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変わった日常

日常と非日常、平凡な生活を送る高校生にとってはどちらもさほど変わらない日々。この日々が彼ら彼女らにとってはとても大切な思い出になっていく。

だがそんなある日にとびきりの非日常が飛び込んできたらどうなるのか。これはとある高校生の風間かざま あおが日常が少し変わった非日常を送る物語である。


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「ジリリリリリっ……ジリリリリリっ……」朝、部屋の中に置いてある目覚まし時計が鳴り響く。ベッドの真上に置いてある目覚まし時計をまだ頭が目を覚ましていないが何とか手を伸ばして真上の目覚まし時計を止めた。


「うるせぇ……」目を閉じながらベッドから体を起こした。目を擦り何とか目を開けた。彼は風間 蒼、どこにでもいる極々普通の男子高校生である。

体を起こしてボーッとしていること約五分、蒼は両腕を上に突き出して伸びをした後にベッドから絨毯に足を付けて部屋から出ていった。


蒼の部屋は二階であり二階の階段を降りていくと階段の先に「あら蒼おはよう。珍しく一人で起きられたじゃない。これならお母さんが毎日起こさなくてもいいんじゃない?蒼の母親、藍璃あいりがエプロン姿で蒼の目の前にいた。どうやら中々起きてこない蒼を起こしに行こうとしていたらしい。


「おはよう母さん。別に一人でも起きられるよ。まぁ起こしに来てくれた方が嬉しいけど」「朝弱いのはダメだよ~今の内に克服しておきなさいよ」蒼は朝に弱く中々起きてこない。そのため藍璃が毎朝基本的には起こしに行っているようだ。洗面所に行き一度あくびをした後に顔を洗って、歯を磨いた。


すると後ろから「ほら、朝ごはん出来てるわよ」そう言ってリビングの方に向かった藍璃。蒼も続いてリビングに行くと、テーブルにはトーストと目玉焼きが二個置かれていた。

トーストにはピーナッツバターが塗られているのとバターが塗られているのがあり、蒼はピーナッツバターが塗られているトースト側にある椅子に座りトーストを手に持ち食べた。


トーストを齧る音と同時にテーブルに置いてあるテレビのリモコンを手に取り電源ボタンを押して朝のテレビを見始めた。テレビを付けると朝の星座占いがやっていた。

テレビのアナウンサーが「今日もやってきました朝の星座占いのお時間です!今日第一位は…しし座の貴方!」「お、一位だ」朝ごはんを食べながら朝の星座占いを見るのがルーティーンの蒼。自分の星座が一位だった時は少しテンションが上がる。


「しし座の貴方は今日は最高の一日!運命の出会いをするでしょう!足元にはご注意を~」占いの内容を聞いた蒼は「運命の出会い?そんなのもうしてるのに何の運命の出会いなんだろ?」占いの内容に少し疑問が残ってしまった。

「なになに占い?蒼は好きねぇ。運命の出会いだって、好きな人でもできたりするんじゃないの?」藍璃が台所からリビングに戻り蒼の向かいに座り藍璃も食パンを食べた。


「いやそんな占いの結果だけで好きな人が出来るとは思わないけど」そう母には伝えたが心に内では「それにもう好きな人はいるし…」蒼は心に決めた人がいる。


「ふ~ん。まぁ二年生になってすぐなんだしそろそろ恋事情をお母さんに聞かせて欲しいな~」蒼は少し顔を赤く染めて「言うわけないでしょそんなこと!遅刻するからそろそろ支度するよ!」朝食を食べ終えた蒼は思春期なりの態度を見せて二階に上がり自分の部屋に入った。


部屋に入ると寝間着を脱ぎタンスから学校の制服を取り出した。シャツに着替えて少しサイズの合っていないブレザーを着た。

テーブルに置いてある鏡で髪型をチェックして近くに置いてある櫛癖毛を少し直して「よし」スクールバッグを持ち部屋から出て一階に降りた。


一階におりてそのまま玄関に行き靴を履いていると「忘れ物ない?」藍璃が見送りに来た。「うん。昨日の内に見てあるから大丈夫」「そう、なら気をつけて行ってらっしゃい」藍璃が手を振ると蒼も手を振り「行ってきます」と、言いながら玄関の扉を開けて学校に向かった。


