




▼▼▼

▽▽▽




 豚汁休憩を終えて体内のあらゆるエネルギーは満タン。


 3つの固まる並々ならぬ予感に向けて単独で走り始めたオーバー未惇であったが、


 道中。何故馬鹿みたいに聳え立つそれに気づかなかったのか、それもまたこの堺市が色濃く妖しく魔境と変化しているからである。


 天高くピラミッド、それはどこかの誰かさんの生吐い信で見た事のある。


「なんなのさねこれぇ! 丘梨栄枯△の再来のなのねぇ!」


 ネイビー色のピラミッド巨人がそこにいた。T字に両手を一直線に広げて直立している。それは、あまりにも大きい全高300mは越す超巨大のモンスター母艦である。



 1人対無数と+1、逆立たせた緑の触覚は色濃くその表情は慣れたものである。黒髪を揺らしワラいながら、



 制御する空を飛ぶ2つのミトンは、宙を支配しているネイビーシャドウトビウオワームを粉砕、鋭い緑の軌跡を描き大漁に滅していく。


 市街を走り迫る獰猛な狼には雷光薄く纏う体術と蹴りで地上のネイビーシャドウウルフを圧倒。器用にも空と地の両面で戦い続けている。


「んー、めんどくさい丘梨こいつひじょうにセコくてめんどくさい、ええ、ひじょうに」


 撃破スコアを重ねど非効率。そろそろスキルのテンション的にも雑魚には用はない。ひとっ飛びに巨大な大将のクビを、


 ふと紅い瞳に入ったのは灰色の空を飛ぶ何か……ヒト。それは天からの使いなのか、


「なにあれウイングマン?」


「おおおおいウイングマンのせてのせてええええ現役JKだよおおおお」


 ウイングマン。かなり適当に名付けた安直な名が、またモンスターがうじゃうじゃと集まりつつ飛び交うソラへと響く、


「────ノルか?」


「お、おう! まさかのJKすんなりOK! 現役JKチカラぱない」


 舞い降りてきた長身に、失せていたピンクの翼がパッとまた開く。その大きな背へと遠慮なく乗りかかった美少女は、


「……【ツバケル】」


「おおおおとんでるうううううう」


 上昇、ノセて飛行していく。


 そんなターゲットへと群がろうとするトビウオに、右の指を弾いてスキル。


「【ライパチ】」


 行使したスキルは、サクラ色の雷電と化し拡散していき広範囲を撃った。宙を泳いでいた魚は焼け堕ち、開いた道を天高く安定した軌道へと乗り水平に飛んでいく。


 バタつかない静かな翼より、その放った雷電は美少女の逆立つ触覚の興味をビンビンに。


「うおっ! おぬし雷使い」


「使いという程ではないが、ダメか」


「いやいや被ってんのよアタシと属性がァ」


「それは、悪いことなのか」


「いいやいやぁ、悪いよぉ? だってさぁみんなの雷ガールといえばこのオーバー未惇でしょ」


「なら俺は雷ボーイということか」


「何故全部疑問系? そこは自信で突っ走んのよこのチャラけたピンク髪は飾りかい」


「自信……空ならヤラれた事はそうそうない。それが自信か」


「だから、疑問系。自信ってのはさぁオーバーコート!!!」


「あっ、しまった!!!」


 白い背の上にしがみ付いた黒パーカーが、緑の雷膜を纏い横から噛みついてきた魚を焼き焦がしたが……


「問題ない、これがお前の自信か」


「それは、なんか受け取り方がァ違うと思うのさねぇ! ま、突っ切れええええライトニングウイングマン!!!」


「了解した。【ライヨク】」


 更に大きく長くなった両翼は、スキルを合わせて雷翼と化す。


 敵を斬り裂いていく、更に合わせて仲良く混ざる緑とピンクの雷の翼。


 荒々しく羽ばたいていくそのネイビー聳える三角を目指して。




「ウチらもいるって」


「あのマッドオンナにノセられた気がするけど好きに撃っていいんダロ!」


「スコア1につきだいたい5万円だってェェ!」


「魚が空飛んでるゥゥゥ速いよ速いッ当たんのこれぇい!」


「ギャル本能で置いとけば当たるってんじゃん! ホラミロおお」



 こうもモンスターの多勢では身を隠す必要もない、開けた地上噴水広場前、後方からギャルスナイパー部隊の援護射撃。デコりカスタムされたそれぞれのスナイパーライフルから放たれる長い一筋のビームが敵を撃ち抜いていく。


 明智マリアは怒っているであろう事務局長を援護すべくDODO本部基地と合流して情報を共有。更に独自の判断で市街地Bにいた探索者集団と、ニコと名乗る心機人類を向かわせていた。



「ちょ! さっきから照準ブレる!」


「おいお前ふざけんな押したダロ! オレのスコアが大差でトップだからって!」


「はぁ!? ウチ押してないから馬鹿なの!?」


「なんかゆれてんね」


「今のうちに稼ぐ!」



 タイミングはすれ違ったがタイミングは合った。


 ビルをかき分けて地を揺らしやって来た白い機体は噴水広場で待ち合わせるギャルと探索者達に、


『市街地でビームを撃ちながらッ……お遊びはしないでください! 何をやっているのですか!』


 怒声、喋る巨人にギャルスナイパー達はそれまでのお喋りをやめ唖然。合流を果たしたDODOのトップと探索者たち面々。


 しかし何も遊びではない、尻餅つくギャル達が見上げる──虹色の瞳を持つ巨人が見上げるのは──天。


 聳え立つネイビーブルーに対して結局出された指示は援護射撃の継続、無駄に怒られたギャル達探索者達であったがスコア1につき10万円の報奨金に加えて、これから建設予定の堺市の高層リゾートツインタワーマンションに新しい住居を保証するという、破格の条件がべらべらと大きな事務局長の口から提示された。席数不明の成績上位者への特典、高ぶる雄叫びに近い歓声が噴水広場のせせらぎに響き渡る────DODOに属するモノ総出の火力で聳え立つ事にあたる。

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