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次は、どの国を食べようか?  作者: 落川翔太
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ギリシャ料理編

第八章 ギリシャ料理編


 水曜日のお昼休み、晴斗は次、どの国の料理を食べに行くかを小坂さんにメールした。いつもならすぐに彼女から返信があるのだが、その日はすぐにメールが来なかった。仕事か何かで忙しいのかもしれないと思い、晴斗はしばらくメールを待つことにした。

 その夜、八時を過ぎた頃。晴斗は帰宅をして、晩御飯を食べている時である。携帯にメールが届いた音がした。晴斗は早速、携帯を取りそのメールを見た。

 小坂さんからである。晴斗はすぐにメールを見た。

「今、お時間平気ですか? お電話したいです」

 そのメールにはそう書いてあった。

 すぐに晴斗は「はい。大丈夫です」と、メールを送った。

 しばらくして、晴斗の携帯が鳴った。晴斗は早速、その電話に出た。

「もしもし?」

『あ、もしもし。山崎さん、メール頂いていたのにすぐに連絡できなくてすみません。仕事がバタバタしていて……。』

「大丈夫だよ。こっちこそメールありがとう」

『いえ全然。次、どの料理を食べるかでしたよね?』

「うん。どうする?」

 晴斗がそう訊くと、『ギリシャ料理はどうですか?』と、彼女が言った。

「ギリシャ料理?」

『そうです。ギリシャ料理って知ってますか?』

「いや。ギリシャにも美味しい料理ってあるの?」

『ありますよ』

「そうなんだ。それは気になるな……。」

 ギリシャ料理。ギリシャという国は知っているが、ギリシャ料理については全く無知である。晴斗はギリシャ料理を食べてみたいと思った。

 晴斗がそう言うと、『じゃあ、次はギリシャにしましょ!』と、小坂さんは嬉しそうに言った。

「うん。そうしよう」

『山崎さんは来週、いつ空いてますか?』

 それから、小坂さんがそう訊いた。

晴斗は「土日とも平気だよ」と答えると、『分かりました。私、土曜日は友達と出掛ける用事があるので、日曜日でもいいですか?』と、彼女が言った。

「うん、大丈夫」

『良かったです。では、来週の日曜日に』

「了解!」

『あ、お時間なんですけど、お昼と夕方、どっちがいいとかありますか?』

 その後、彼女がそう訊いた。晴斗はお昼でも夕方でもどちらでも都合はつくので、「どっちでも平気だよ」と答えた。それから、彼女は『分かりました。では、お昼頃でもいいですか?』と、晴斗に訊いた。

「お昼ね。うん、いいよ」

 晴斗がそう言うと、『じゃあ、それでお願いします』と、彼女は言った。

「うん」

『また、メールしますね』

「分かった」

『では、また日曜日に』

 彼女はそう言って、電話を切った。


 日曜日の正午に、晴斗は蒲田駅で小坂さんと待ち合わせた。十二時ちょうどに小坂さんがそこへやって来た。

「お待たせしてすみません」

 彼女がそう言うので、「大丈夫だよ」と、晴斗は言う。

「お腹空きましたよね?」

 彼女にそう訊かれて、晴斗は「うん」と頷くと、「早速行きましょう」と、彼女は言って、そこから歩き出した。晴斗はその後を追った。

 駅から五分程歩いた所に、そのお店はあった。

 そこへ着いてすぐに晴斗たちはそのお店に入ることができた。早速、案内された席に座り、二人でメニューを見た。

 晴斗がメニューを見ていると、小坂さんが「ここのお店は、ムサカとギロ、後、サガナキがおすすめです」と、言った。

 ムサカにギロ、それから、サガナキ。それらが何かの呪文であるかのように晴斗は思ったが、それらがオススメの料理と言えば注文するほかないと思い、「じゃあ、それで」と晴斗は言ってそれらを注文することにした。

