誰得向けエロくないネット官能小説の書き方
オシリス文庫第一回次世代官能小説大賞 http://pc.hnovel.jp/ex/noc_award01/ というのを見かけ、ちょっと書いてみようという気分になる。
で、官能小説を書くにあたって、私の場合まず準備をする。
たとえば、姫騎士くっころ系を書く場合、とりあえず設定を作らないといけないのでとりあえず七代ぐらい家系図を……
「まてやこら」
おー、突っ込んでくれたのは『昨日宰相今日JK明日悪役令嬢』のエリー(棒)。
エ「自キャラ対談って今は地雷のご時世にエロを語らせるスタイルがまた……」
いや、某美少女魔術師が盗賊をぶちのめすラノベのあとがき大好きだったので。
1)何でこんな事をするのか?
エ「わざわざ地雷と分かって踏みに行く理由って何よ?」
それは、私の小説の書き方に答えがあったりする。
基本、私が小説を書く場合、
生活中にシーンが視える > それを書く > 話を繋げるようにでっち上げる
の繰り返しで、こんなのが視えたからに他ならない。
エ「視えたのを書かないって選択はなし?」
それをするとかえってイメージが固まって、他のイメージが視えないんだよね。
で、吐き出すことにした。
エ「基本プロットなしで行き当たりばったりで書いてばっかりだからね」
だから、私の場合物語を完成させてから、プロットを作る。
『昨日宰相今日JK明日悪役令嬢』なんかそうなんだけど、全体像を作者本人が書いてる途中でわからないから、完成させてからがある意味本番なんだよね。
で、その途中にも関係ないイメージはどんどん視えるからたちが悪い。
真面目な話、小説投稿サイトがないとこの書き方は無理だわ。
エ「途中でエタらせるのを見る読者もかわいそうに」
けど、完成品を並べるより未完成品を並べた方が作者的には、手札が増えるからイメージを視るのが楽になるんだ。
『昨日宰相今日JK明日悪役令嬢』は『タロット・ガール』や『戦記風伝説のプリンセスバトル』からコンバートしたからね。
おまけに、読者が感想をくれる事もあるからインスピレーションが湧きやすいし。
エ「それで七転八倒する私の身にもなって欲しい……」
2)さぁ、エロい話をしよう
一応、R-15ぐらいで会話させようという形でこの話は作られています。
エ「考えてみると、ヒロインならぬエロインというあたり作者の業が深い……」
安心しろ。
何度かエロい話を書く度に、『エロくない』と言われ続けたからR-18になる事はない!
エ「どうしてくれよう。こいつ……」
まずは、真面目な話から。
官能小説の定義とは何か?
エ「R-18タグを読めや。こら」
すまん。
質問の仕方がまずかった。
出版されている官能小説の定義とはなにか?
エ「?」
私が出した結論は、
『物語におけるエロ描写が全体の半分程度を占める作品』
の事だと思っている。
実際に官能小説を書こうと思って、古本屋から官能小説を買ってきて解析してみた。
サンプル30冊程度で、レーベルもばらした平均比率がこれなので、まぁ語れるぐらいの説得力はあると思っている。
で、官能小説にも歴史があって、昔はエロ比率が少なかったんだ。
エ「!?」
レーベル名を出すけど、『くりいむレモン』なんかの頃はエロ比率三割程度。
物語の中にエロがあるという感じ。
80年台の話だけど、SFとファンタジーとエロがごちゃ混ぜになっていた古き良き時代。
これ以降でエロが三割程度なのを私は『同級生』や『Kanon』等のノベルゲーム系ノベライズでしか見た覚えはないね。
要するに、起承転結の『転』がエロシーンという訳だ。
エ「エロ文学にも歴史ありか」
もちろん、これとは別にエロメインで話が作られている官能小説の系譜もある。
だが、何か小説を書いた事がある人ならばわかるが、一つのシーンの比重を大きくすればするほど他のシーンが圧迫される。
官能小説はそれとの戦いと言っても過言ではない。
とある美少女系官能小説なんて、エロ比率七割を超えた結果、最期1ページで大逆転というオチに私はびっくりだ。
エ「一時期大量に出まわってましたね。その手の作品……」
3)属性変化(官能小説編)
このあたりを真面目に調べるとそこに匠の技があったりするから奥深い。
たとえば、物語を破綻させずにエロを増やすパターンでハーレムが多いけど、これは属性変化ができるという一点で革命的だったりする。
エ「『ツンデレ』とか『巨乳』とかの属性?」
それ。
まず、現在の主流官能小説のフォーマットを出しておこう。
出版されている小説である以上、起承転結からは逃れられない。
これを更に四分割する。
つまり、