徒歩通学の蒼は歩きながらスクールバッグのチャックを開けて取り出したのは青いイヤホンだった。スマホにイヤホンを付けて音楽を聴き始めた。蒼の癒しの時間、一人で通学する際は自分の好きな音楽を聴きながら通学する。蒼の一つのルーティンである。


歩きながら占いの内容を思い返していた。「運命の出会いか、恋愛的な意味じゃないとしたらなんだろう?占いで初めてそういう出会いがあるかもってやっぱり気にするよなぁ。まぁいつも通りの日常を送ればそれでいいか。俺はあいつらとあの人に会えれば……」変わらない日常を謳歌する毎日。それが蒼にとってとても充実した日々になっていた。親しい友達と会って一緒に笑いあってふざけあって、これ以上にないほど。


そんな占いのことを考えていた蒼だがその時、足元から「パリンッ」と音がした。足元に違和感を感じた。何かを踏んでしまった事に気が付いた蒼は足元を見るとそこにはガラス玉ような綺麗な球が踏んだことによって二つに割れてしまっていた。

「なんだろこれ?」割れた片方を拾いよく観察した。その球の中身は緋色で見ているとどこか穏やかな気持ちになっていくような感覚になっていた蒼。


見惚れてしまったがハッと気が付き「あっぶな、寝てくところだった」あまりに小穏やかで暖かな気持ちになってしまい思わず寝てしまうところだった。


「にしても綺麗な球だな…せっかくだし持っていくか」そう言ってもう片方の割れた球も拾いズボンのポケットに入れた。

ふとスマホの画面を見ると時間は8時を過ぎていた。「やば、早くいかないと!」遅刻してしまうおそれがあるため早足で学校に向かった。

蒼が去って少しすると球を割った場所に一人の女性が立っていた。女性は割った場所を見て少し口角を上げ「やったね。これで私は…」不適の笑みを浮かべた。


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 蒼は学校に着き自分の教室に入った。遅刻ギリギリではなかったが始業時間の十分前程度だった。自分の席に座り鞄を席の横に置きイヤホンを外して鞄にしまった。


授業の準備をしていると「よぉ」と声をかけられた。声の方を向くと隣の席に座った男子高生が。「渉、おはよ」彼の名前は林翠りんすいわたる。蒼とは中学生から一緒にいる蒼の親友だった。


渉は席に座った途端に鞄を席の横にかけてすぐに机に突っ伏して眠りについた。すぐに眠りにつく渉に蒼は「お前もうすぐホームルームだぞ。よく寝ていられるな」十分も経たないうちにチャイムが鳴りホームルームが始まるというのに寝始める渉に少し呆れ気味の蒼。

机に突っ伏したまま渉は「まだ十分あるだろ?だったら別にいいだろ」是が非でも眠りにつくようだ。


少し苦笑いを浮かべる蒼は自分の準備を進めていると「蒼君、おはよう」蒼の前から可愛らしい声が聞こえた。蒼は少しドキッとした後に顔を上げると「さ、佐奈さん。お、おはよう」少し緊張気味の蒼。彼女の名前は白石しらいし佐奈さな。佐奈は蒼に笑顔を向けていた。

佐奈は蒼の前の席で席につく前に寝ている渉に「渉君もおはよう。渉君はいつも寝ているね」どうやら朝の渉が寝ているのは恒例行事らしい。渉は顔を上げなかったが手を挙げてあいさつ代わりにした。

