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第117死 オーバーミトン!!

 敵を蹴散らし荒ぶるミントグリーン。グリッドの粘土で作られた狼は彼女の相手にならない、一蹴され。


 大きな豚人間もミドリに光る拳のイチゲキの元に粉砕。


 ステージを高速移動する黒パーカーの動きに、せっせと練り上げ積み上げた団子の山から人形の投げつけるグリッド団子は当たらない、オークのお手玉するボックススライムはターゲットを追尾するよう放たれたが追いつけない、ボックスから放つ紫レーザーは回避されスピードの周回遅れ、後ろからボックススライムたちはミトンで掴まれ握り潰され破壊された。


 すぐさま──


 発射され親元から独立した右手のミトンが敵を殴り貫いていく。地上を掠めてジグザグと、ハリボテを一瞬にして掃除していく。


 更にビュンと垂直に折れ曲がり跳ねるように上昇──


 グリッド側壁から現れた大量のボックススライムは飛来するグーパンチに貫かれ──光の泡立ちとなり空を彩った。


 シバフグリーン色は荒々しい尾を引きながら、おばみんの右手へとすぽり戻った。しゅーしゅーと白煙を上げるミトンを口元の冷風で冷ましながら。


「ふっふぅーいっちょ上がりノおっかなしぃ、こんなの死のダンジョンより飽きちゃうってぇ、スキル? ここでこそこそ吐い信者栄枯ちゃんは涙ぐましい修行でもしてたのかにゃ? はははははは! うわぁファンなら泣けちゃうねぇ舞台裏まで見せてもらえるなんてぇおばみんちゃん感動だよぉ。でももういいよこんなチマチマじゃなくて出て来てヤリ合おうよ! モッテル者どうしでさァァ」


『殺したいぐらいにあそびたいのでしょ? ふふ』


 クールな女性の声がどこからか響き渡り、ぬるりと──地からのぞいてきたシロ。長いナニかがゆっくりとそのフォルムを露にしていく──遠方に見える白い13脚。


「にゃはははは……丘梨自作自演説? 本当に黒幕なのかなか、ナッ!!」


 13本の脚を持つ白龍。死のダンジョンの砂漠ステージで丘パが倒したものと同じ形状。


 おばみん目がけて飛んで来た1脚がミサイルのように地に突き刺さった。


 ガンッと衝撃音が刺さる地点から退避したが、突き刺さったままの白骨から幾多もの針が彼女目掛けて収束し貫いていく。


 激しい白いよこなぐりの雨のナカで当たらないように笑いながら踊りつづける。


 纏った緑のミトンは細い針を砕きへし折る。おばみんの拳から身体から溢れる荒々しい緑は白い雨の中を強引に突き進み地に突き刺さったままの白い牙を突き破った。


 電光石火そのものとなり駆け抜けた美少女。ビリビリと突き出した右の拳は唸り、背の白は天から堕ちた爽やかなミント色の雷に撃たれて燃え尽きた。


「にゃははは感じさせてよもっと感じさせてよ死の予感!!」


「物足りないからァァァってねええええ」


 狂うように元気に笑い瞬きも忘れた紅い瞳、スニーカーは地を蹴った、白竜を目指して。


 白龍から続々とパージされて迎撃に向かう脚ミサイルはおばみんを挟み込み左右から串刺しにする。


 回避不可能な白い嵐の中を──


 おばみんの左右の素手は掴んで伸びて回している。素手でつかんだミトンは伸び、ぐるぐるとパーっと開いた手が回転。


 高速回転しながら緑の光の盾となり、二つの円に守らせながら嵐の中を突き抜けていく。


 バチバチとミント色の雷光が白針のアタックを刻み寄せ付けない。



 そのまま回転の勢いのまま投げつけた──盾は鋭い槍へと変わり膨らんだミトンの拳が13脚の中心を超速で貫いた。


「テンションMAXオーバーミトン!!」


 オーバー未惇のいきり勃った触覚はシバフグリーンからワイルドグリーンへとビカビカと発光。


 貫かれた白はビリビリと宙へと緑が漏電していき、やがて天から堕とされたテンションMAXなミントカラーの雷光。


 全てを落雷が荒々しく呑み込んでイチゲキのもとに燃やす。


 ぐるぐると回転させていた左のミトンはチカラを失いながら、バトル用から料理用へとかわいらしく姿を変え。


 ひらひらと舞い降りてきた右を突き上げた手のひらに、すぽり。


「にゃははははデスⅠクリアァァァ、あはあはははは丘パより強いよ私は。だから言ったでしょ丘梨」


 白龍を討ち取ったのは──オーバー未惇。


 拳を突き上げ自慢げに見上げる天は、デスⅠから──


『あなたはついてこれますか』


「何言っちゃってんの栄枯ちゃん? このおばみんちゃんを試したりして予想以上で強がっちゃったりにゃははかわいいねぇ」


 背後から、りーー、と電子音が鳴りつづき。


 沼の底からさっき倒したモノと同様の

フォルム、巨大な赤い龍が現れたのならば──それをまじまじと見つめる紅い瞳は苦笑いを浮かべ荒れた髪を整える。



『あなたは越えられますか、死を』


「にゃはは……丘梨ぃ。ほんとうにラスボス気取りごっこもそろそろさぁ、天下のおばみんちゃんムカつくんですけど……」


「──泣かしてやるから降りてきなよ、丘梨栄枯オオオオオオにゃははははハッハーーーーッ」


 聳え立つ赤い龍を倒したら次は丘梨栄枯。オーバー未惇はしっかりとミトンをハメ、ぎりぎりと握りしめ失ったテンションを振り絞り【2】へと上げた。


 悪魔的な笑みにいきり勃つミドリの触覚。知らず垂れた涎をぬぐい美少女というよりは、リミッターの外れた珍妙な獣。


 私を見下す丘梨栄枯、何様なんだろう? にゃははは、いくら強くてもさぁ試すのは最強の私なんだよ丘梨、ゼッタイに泣かす──

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