第122死 湯けむりかほり雑談イベント
褒美……色々あってか強引に推し進められてしまったご褒美イベントは次々と進み、最終的に────
ここはバベルB最上階の広い一部屋、設定設置されている風呂場もきっとすごい。
豪華な広いジャグジーに。
さんにん。
弟と1人と姉2人を十分余裕を持って収容可能だ。
「「スキルのなぞ?」」
「そうだこのゲームのような与えられ覚えてしまうスキルの謎、これを研究していくのもドッツの私のお仕事でありお偉い家族よりも大事な女上司の機嫌を損ねない、白歴史、真の世界平和、とやらへの手土産となる発明につながるとおもう」
「な、なるほど?」
「ツユちゃん的にスキルなんててきとうかもじゃん」
「そうだなミズイロ生徒くん。我々みたいな一般人が得られるスキルは特に個人と関連性もなく運や誰かさんの気まぐれみたいなものだろう、そうなのかもしれないしそれはわからない。だがクエストカードのようにやはり深層心理に眠るもしくは我々人間の使えていない脳の領域を用いた死のダンジョンのシステムによる能力の強制取得、つまり考え方を変えればシンプルに人類の進化、人類とはまだまだ頭打ちではなくAIすらも凌ぐ、大きく進化できるのではないかというのが私の勝手に立てた仮説で見解だ、狩野生徒くんのように外で一部のスキルを使える運の良い探索者もいるみたいだしな」
「……たしかに俺は死のダンジョンに行ってからいろいろ……進化を感じてます先生! えっと、おもに栄枯さんのおかげだと思いますけど……」
「イミフだけどツユちゃん的にもギリ理解可能じゃん。私も夏海ノ香水の2人はつかえないけど外で無駄なローション使えるじゃん?」
「ん……えと、すいません先生でも? 人間の脳ってたしか100使えてますよね? 10ってのは昔の科学者が推測で流したデマで……そりゃ俺も脳が生まれ変わるような経験はしましたけど……?」
「フフ、意外と変なところで賢いようだなENの狩野生徒くん。……ただのツッコミ待ちだ、フフ」
「ええ!? ……それは……」
「まぁわらえよ渾身だったのに悲しいじゃないか。フフ、それに……現実として現在人間という種が脳を100フル稼働できていてもそれがなんだ。そこから何を学べるというんだ? だからその他者の積み重ねの頂にいる賢い科学者の誰かさんの言うように一般人だと自覚し人は人としての努力で済ませて夢物語のページは破いて捨て去ればいいのか? 私や狩野生徒くんミズイロ生徒くんの脳の作りは同じといえるか? それがこの個性豊かでバランスの悪いスキルというカタチで死のダンジョンという人生の先輩から示されているんじゃないのか、ふっ、私はそう思いたい実際にそうだと確信しているぞ」
「先生アツいかもじゃん!?」
「やっぱまりじ先生はすごいっすね……」
「私がアツくなっている、すごい? ふっ、こんな時代にこんな未完成な身体で生まれさせられたら誰もがそう思いそうなるだろう? 現実ばかりだと誰もそれが夢だとも気付かないだろうだから電境があり死のダンジョンがある。いたってシンプルじゃないか? ……そんなに私から離れるなよワタシの生徒くんたち」
裸の弟を後ろから抱え込んでいる姉の水井露と、対面するまりじ先生との距離は何故か数分前よりもわずかに開いている。
そのわずかな差と自分を称賛し少し苦い感心の目を向ける生徒たちの距離を、ちゃぷちゃぷと緑の水面を移動して強引に詰めた。
ぎゅっと挟まれてしまった。青年をやわ肉で挟んだお姉さんサンドイッチ。
「え!? ちょ先生!? ちかいぐるぢ……」
あのニットに隠れていた先生の胸は大きい、水井露も先生程ではないが、ある。そんな金髪と黒髪の女性の胸と胸に挟まれ高級そうなシャンプーの匂いが鼻をくすぐる、という状況に──
「わかれよ、私とて変人じゃない、ひとりは寂しいじゃないか。──やはりこうすると落ち着く。ふむふむ、どうやら私も弟が欲しくなったのかもしれないな」
「私のオトウトは先生のオトウトかもじゃん?」
「ぞもぞぼ……アレはおとうどじゃ……」
「たしかにお姉ちゃんに発情する弟はいないな、フフ、狩野生徒くんまた私のスキルの謎を探ってみるか」
「ほんもののオトウトじゃなければやりたい放題……かもじゃん? ほんものの弟よりオトウト?」
風呂場での女子2人青年1人の雑談イベントは……まだ少し終わるには早いのかもしれない────。