相変わらずと思った佐奈だったが日常の風景に少し笑みをこぼした後に席につき準備を始めた。


「そういえば蒼君課題やった?」佐奈は準備をしている中で後ろの席の蒼に振り返って宿題の話を振った。突然話かけられた蒼は「えっ、もちろんやったよ」心の準備が出来ていなかったようで少し声が裏返った。そんな事を気にしていなかった佐奈は「今回の課題難しかったよね~私何度も間違えちゃったよ。蒼君も難しかった?」何気ない会話だが蒼は少しドキドキしながら「そ、そうだね。難しかったけど俺は渉と一緒にやったから大丈夫だったよ」

「渉君と?いいな~渉君は学年一位のすっごく勉強ができるから教えてもらって。でも蒼君も賢いから問題なかったよね?」

「俺は平均ぐらいだよ。勉強なら佐奈さんの方が出来るでしょ?」

「私はそこまでだよ、特に数学はちょっと苦手だから今日の課題は手こずっちゃったよ」


何気ない会話ではあるが蒼はドキドキしていた。それもそのはずなぜなら彼は「顔可愛い過ぎるよ、いつかは好きって言える日が来るのかな…?」蒼の好きな人は紛れもなく佐奈だった。天真爛漫の彼女と話してきて好きになるのにはそう時間はかからなかった。


佐奈の話していると学校のチャイムが鳴った。「あっそろそろホームルームだね」そう言った佐奈は前を向いた。蒼も準備が終わり渉を起こそうと横を見ると渉は欠伸をしながらではあったが既に起きていた。


チャイムが鳴り少しすると教室の扉が開き担任の先生が入ってきた。先生の話を聞いているふりをしていた蒼は例の割れた球の事を考えていた。ポケットから二つに割れた球の片方を取り出し「本当に綺麗な球だな。あんな場所に落ちてたってことは誰かが落としていったのかな?だとしたら勝手に割って勝手に持っていくって結構ヤバいことしてないか俺?まぁただの球だろうし子供のおもちゃの可能性が高いだろ。じゃないと俺……」

誰かが落としてしまったものだと思ってしまい、少し焦りを感じてしまった蒼は色々な可能性を考えていると「お~い蒼、話を聞いておけよ~」担任の女性の先生が完全にボーっとしていた蒼に注意をした。

「あっ、すいません」クラスが少し笑いに包まれた。


そんな中で「これで私のホームルームは終わりだけど、ビッグニュースだ。なんと今日は転校生が来ているぞ」この一言でクラス中がざわざわし始めた。「転校生だって、どんな子かな?」「男だったら仲良くしたいな」「転校生なんて学生生活で初めてだよ」それぞれが転校生に期待を寄せる中で蒼は渉に「転校生だって。渉はどんな人だと思う?」蒼も転校生の事を気になっていた。


渉はあまり興味なさげに「別にどんなやつだろうと仲良くになるかならないかだろ」少し冷たい言い方だが「それはそうだけど、なんだかんだ仲良くしたいだろ」蒼と渉が話していると前の佐奈が振り返って「どんな人でも渉君は優しくしてくれるよね」そう言われた渉はそっぽを向いた。


「じゃあ入ってきて」先生が転校生を呼ぶと教室の扉が開き転校生が入ってきた。入ってきたのは女の子、ピンク色の髪色のポニーテール。黒色のカーディガンを着て色白の肌だった。

女の子は入って黒板に自分の名前を書き始め書き終わるとクラスの皆に顔を向けて「初めまして。私は神原かみはら天使てんしと言います。皆とは仲良くしていきたいの、これからもよろしくお願いします」そう言って頭を下げた。彼女は自らの名前を天使と言った。


「天使だって。変わった名前してるな」渉に転校生に聞かれないぐらいの声で名前のことを言った。「天使か。まぁ良い名前じゃないか?本当の天使っぽいし」顔立ちはかなり可愛らしいため天使の見た目らしいと思った渉。「いやそういう問題なのか?」


先生は辺りを見渡すと蒼の方に指をさし「席はあそこが空いてるからそこに座って」「はい、分かりました」蒼の後ろに席はなぜか空席だった。そのためそこを天使の席にした先生。

