第一話 「パンツ脱いだ先は異世界でした」
同じ男性諸君なら分かると思うが幼少時小便するときはパンツを下まで下ろしたり、大便するときはパンツを脱いで足から外していただろう。自分はやっていなかったとしても少なくともそういう奴を見たことぐらいはあるだろう。
成長した今でこそ何故そんなことをしていたのか、そしていつそれをやめたのかは分からないが、誰もが通った道であると言える。
それを俺は17歳となった今、はっきりとした理由を持ってやっている!
.........まぁ3分の1くらいは、ずっと親をパパママと呼んでいてそのまま成長してしまい、変え時を逃しました的な感じは無くはないが。
まぁでも残りの3分の2には俺の意志が入っている。
あっ、ちなみに小じゃなくて大の方。
流石の俺も立ちションしながら知らない男たちの前でケツを出せば恥ずかしいくらいの羞恥心は持ち合わせている。
理由は2つ。
まず1つ目はズボンが汚れるのがなんか嫌だから。
ズボンを下ろした状態で便座に座るとズボンがだんだん落ちてきて最後には床についてしまうだろう?それがなんか嫌っ!
潔癖でもなんでもないがトイレの床ってなんか嫌じゃん?
それがちょっと耐えられない。だから俺は大便するときはまずズボンとパンツを脱いで折り畳んでおく。
次に2つ目、それはちょっとしたスリルを味わうためだ。こっちがメインと言っても過言ではない。
壁一枚挟んだこちら側では股間丸出し。トイレなんだから当たり前と言っちゃ当たり前だがそれでもその中では最大級の露出。
鍵をかけ忘れていたりバカな奴に上から覗かれでもしたらちょっとしたネタ扱いをされることは簡単に想像がつく。俺は晒し上げにされ、女子にはひかれることだろう。これでも俺は真っ当な高校2年生。そんなことになったら恥ずか死ぬ。
この、平和な日常の中のちょっとしたスリルがなんとも言えない。たまらんねこれは。
そんな俺は今日も今日とて学校の休み時間中に大便をしている。洋式トイレに座り、ズボンとパンツは個室の後方のトイレットペーパーの山の上に置いてある。トイレットペーパーの上なら許せるってもんだ。
俺はトイレの個室の中でするべきことを済ませ、いざズボンとパンツを履こうと後ろに体をひねり、右手を伸ばす。
と、そのなにげないルーティーンのその瞬間、
「うっ、なんだこれは!?」
急に視界が一面白色に覆われる。俺は眩しさのあまり目を閉じてしまう。
俺は驚くばかりで体が全く動かない。メドゥーサに睨まれて石化してしまったかの如くにだ。
20秒ほどするとついさっきまでまぶたの上からでも感じられていた強い光が和らぐ。
俺はもう大丈夫だろうと思って目を開ける。
そしてその先に見えたは、豪華絢爛で広々とした部屋だった。さらには周りには俺を囲んでたくさんの人間たちが並んでいた。
普通の運動神経の俺は奇跡的に空気椅子の状態で大便スタイルを維持していた。
そして上半身は学校の黒い学ラン、下半身は生まれたままの状態を露出させていた。
しまいに俺の右手は何かを掴んでいたが、それはすぐに俺のパンツではなく可愛らしい外国人風の少女のおっぱいだったと分かる。
生まれて初めての感触を味わう余裕は俺にはなく、反射的にこう尋ねていた。
「え?ここどこ?てかアンタ誰?」
俺の疑問に対して少女は悲鳴をもって答えた。
「きゃああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
俺はあっという間に剣を持った奴らに囲まれ、そのまま牢屋へとぶち込まれた。