表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Alien/Android/Arms~エイリアンとアンドロイドと火薬のにおい~(毎日投稿)  作者: Uduki Yui
Something invisible start to move(見えない何かが動き出す)
2/11

Something invisible start to move(見えない何かが動き出す)②

 世の中にはどうしても邪魔だと感じる人物がいる。

 けれど、だから「気に食わない」と言って消すことも殺すこともするわけにはいかない。たとえ殺そうと決心したとしても、自分の手を汚せない人間がいる。

 ――そこで需要が生まれる、殺し屋という職業の。


「そういうわけで、今回の依頼はこれだ

 ただ、今回はほかの依頼と違って毛色が違ってね。

 それでいて、誰にも見られたくない、気づかれたくない」

「……だから、アンタがわざわざ俺の前に姿を表しているのか?」


 殺し屋の名前はエアドリス・サルッカーサと言った。プラヤ地方特有の、乾いたような色の黒髪で、目は寝不足なのか、クマが濃い。そんな彼が不敵に笑って、依頼人である生産省長官、フランソワ・ルッソを上から下まで、吟味するように見回す。


「ああ、そうだ。これはつまり、特殊で、内密な依頼なのだ。

 ロケーションはプラヤ砂漠のK地区、Bの4。主な任務は過去のテクノロジーの『遺物』の回収、もしくは破壊だ」


 それを聞いたエアドリスは考えるフリをする。天井を眺めたり、地面のレッドカーペットを確かめるように、その場で地面を踏みしめたりした。そして――まるで天気の話題をするような軽さで――口を開いた。

 

「なんだ、殺しじゃねえのか。

 ――んで、『遺物』ってのはなんだ。そこに遺跡でもあるのか?」

「さあ、遺跡があるかどうかは僕にも分からない。

 けれども、確実に、そこにはアンドロイドが眠っているはずだ。それも今の技術では決して作ることのできない特別製スペシャルな奴がね」

特別製スペシャルな奴」

「そう、前時代技術によって作られた『遺物』は現在の技術と比べて、純粋に高い性能を誇り、人間とそん色ない機能を誇る――と、報告書には記されている」


 フランソワはエアドリスに報告書を渡し、彼に一読させる。しかし、エアドリスのほうは機械工学について専門的な知識がないため、あまり多くのことは読み取れなかった。かろうじて、その反応からアンドロイドが長い長い休眠状態にある可能性が高いこと、そして、そのアンドロイドが戦争目的に製造されたものがわかった。


「これを捕獲か、破壊しろ、と」

「出来るかい?」

「簡単だな――ああ、もちろん。邪魔者が出なければの話だが」

「……彼ら(・・)がいるから君を呼んだんだ、エアドリス」


 それを聞いたエアドリスは不敵な笑みを浮かべた。腰のホルスターに収納されたハンドガンをまるで「お前の出番らしいぞ」と起こすように手で叩く。それから「正直なところ」と前置きしてから、エアドリスはフランソワを真っすぐに見る。


「今日のラッキーナンバーはな、フランソワ、『8』なんだよ。それで実はな、俺が今日会話した人間を数えて八番目がアンタだ――だからいいぜ、受けてやる。俺に任せな、フランソワ」

「ふむ、そう言ってくれると期待していた。

 それでは前金はいつものところに振り込んでおく。

 捕獲してくれれば、その資料の提示金額の倍は出そう。

 それでは良い明日を。エアドリス・サルッカーサ」

「ああ、精々期待して待ってろよ。

 任せろ。俺に任せれば『全てがうまくいく』ぜ」


 そう言って、殺し屋エアドリス・サルッカーサは長官室から出て行った。生産省長官、フランソワ・ルッソの方は彼の背中を見送った後、窓の外を眺める。空には太陽と、雲と――巨大な円盤が浮かんでいる。フランソラはその円盤を忌々しいように睥睨して、未来に希望を寄せた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