「マジか。俺の後ろか」蒼は内心を少し驚いたが空席はここしか空いていないため妥当だと思った。


天使は蒼の後ろの席まで歩いた。だが蒼の隣を通り過ぎようとした瞬間「放課後、屋上まできなさい。話があるの」蒼の脳内に響く声が聞こえた。明らか声は天使の声だった。蒼は天使を見たが天使が直接伝えたようには見えなかった。そもそも蒼だけに伝えたとしたら距離的にも渉や佐奈にも伝わるはず。


不思議に思う蒼だが脳内に響く言葉「放課後、屋上に…?」だが声は少し低く怖いと思ったが行かなかったそれはそれでとんでもない目にあう可能性もあるため向かうと決めた。


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 蒼は声は天使だと確信していて今日一日の天使の卯動きを見ていたが転校生ということもあって一日中彼女の周りにはクラスメイトがいた。色々な後ろの席の天使で会話の内容も聞こえていた。質問を色々されていたが特別変わった返答はしていなかった。むしろ皆には笑った表情で明るく振舞っていたため蒼の印象としてはかなり良い人というものだった。


変わった様子もなく今日の授業も終わる放課後になった。渉は鞄をもち「よし帰るか」と言ってそそくさに帰っていった。普段なら渉についていき一緒に帰る蒼だが呼び出されているため渉にはついていかなかった。佐奈も鞄を持ち「蒼君じゃあね。また明日」と言って蒼に手を振った。「う、うん。また明日」蒼も同様に手を振った。


少し一息つきクラスにはほとんど人がいなくなり後ろの天使に話かけようとしたが天使は既にいなくなっていた。「もう屋上にいったのか」蒼の知らないうちにどうやら屋上に向かったようだ。


蒼は鞄を教室に置いて教室を出て屋上へと足を運ぶ蒼。屋上に向かう際呼ばれた理由を考えていた。「う~ん転校生に呼び出されるってなんだ?俺あの子と関わりあったか?いやさすがに初対面だしな~。ってことは…まさか告白!?いやいやそんなわけ…でももしそうだとしたら俺はなんて答えたら。う~ん」少し淡い期待を持つ蒼。そんな事を考えていると屋上の扉の前に立っていた。


ドキドキしながら一度深呼吸をした後に扉を開けた。夕方の屋上に天使は一人立っていた。蒼は静かに歩き天使に近づいていった。蒼に気が付いた天使も蒼の方を振り向いた。天使の元に来た蒼は「は、話って何?」蒼が緊張気味に話しかけると天使はある不思議な事を蒼に話した。


「単刀直入に言うわ。私は天界から地上界に舞い降りた天使、ミカエルよ」「……えっ?」あまりの唐突すぎる告白に思考が回らなかった蒼。「天使?天界?ミカエル?何を言ってるんだこの人?」到底信じられる話ではない蒼は困惑していた。


困惑する蒼に目もくれずに天使は「信じていいないでしょうけど、私は正真正銘の天使よ。まぁ貴方鈍感そうだし、目で見て分からないわよね?」少し小ばかにした言い方をする天使に厶ッとなった蒼は付き合っていられないと思い天使から振り返って「そんな事を伝えるために呼んだのなら帰らせてもらうよ」バカバカしいと感じた蒼は帰ることにした。


扉に向かい歩いていく蒼だが一つ気がかりなことが。「にしてもあの脳に響く声はなんだったんだろ?俺の勘違い…?」そんな事を考えていた蒼だが天使の方から突然強風が吹き始めた。今まで風なんて吹いていなかったため驚いて振り返った蒼の目に映ったのは衝撃の光景だった。


蒼の目には天使の背中からおとぎ話に出てくるような真っ白な天使の翼が上下に動いて、少し宙に浮いている姿が映っていた。唖然とする蒼に天使は「分かったでしょ?私が本物の天使だってことが。改めて、私の話を聞きなさい」蒼はこの瞬間確信した。彼女は神原天使と言う名前ではなく、本物の天使ミカエルだということが。


彼女との出会いが蒼の日常を変えていくことになっていく。

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