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聖女たちの仲間割れ  作者: 楠木奏子
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床に手をついて倒れ込んでいた彼女は、眠っていたのか気絶をしていたのか、たった今目を覚ましたようだ。


起き上がりながら寝ぼけ眼でキョロキョロと見回すと、一瞬困惑したように顔をしかめ、すぐに大きく目と口を見開いたら。

まるで漫画のキャラクターのようだなと、ぼんやり考えていると彼女がまた声を発した。


「ここ、どこなの……。ゆ、ゆめ?」


夢だと思うよね。あ、そうか、夢なのかな、これ。夢だといいな。

同意したい気持ちでいっぱいになるも、奇妙な格好の人たちが怖くて動けない。


「ひゃあ……! あの、あなたたち、何!?」


すごい。あんな得体の知れない格好の人たちに、普通に話しかけている。それに、アニメみたいな甲高く可愛らしい声だ。


「成功……したようですね」


後ろから澄んだよく通る女性の声が聞こえる。

声を発したのは鳥マスクの一人だろう。今度は思わず勢いのまま振り向く。

声の主はやはり女性だった。マスクを外しにこやかにこちらを見下ろしている。

その女性は、銀髪とも言えるような色素の薄いブロンドの長髪をゆるやかに結い上げ、面白そうにアイスブルーの瞳を細めている。私は口を情けなくぽかんと開きながら、まるで彫刻のように綺麗なこの人は一体誰なんだろうと思った。


「そうか……。間違いないな」


銀髪の女性の隣に立っている男性がマスクを外しながら落ち着いた深い声で尋ねる。

彼の動きに合わせて残りの2枚もマスクを外した。


現われた顔は揃いも揃って、映画にでも登場しそうに整っている。

「間違いないな」と女性に確認をとった男性は、50歳くらいだろうか、ライオンのように顔をぐるりと覆う髭を蓄えており、ふさふさと豊かな明るい茶色の髪が若々しさと威厳を端正な顔に加えている。

すごくダンディだけど、こちらを射抜くように見つめる鷹を思わせる深い色の目は、なんというか、怖い。


見つめられるだけで脂汗がじんわりと滲み出る。


残りの2人のうち1人は20代と思しき若い男性で、ダンディさんと同じ髪の色をしていた。硬そうな髪は小綺麗に整えられており爽やかな印象を受ける。

もう1人は全体的に骨ばった白髪のおじいさん。こちらをしかめっ面で見下ろしてくるのが恐ろしいったらない。


「2人だな…」

お髭のダンディが、ホールいっぱいに響きそうな重厚な声で言うと、

「ええ、無事に召喚できたようですわね」と、銀髪の女性が意味ありげに微笑みながら答える。

「聖女で間違いないか」


一体何の話をしているのだろう。

よくわからない。

なんだか、あたまが、ぐらぐらしてきた……。

ああ、もう、駄目だ。


緊張と恐怖からだろうか。

私の記憶は一度、そこで途切れた。


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