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「まだやるかい?」
男は少し考えていたが、やがて言った。
「いや、今のでわかった。どうやってもあんたには勝てない。しかしチビなのにつええな。タイマンで負けたなんて、中一以来のことだぜ」
どうやら相手の力量を見極める目はあるようだ。
体術を幼い頃から本格的に学び、気も操れる私だ。
ただのケンカ自慢に負けるわけがない。
「強くなりたいか?」
「へっ?」
「強くなりたいかと聞いている」
「そりゃあなりたいさ」
「暴れたいか?」
「えっ?」
「暴れたいかと聞いている」
「そりゃあ暴れられるものなら、いくらでも暴れたいぜ」
「そうか。じゃあ強くなることができ、しかも暴れたいだけ暴れられて、それで人から感謝されて、おまけにお金までもらえる組織があるんだが。それに参加する気はないか」
「えっ? 強くなれて、暴れたいだけ暴れて、人に感謝されて、お金までもらえるところがあるのか?」