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悪い知らせ

サツキナの元にジョージ・アクレナイトからの使者がやって来た。 


使者は悪い知らせを持って来た。

 サツキナを始め、ブラックフォレスト王国の面々は青い顔をしてその知らせを聞いた。

「シンジノア様が行方不明……?」

「はい。レンドル侯の所からカーラ山脈に向かう途中で蛮族に襲われたと言っておりました。シンジノア様はシャルル様と一緒に先に逃げて行かれたのですが、シャルル様を助ける為にご自分は蛮族と戦って……その後、姿が見えません。シャルル様の話では3騎の蛮族が襲って来たという事です。その遺体は川付近で見付かりました。もしや川に落ちてしまったのかと川岸やら近くの村やらを探したのですが、まだ見つかっておりません」

サツキナは体が震えた。


「我が主はサツキナ姫にご心配をお掛けするのはとお考えになり、ご連絡を控えておりましたが、如何せん、もう行方不明になってから2か月も経ちますので、取り急ぎご連絡だけはと」


「サツキナ姫。大丈夫です。遺体は見付かっておりません。どこかで生きておらえます。ただ怪我などをして動けないでいるのかと……引き続き、我々はシンジノア殿を探します。

必ずお見付けいたします……主人は本当であるなら自分かルイス殿がここへ来るべきであるのだが、今現在イエローフォレスト王国はリエッサ王妃のジョレス国王夫妻毒殺嫌疑で上へ下への大騒ぎで、とても王都を離れる事は出来ないと言っておられました。大変申し訳が無いとお伝えしてくれと仰っておられました」

使者はそう言った。


サツキナは椅子に倒れ込んだ。

「サツキナ姫!」

カラミス王子が駆け寄った。


サツキナは暫くじっと宙を見詰めていたが、すっくと立ち上がった。

「こうしてはいられません。お父様。私もシンジノア様を探しにイエローフオレスト王国へ参ります。使者殿。申し訳が有りませんが、明日私も連れて帰ってください」

「何だと!」

ダンテは叫んだ。

「危険だ!」

カラミス王子も叫んだ。

「何を考えている。今、イエローフォレスト王国は動乱の最中だ。そんな場所に角を持つお前が行ったら……」

ヨハンが言った。


「何と言われようと私は行きます!! きっとシンジノア様は私が行くのを待っておられます」

そう言うと、だっと謁見室を飛び出した。

後ろのわあわあと言う騒ぎはもう耳に入らなかった。


「信じられん……鉄砲玉の様な娘じゃ……」

ダンテはそう言った。


「ダンテ王。私がサツキナ姫に同行し、姫を御守り致します」

カラミス王子はダンテの前でそう言った。

「おお。そうしてくださると有難い。あの娘は恐ろしい程の頑固者じゃ。言い出したら梃子でも動かぬ」

ダンテは返した。


「モモ。私と一緒にイエローフォレスト王国へ行くのだ」

カラミスはそう言ってモモに手を伸ばしたが、モモはぷいっと横を向いた。そしてダンテ王のガウンに駆け上がるとそのポケットにするりと潜り込んだ。ダンテのポケットからそっと顔を出してカラミスを見ている。

「がーん! 私を捨てるのか? お前は私の従者では無いのか?」

カラミスは言った。



ダンテ王は笑った。

「カラミス王子よ。儂の勝ちじゃな。……モモはここで儂とブラックフォレスト王国を守っておるよ。サツキナ姫の御守りをくれぐれもお願いいたします」

ダンテはそう言って頭を下げた。


 その晩、セナがサツキナに帽子を作ってくれた。猫耳の付いた帽子。

もふもふの柔らかい布で出来ていた。

「ほら、サツキナ様。こうやって耳の部分に角を入れて仕舞えば、猫耳の付いた可愛いお帽子を被った女の子という事になりますでしょう?」

「サツキナ様。こちらはウサギ耳で御座います。季節は誂えた様に丁度冬。暖かいですよ。お可愛らしいサツキナ様にピッタリかと」

侍女のマリアが言った。


帽子は頭全体を覆って顎のところでリボンで結ぶ。

サツキナはそれを被ってみる。

ちょっと、この年でうさ耳とか猫耳とかは恥ずかしいが仕方がない。サツキナは二人を抱き締めてお礼を言った。

「サツキナ様。お気を付けて。必ず無事にお帰りください」

セナが言った。

「サツキナ様とシンジノア様の事を毎日ゼノン神に祈っておりますね」

マリアが言った。



 次の日、サツキナはカラミス王子とその従者サンダー、そしてオダッチ、ヨハンと共にイエローフォレスト王国へ向かった。


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