異世界転生果つ
「………uislbefd…」
…あれ
中学の水泳の授業中に俺はプールで溺れて…?
どうなったんだっけ?
保健室…では無いよな?
自宅でも無いし
天井がめっちゃ高くない?
えっ??
体が“赤ちゃん”になってる!!!
「mslryjabi…」
めっちゃ美形の女性…母親?
言葉分かんないし、
嘘!!まじ!?
プールで死んじゃって異世界転生!?
前世の記憶残ってるよ!?
無双とかできちゃうの?
そこは魔法がある世界
そこそこの土地を治める貴族の子として産まれたらしい
幼少から文字と言葉を習熟
そしてこっそりと魔法の訓練
家の中で練習すると色々と危ないから
俺の正面に1㎥の異空間を生み出す
本来はアイテムボックスのような使い方をするのだが
その中で魔法発動の練習をする
まだ幼い俺個人の所有物なんて無いしね
魔力枯渇が魔力増強の鍵
そりゃ枯渇⇔全快繰り返すよね
侍女たちが剣の特訓は6歳から始めるなんて言ってた
絶対にそれまでに魔法で成果を出す!
異世界での剣の訓練なんて余裕で死ねる…
中学生の進路相談でも将来の夢は
「エアコンの効いた部屋で仕事をする!」
ってことを宣言してたし
親や先生に
ちがうちがうそうじゃないって
白い眼で見られてたけど
大切なとこだよね?
親に魔法の才能を見せつけ
6歳で魔法学院に入学
剣術の練習は週1回1コマ40分程だけで済む
これだけでも泣きそうだけど
入学時に測定される
魔法に関する知識、魔力量、実技は全て首位
しまった…首席は入学時のスピーチがあるんだった
魔力量は学院長の400~500倍はあるので
すぐに学校では放っておかれている
運よく剣術は成績に入らないらしい
魔法学院においては体の使い方を憶えるだけの
体操のようなものなんだって
剣術成績は下から数えた方が早いので助かった
基本的に同級生からぼーっとしているように見られるが
実は正面の1㎦の空間を絶対零度にしたり
逆に数千万℃の灼熱地獄にしたりして
魔力の枯渇と回復を繰り返し続けている
自然回復力も上がってきているので
なかなかに枯渇も一苦労なのだ
毎年に行われる学年末の実力テスト
25年次入学の俺は常に首位
「何で私が首席になれないんですの?」
「君が不正をしている証拠を掴んだよ」
「何で授業中に真面目じゃない君が首席なんだ!?」
各地で魔術の神童とされ入学してきた貴族達に結構絡まれる…
特に俺はそれに対して反論しない
というか…
煽られ待ちをしている
我ながら性格悪いと思うけど
レッサーパンダが立って両手を広げて威嚇
チワワがきゃんきゃん吠えて来る
そんな感じで微笑ましくすらある
この世界の貴族はそもそも美形が多くない!?
なんか怒りが湧くような生理的に無理な相手がそもそもいない
あと教育レベル、文明レベルに地域性があるのか
煽りの言葉にも地方性があって面白い!
「君の祖父に顔向けできるのか!?」
ウチの祖父は町内会のカラオケ狂いで
マイク離さないからめっちゃ嫌われてますよっと
「食中毒に当たってしまえばいいんですのよ」
これどういう煽りなんだろう?
賞味期限に気を付けてねの反対ってこと?
豆腐の角に頭をぶつけて死ね…的な?
別の年次の首席やら新任教師から
「君が噂の25年次首席だね。勝負だ!」
と絡まれるけど勝負に気を遣う
そりゃわざとは負けないよ…
負けないけど
手加減して勝つ事が難しい
象が蟻を殺さずに負けを認めさせる
2cm横を全力で踏みつぶしても
降参しない(できない?)
実力差が分からないのか
観衆がいるからなのか
これどうすれば良いの?
