とある浜辺とお姉さんとの約束
「あの、どなたですか?」
とお姉さん(?)が言うと俺はビックリして、心の声が漏れてしまった。
「え?」
俺は一瞬、人違いかと思っていたが、すぐにそれが違うことが分かった。なぜなら、そのお姉さん(?)の顔立ちや表情また、声などがあのお姉さんにそっくりだったからである。すると、俺は混乱してしまい、お姉さん(?)から逃げるように、浜辺から去ろうとすると、お姉さん(?)は俺を呼び止めようとした。
「待って下さい!少……年……!」
すると、突然、お姉さん(?)がバタンと音を立てると、俺はその音に反応して振り替えると、お姉さん(?)が倒れて居て、俺は大きな声でお姉さん(?)を呼び掛けた。
「お姉さん!しっかりして!! お姉さん!」
だけど、お姉さん(?)は反応がなく、俺は病院に連れていくことにした。幸いにも、浜辺のすぐ近くに病院が在ったので俺はお姉さん(?)を背中に担いで急いで病院へと向い、検査してもらうと、ただ、気を失っているだけだと知り、俺は一安心して家に帰ろうとした瞬間
「(ヤベェ、自分の家の鍵を浜辺に落としてしまった!)」
俺は焦った表情で急いで浜辺に戻った。
「何処だ?何処にあるんだ?俺の(家の)鍵……」
と呟きながら、自分の家の鍵を必死に探していると
「はい。少年が探していたのはこれですか?」
と言ったあとに、俺が必死になって探していた自分の家の鍵を見せてくると、俺は少し間抜けた声で返事し、鍵を拾ってくれた人の顔を見ると
「あ、はい。それです!って お、お姉さん!?」
俺は驚いた表情で思わずお姉さんを呼んだあとに、質問をした。
「ど、どうしてここに居るんですか?」
すると、お姉さんはお茶を濁したような様子で返事を返し、話を変えて俺に質問をしてきた。
「まぁ、それは置いといて。それより、お姉さんのお話を聞いてくれませんか?」
俺はどうしてお姉さんがここに居るのか聞きたかったが、それよりもお姉さんの話のほうが気になり、俺はゆっくりと頷き、了承すると、お姉さんは水平線に落ちて行く夕陽を見ながら、少し切なそうな表情でしゃべり始めた。
「実は、お姉さんはここで一回死にかけた事があったんです……」
突然、衝撃的な話を聞いて俺は唖然としていると、お姉さんはそれに気づかない様子で話を続けた。
「理由はですね……彼氏とケンカをしてしまってそれで、お姉さんは海に沈めたんです。でも、奇跡が起きてお姉さんの命には別状がなかったんですけど、その代わり、記憶を失くしてしまったて、さらには幽体離脱的なことも出来るようになってしまったんです。」
理由を聞いた俺は少し察した表情でお姉さんに質問した。
「それって、つまり、今、目の前に居るお姉さんってもしかして、幽霊ってことだよね?」
すると、お姉さんは質問に答えたあとに、少し流暢な口振りで説明をし出した。
「そう言うことになりますけど、条件がありまして、本体の体が気を失っている時と本体の体が眠っている時しか幽体離脱が出来なくてまた、幽体離脱をしている時の記憶は本体の体では夢として認識されるんです。 って、どうしたんですか少年?そんなに震えて大丈夫ですか?」
心配そうな表情でお姉さん(幽霊)が俺に問いかけると、俺は凄く震えた表情で
「べ、別にだ、大丈夫だけど、そ、そんなにゆ、幽霊なんかこ、こ、怖くなくですよ。そ、それよりも、続きを話してく、ください。」
と震えながらも返事を返すと、お姉さん(幽霊)はまた心配そうな表情で俺に話しかけてきたあとに、話を戻して、続きをしゃべり始めた。
「少年がそう言うのなら、話を続けますね。それでですね。お姉さんから一つお願いがありまして、もし本体のお姉さんが完全に目覚めたら、“友達”になってくれませんか?」
とお姉さん(幽霊)がお願いをしてくると、俺は何度も何度も深呼吸して、息を整え、震えを抑えたあとに、即頷き、即返事をした。
「分かりました。約束ですよ!」
すると、お姉さん(幽霊)は嬉しそうな表情で
「はい。約束……ですからね!」
と返事を返すと、俺は何かを閃き出してお姉さん(幽霊)に問いかけた。
「そうだ! 最後にお姉さんの名前、聞いていいかな?」