起承転結 > 起『起承転結』 承『起承転結』 転『起承転結』 結『起承転結』
という形にするんだ。
で、ハーレムだと最期の結を丸々エロにできるから、25%確保。
起承転の『』でまとめた所の転部をエロにするから、6.25%×3=18.75%
18.75+25=43.75%
まあ誤差もあるけど半分程度と言った理由がこれだ。
これをわかりやすくしてみよう。
美少女A『出会い・告白・エッチ・交際』 美少女B『出会い・告白・エッチ・交際』 美少女C『出会い・告白・エッチ・交際』 ハーレムエッチ『A・B・C・三人』
エ「その手の本で、三人の美少女が書かれているのはこれか……」
これが一人のヒロインでやる場合はこうなる。
出会い・調教・堕ち・末路(大逆転)
エ「えらく少ないけど、エロ比考えたら75%だこれ!!」
読者に飽きさせないように、手を変え品を変えて責めないと話がもたない。
だから、一人のヒロインでの官能小説は必然的に『濃く』ないと話にならない。
そういうのを出してくる作者はその分技量があるか、業が深いと私は思っている。
4)エロくない理由
エ「これだけアーキテクトが分かっているのならば、書けそうだと思うのですが?」
1)を思い出してくれ。
エ「あっ……」
行き当たりばったりで書いている私にとって、アーキテクトがある官能小説って致命的に話が合わないんだ。
ぶっちゃけると、事後シーンで話を続ける方が話を進めやすいから、エロシーンが『でっちあげ』になる。
そりゃ、エロくない罠。
これもやってみると分かるが、適当にアダルト動画を見て喘ぎ声を抜き出して見るといい。
種類の少なさに愕然とするから。
で、余計な情報を入れるのだが、これが話を横に逸らすからどんどんエロくなくなってゆく。
エ「余計な情報?」
エリーだと華姫設定なんかがそれ。
単純堕ちものにすればいいのに、社会システムとしての性行為なんてのを考えだすから、エロ小説のはずなのにドキュメンタリーになっていると言われたことが。
たとえば、エリーの官能小説を書く場合、『昨日宰相今日JK明日悪役令嬢』の裏ストーリーになる。
エリーが華姫になるまでの陵辱調教を書けばいいのだが、そこによけいにものが視えるからドラマができてしまう。
たとえば、奴隷娼婦の競りなんかを書いていたら、その競りでの駆け引きや決済、更に背後の貴族とかのドロドロヌメヌメなんがが。
エ「そりゃ、官能小説ではないわね」
言われたのが『二時間ドラマの午後10時のエロ』。
話にいるのかと言われるとまったく言い返せないけど、読者をひきつけるならば十分な吸引力があって、それ単体で見たらうーんと首をかしげるもの。
エリーを使った話を書くと、アーキテクトはこんな感じになる。
絵梨異世界に飛ばされる・陵辱の後売られて調教・華姫として娼館へ・その後
で、『昨日宰相今日JK明日悪役令嬢』読めば分かると思うけど、私が書きたいのはその後の先なんだよね。
つまり、逆境から這い上がってという『設定』が欲しいだけで、その過程はあまり興味が無い。
こういう前提で書けばそりゃエロくない罠。
エ「でも、賞があるから出すつもりで設定を考えてくるんでしょ?」
その予定。
ガチエロにするつもりなんだが、一人だと属性を考えるのがめんどい。
で、乱交系にする事にした。
エ「乱交系?」
この手の調教、特に需要と供給を入れると一人を丁寧に育てると割が合わない。
複数の女の子達が陵辱調教されている中で、一人、また一人とドロップアウトしてゆく中でエリーが華姫として成り上がる過程を属性変化にするつもり。
エ「どう考えても、今の時代と求めているものが違うような気がするのだけど……」
なお、絵梨ビッチ化もので、『現代社会で真面目な優等生委員長な絵梨は異世界先ではビッチ娼婦でした』というタイトルだけ考えたが、多分こっちの方が需要がありそうなんだよなぁ。
これだと、『昨日宰相今日JK明日悪役令嬢』のかなりの部分が使えなくなるので、締め切りに悶絶するという罠。
5)おわりに
という訳で、『昨日宰相今日JK明日悪役令嬢』のスピンオフ系エロを書いて、オシリス文庫第一回次世代官能小説大賞に出してみる予定。
エ「自分の作品だからって徹底的にしゃぶり尽くすスタイル」
『昨日宰相今日JK明日悪役令嬢』はものが完成しているからこっちが自由に使える試験作なんだよね。
色々な賞に出して、その反応からこっちも学ばせてもらったものがあるし。
なお、確定で設定整理で恋愛増し増しのVer.2を出す予定。
話の大本は変えるつもりはないけど、キャラクター整理とかは積極的にする予定。
エ「つまり私の七転八倒は続くわけだ……orz」