酸欠にして窒息させてるけどさぁ
これ一歩間違えば障害とか死のリスクあるだろうし…
そんなこんなで在学が長くなる程
こちらの実力が漏れ伝わるのか
絡まれる事は少なくなったかな
何せ10年連続で首位
卒業後の進路は誰もが注目していた
国のトップである研究職だったり
そのまま学院の主任教師に誘われた
たけどせっかくの異世界転生
ダンジョン攻略をする冒険者になろう
うん
彼女が一緒に潜りたいってのを優先させたのさ
彼女は元々学院の中で絡んできた
金髪碧眼ツンデレツインテドリル貴族だったんだけど
うん…と、分からせた…つもりが懐かれて、
今や立場が逆転しちゃって
こっちがベタ惚れしちゃった、うん
だって属性モリモリ超絶美女なんだもん…
初めて会った時十度見くらいしたよ
うん。凝視かな。
さて…
ダンジョンは人の多い土地に発生して
どんどん成長する
厳密に言えばその土地の人間が魔法を使う程に
その反エネルギーを吸収して
ダンジョンが増えたり、深くなっていったりするらしい
人が多くても魔法を使わない部族みたいな集まりだと
全然そこのダンジョンは育たないんだって
俺は生まれてこの方
馬鹿みたいに年中魔法を発動してたけど
それは異空間内で発動してたから
どうもこの世界のダンジョンには影響が無かったみたい
これ…授業で最初に習った時はめちゃ焦ったなぁ
そんな訳で彼女の要望で
ダンジョンに一緒に入る事になったんだけど
彼女はすぐ妊娠しちゃって
なぜか俺一人でダンジョン潜ってる
まぁ、一人の方が気楽なんだよね
彼女が怪我しないようにとか
彼女に達成感を味合わせたいとか気を遣うしね
んで
どんどん制覇していってる
制覇ダンジョンが10を超えた頃から
「あっこのダンジョン制覇しましたー」
って言っても誰も驚かなくなる
本来は2,3年に1度ぐらいの大事らしいけど
週1で制覇してたらそりゃそうなるか
その週1ってのもほとんど移動時間だし…
ダンジョンのために遠くまで出かけるのが億劫になり
そこらで夜な夜な空に大魔法を発動させる
翌日には
「新たなダンジョンだぁー」
と報告を聞いては制覇し、、、
マッチポンプ勇者が誕生
そんな作業に飽きた頃に
娘が産まれる
嫁と俺の興味はダンジョンから娘に移って
蝶よ花よと可愛がる
嫁は結局ダンジョンに5回位しか行かなかったな…
あ、俺のせいか…
娘に俺と同じ訓練を教えたらあら不思議
娘も圧倒的な魔力保有の化け物級に
3歳にして学院長レベルじゃないか
この子は天才だ
10年後
娘3人と一緒にダンジョンに遊びに行くほどになる
旅行がてらと言う事で家族で遠出しながら
次々とダンジョンを制覇している
ある日の俺のアイテムボックス
これまで魔法をそこで使い続けていた反動からか
魔界が生まれ魔王が現れる
ちょっとやばかった
5年程をかけて
娘3人と一緒に討伐することが出来た
親馬鹿にも娘3人は世界最強!
美少女で強いと思うけど
魔王討伐は俺が1人でやってたら瞬殺できたのは
娘3人には内緒だ
娘のレクリエーションとして
魔王を使わせてもらった
俺のアイテムボックスから
魔界が生まれ魔王が出てきてたことは
誰にも内緒にしてある
やばかったと言ったのはコレ
嫁と娘に嫌われては生きていけない
魔界の制覇と魔王の討伐
偉業を成し遂げた俺や俺の娘達を慕って
俺を王とする国ができた
王となった俺は
政務に追われ自由な時間が減った
というか嫁と娘になかなか会えなくなったけど
いい加減な生活をして嫁と娘に嫌われる方が辛い
嫁や娘も今やそれぞれの立場があり忙しいのだ
国の中では日本での経験を元に
憲法を作り、民主主義を敷き、
圧倒的暴力を持った人材(娘)を憲兵とした
娘が婚約者を連れてきたので決闘だ
素粒子レベルまで分解してやる
さすがに嫁に止められたけど
自国の周辺では何故か
ダンジョンが多く生まれた事で
産業は豊かになり人も集まった
トランプ、UNO、オセロ、将棋などの娯楽や
TV、タブレットPCのようなものを疑似的に作り
世界最先端の国として皆が豊かに暮らしている
そして幾年
今日は孫娘が遊びに来た
立場を考えずに世界最強の王の元へ突撃してくる天使
政務を後回しにすると大臣が睨みをきかせてくる
たまにしか会えないんだから許してって…
最強の座は譲るからさ
孫娘が帰ったらめっちゃ頑張るからさ
睨みを見ない振りして
一緒に宮殿の中庭で遊ぶ
きゃっきゃと遊んでる内に
突然電池が切れたかのように
孫娘がうつらうつらし始めたので
抱きあげそのままベンチに座る
手の中でスース―と幸せそうに眠る孫娘の重み
その異常に多い魔力量を感じながら
俺も仕事疲れで
うつらうつら…
幸せの中にあった
「おい。大丈夫か??」
「…ん”、ヴェ!?」
空が見える。プールサイド。ここは中学のプール??
「良かった。助かったんだな。しばらく呼吸止まってたんだぞ。」
「……」
日本語が分からなくなっていた。
オチに向けて一点突破