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速いし力強いが、私は槍でそれをはらった。
そしてふところに飛び込むと、刃と反対側にある鉄球で男のみぞおちを突いた。
「ぐふっ」
体重に加えて気をのせた攻撃だ。
並みの人間なら一撃で倒れてしまうだろう。
しかし男は倒れなかった。
ダメージはあるのだが、ちゃんと両の足で立っている。
「やるじゃねえか」
私は気付いた。
もともと身体も頑丈なのだろう。
しかしそれだけではない。
鉄球が当る瞬間、男が気をみぞおちに集めたのだ。
つまり防御。
集まった気はそれほど多くはないが、それでも衝撃を多少軽減していた。
だから倒れなかったのだ。
しかもこの男、無意識でそれをやりとげ、自分ではそのことに気付いていない。