「そう言えば、言ってませんでしたねお姉さんの名前を。お姉さんの名前は浜川………浜川 クロナと言います。それじぁあ、少年は約束をちゃんと果たしてくださいね!」
そう言いながら、お姉さん(幽霊)は微笑んだ表情のまま、消えていった。
ー数日後ー
俺はとあるお店で“ある物”を買ってから、お姉(浜川クロナ)さんが入院している病院へと向かって行った。
~病院~
「確か、お姉さんが入院している病室は┅┅あ、あった!」
俺はお姉さんが入院している病室を見つけて、ドアの正面に立つと
「(ここがお姉さんが入院している病室か┅┅何だか急に緊張してきたな。深呼吸でもしとくか。)」
と心の中で呟いたあとに、深呼吸をした。
「(よし。深呼吸をして、心が落ち着いたし、入るか!)」
俺は心の中で呟きながら、ドアノブを掴み、ゆっくりと開けると、そこにはベッドに座りながら、窓の外の景色を静かに眺めているお姉さんが居た、俺はその姿に少し見入っていると、お姉さんが俺に気づき、話しかけてきた。
「あ!あなたは確か先日、浜辺で会った少年ですよね?」
と問いかけてくると、俺は少しあやふやな感じで答えてしまった。
「え、あ~そうだよ。」
だけど、お姉さんは気づいていない様子で俺の返事に納得すると、また、俺に問いかけてきた。
「やっぱり、そうですよね! でも、どうして私の病室が分かったんですか?」
すると、俺は切ない表情で
「“約束”したからです。」
と問いに答えると、お姉さんは理解していない表情でまた、俺に問いかけた。
「“約束”? 誰とですか?」
「浜辺で会ったとあるお姉さんとです。」
俺はそう答えたあとに、思い切って
「俺と“友達”になってくれませんか?」
と問いかけると、お姉さんは驚いたのか分からないが少し間を空けたあとに、とても嬉しそうな表情で
「………はい!」
と答えると、俺は駄目押しでもう一度、お姉さんに問いかけた。
「いいんですか?」
すると、今度は即返事が返ってきた。
「はい。私で良ければ。」
俺は約束を果たしたことよりも、お姉さん(初恋の人)と友達に慣れたことが嬉しかったがその思いを心の中に閉めて
「よし。それじぁあ、友達になった記念として一緒に飲みませんか?」
と言いながら、俺は“ある物”を取り出して、お姉さんに見せると
「それってもしかして、タピオカですか?」
と少し食い気味に問いかけてくると、俺は
「うん、そうだよ。しかも、カニカマ味のタピオカドリンクだよ。」
と返事を返すと、お姉さんは
「へぇー美味しそうですね。」
と呟いた。すると、俺は少し引いた目で返事し、気を取り直して少しテンションを上げてお姉さんに話しかけた。
「そ、そうかな。まぁ、とりあえず飲んでみましょう。」
「そうですね。それでは、いただきますか。」
と言ったあとに、(カニカマ味の)タピオカドリンクを一口飲むと
「スゴく美味しいですね。このタピオカ。」
とお姉さんの感想を聞いたあとに、俺は覚悟を決めて(カニカマ味の)タピオカドリンクを一口飲んだ。
「(う、けっこう不味いな。でも多分、この味は俺に取っての初恋の味なんだろな。)」
俺はそう思いながら、窓の外の景色を見たあとに、(カニカマ味の)タピオカドリンクをもう一度、飲んだ。
ーENDー
どうも初めましての方は初めまして。そうではない方はお久しぶりですね。椎名鍵と申します。まずはこの小説(二作目)を読んでいただき誠にありがとうございます!さて、お話は変わりますが少し解説したい部分が二つあります。まずは、この作品のタイトル(初恋のシュトラント)にあるシュトラントですが、ドイツ語で浜辺と言います。つまり、これを訳すと初恋の浜辺、つまり、主人公(風桐桜花)が初恋した場所を指しています。次に、主人公が浜辺で水切りが出来ることに驚いているシーンですが、あれは僕の感情が入っていて、僕は今(この作品を書く)まで正直、川でしか水切りが出来ないと思っていましたが、調べて見たら、ある程度の大きさを持つ水面と石のある場所であれば出来ることを知り、この(水切りでお姉さんと勝負をする)話にしました。以上で解説を終わりますけど、何処か解説してほしい部分がありましたら是非、コメントを下さい!それでは、ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!!