「ムサカって何?」

 注文を終えた後、晴斗はそう彼女に訊いた。

「ムサカっていうのは、ラザニアみたいなものです」

 彼女がそう言った。

「ラザニアって、ミートソースとパスタの上にチーズを乗せて、焼いたやつだっけ?」

 晴斗がそう言うと、「そうです」と、彼女が言った。

「厳密には、ラザニアって平らなパスタにミートソースをミルフィーユのように交互に乗せて、最後にチーズを乗っけて、オーブンで焼く料理のことですね」

「なるほど。それに似た料理って訳か」

「そうです」

「じゃあ、ギロって言うのは?」

 晴斗がそう訊くと、「ピタパンに豚肉とか野菜をサンドした食べ物です」と、彼女が答えた。

「ピタパンって?」

 聞きなれない言葉に晴斗がどんどん質問する。

「平たくて、円形のパンのことです」

「へー」

 そんなパンがあるのかと、晴斗は感心する。

「ここのギロは、ヨーグルトのソースが美味しいんですよ」

「ヨーグルトが?」

「はい。ギリシャってヨーグルトが有名なんですよ。知ってましたか?」

 彼女がにやりと笑って言った。

「いや。知らなかった」

「ギリシャヨーグルトって、聞いたことありません?」

 彼女にそう言われて、晴斗はそれを思い出す。

「ああ、知ってる。スーパーとかコンビニとかで、最近よく売ってるヨーグルトだね」

「そうですそうです」

「ああ、だからヨーグルトなのか」

 晴斗は納得する。「それと、サガナキってのは?」もう一つ聞き覚えのない料理を晴斗は聞く。

「サガナキは、ハルミチーズってチーズを使った鉄板焼きです」

「ほー。チーズの鉄板焼きか。てか、ハルミチーズも聞いたことないな」

「ギリシャのキプロス島の伝統的なチーズらしいです」

「へー、そんなものがあるんだ。それは楽しみだな」

 そうこう話しているうちに、それらの料理が届いた。

「これがムサカで、こっちがギロ。それと、こっちがサガナキです」

 彼女はそれぞれの料理を指して言った。

 ムサカは話していた通り、ラザニアに似た料理だった。ギロはお皿に円形のパンが半分に切られていて、その横に豚肉と野菜が添えられ、その隣にはヨーグルトソースが入った小皿もあった。サガナキはフランスパンをカットしたくらいのチーズが二つ焼かれていて、その上にレモンが乗せられてあった。どれも美味しそうであった。

「いただきます」と、晴斗は早速言って、スプーンでムサカをすくい一口頬張った。

 うまい!

 その中には、なすとジャガイモ、それから、ミートソースが入っていた。それら一つ一つが美味しかった。晴斗は最初、それが見た目からして脂っぽいものかと思っていたのだが、実はあっさりとしていてヘルシーな味わいであることに驚いた。ムサカは食べれば食べるほどはまっていく美味しさであった。

 それから今度、晴斗はギロを食べてみる。半分になったピタパンに豚肉と野菜をつめて、それを頬張る。これはこれでうまい。

 その後、それにヨーグルトソースを掛けてみる。ヨーグルトを掛けたピタパンを頬張ると、ヨーグルトの酸味が増して、先ほどとは違った味わいだった。

 うまい。うまい。晴斗はどんどん食べてしまう。

「こっちも食べてみて下さい」

 その後、小坂さんにサガナキを勧められた。晴斗はナイフとフォークを取り、サガナキを一口大に切る。それから、フォークでそれを刺して口に運んだ。

 なんだこれは!

 晴斗は思わず叫びたい気持ちになった。

 うまいぞ。そのチーズの鉄板焼きは食感が独特であった。今まで味わったことのないチーズの味わいであった。

 その後も、晴斗はそれらを食べていた。

「ギリシャ料理はどうですか?」

 食べながら、小坂さんがそう訊いた。

「どれもおいしい」

「ですよね」

 彼女はそう言って、笑った。

「うん。ギリシャ料理って、今日、初めて知ったけど、どれもこれも新鮮だね。ギリシャのヨーグルトがうまいんだなって改めて思ったよ」

「そうですね。喜んでもらえて良かったです」

「うん。満足」

 晴斗は本当に満足していた。

「そう言えば、どうして今日はギリシャ料理が食べたかったの?」

 晴斗がそう訊くと、「えーっと」と言って、小坂さんが口を開いた。

「実は、前にギリシャに旅行したことがあるんです。その時、そこで初めてギリシャ料理を食べて、感動したんです。それで、山崎さんにもぜひ食べてもらえたらなんて思って……。」

 なるほど、と晴斗は納得した。

「それで、ギリシャ料理だったんだ」

「そうです」

 彼女はそう言って、照れ臭そうに笑った。

「確かに初めて食べたけど、こんなに美味しいんだね」

 晴斗はそう言って笑った。

 それから、晴斗たちはそれらを食べ終え、帰ることにした。会計を済ませて、店を出る。それから、二人で駅まで歩いた。

「山崎さん、突然ですけど、クイズです」

 ふと、歩きながら小坂さんがそう言った。

「へ? クイズ?」

「はい。料理クイズです。いいですか?」

「いいけど……。」

「問題です。世界三大珍味とは、いったい何でしょう?」

 それから、彼女が晴斗にそう訊いた。

「世界三大珍味か。ええっと……。」

 晴斗はその三つが何だったかを考える。

「キャビアでしょ、それから、トリュフ。後は……。」うーんと、悩んだ後、「フォアグラだっけ?」

 晴斗がそう答えると、小坂さんは「正解です」と言って笑顔を見せた。

「簡単でしたか」

 それから、彼女がそう言った。

「まあ、それくらいは……。」

 晴斗がそう言うと、「じゃあ、次の問題行きます」と、彼女が言った。

「問題です。世界三大料理とは何でしょうか?」

 彼女にそう質問されて、晴斗は再び考える。

 世界三大料理。何だろう。

「世界三大料理は……、中国料理、フランス料理、後、イタリア料理かな?」

 晴斗がそう答えると、「ブブー」と、彼女がニヤニヤしながら言った。

「え? 違うの?」

「違います。でも、惜しいです」

「惜しい?」

「はい。答えは、中国料理、フランス料理、それと、トルコ料理なんです」

 彼女がそう言った。

「トルコ料理」

「そうです。え? どうしてトルコ料理なの? って思いますよね?」

「うん」

「でも、トルコ料理なんです」

「何でだろう?」

「不思議ですよね?」

「そう言えば、まだトルコ料理って食べてないや……。」

 晴斗がそう言うと、「そうでしたね。じゃあ、次はその世界三大料理の一つのトルコ料理を食べに行きませんか?」と、彼女が言った。

 晴斗は世界三大料理である中国料理とフランス料理をもうすでに食べていた。まだ食べていないのは、トルコ料理だけであった。晴斗はトルコ料理も食べてみたいと思った。

 その後、晴斗はすぐに「ぜひ、行こう」と、返事をした。

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