毒親の先には何があるだろう
三
テレビからの情報をもとに父は「そやから・・・」と続けて自分の意見らしいことを言いますが、その「そやから」の根拠が何に基づいているのか、私には全く分かりません。根拠なき自信とでも言いましょうか。おそらく、父の頭の中に根拠らしきものは何一つ入っていませんが、自身の体面を保つためなのか、やたら「そやから」と言い張ります。
例えば、こんな感じです。
テレビのニュースで新型コロナウィルスが感染拡大中と聞けば、
「そやから、若い連中が外でコロナを移してるんや!」
また、現金三十万円の給付条件をテレビで聞いては
「そやから、わしは三十万円をもらえへん」となります。
これは考えた部類に入るのでしょうか。私にはわかりません。世間の一般的は家庭の両親がどのようなものか知りませんが、私は生まれてこの方、そう三十年以上も、父が本を読んだところを一度も見たことがありません。いや、実際の問題として、実家には父が読んだ本が一冊もありません。毎日、新聞(朝刊)を取っていますが、父が新聞でやることといえば、新聞に記載されているクイズを解くのみです。
人は学ぶことを放棄すると、マスメディアからの情報を鵜呑みにして、自分事のように語り出すのでしょうか。ちなみに父は、しばしばホラも吹きます。ホラ吹き爺さんです。そのホラがあまりにもひどい時は、さすがに聞き苦しいので、私の方で無理やり話題を変えたり、ホラ話を止めたりしますが、手っ取り早い方法は、「そやから」の根拠を尋ねればよいのです。そうすれば、ホラ吹きは黙ります。
私は父を反面教師として学んできましたので、恐ろしいほどの読書家になりました。父は勉強しませんが、私は自分で学費を払ってまで、大学院にも行きました。最近また、ふつふつとその思いが募っています。
サラリーマンとして働きながら、大学院で博士号を取得したいです。