カオス
「すぐにリエッサ王妃を捕えて国に対する重罪で牢屋にぶち込むのです。そしてあの王妃の婚約者と側近、レオナルド・パンジーとクリス・ポピーはグリンデルタ国のスパイです。
彼等を拘束して話をさせるのです!」
ジョージは畳み掛ける様に言った。
「すぐにハアロ殿には軍を率いてカーラ山脈に出兵してもらわねば」
宰相が言った。
「アクレナイト侯は」
「私はすぐにでも領地へ帰ってグリンデルタ軍に備えます」
「ま、待て」
ハアロは言った。
「それでは王都ががら空きに」
「王都は我が息子。ルイスが守ります。将軍、兵を一部王都に残して置いてください。ルイスに指揮をさせます」
「うーむ……だが、儂は今、娘にそんな嫌疑が掛かっておるのに王都を離れる訳には……」
ハアロは言った。
誰もが呆れた。
そんな事を言っている場合では無いだろうと思った。
「何を言っておられますか!」
財務大臣が厳しい声で言った。
「グリンデルタ軍がやってくるのですよ!」
「そ、それはそうだが」
「カーラ山脈はどうするのですか!」
「う、うむ……」
「だったら将軍。ルイスがカーラ山脈に行きます。ルイスに将軍の兵を貸してください。港もカーラ鉱山もイエローフォレスト王国の要です。決して奪われてはならない! グリンデルタ如きに! 魔女の策略で国を滅ぼすなど絶対に許せん!」
ジョージはきっぱりと言った。
「わ、分かった。だったらルイス殿に軍を引き連れて言って貰おう。すぐに話をする」
「では、ここへルイスを呼びます」
「それよりも先にリエッサ王妃とパンジー男爵の逮捕を」
国務大臣は叫んだ。
「わ、分かった。分かっておる!! 大きな声を出すな!」
突然ハアロは切れた。
「一刻を争うのです。いつ、グリンデルタがやって来るか。宰相殿。貴族達に国を守れと号令を出すのです!リエッサは廃位です!!」
「廃位だと!? まだ魔女だと決まった訳でも無いのに!」
「だとしたらリエッサは国賊だ!!売国奴に裁判など必要ない! すぐに死刑だ」
「な、何だと。この野郎!!」
ハアロは国務大臣に掴みかかった。
わあわあと声がする。部屋の中はカオス状態だった。
シャルルとカランは茫然とそれを見ていた。
どんどんとドアを叩く音が響いた。
皆、ぴたりと動きを止めた。
財務大臣がドアを開けると青い顔をした神官が告げた。
「大変です。ハアロ大将軍。魔女を捕えたと今、王宮から連絡が……」
「えっ?」
「魔女はミア・ハアロ様だそうです。あなた様にも王妃に対する謀反の嫌疑が掛けられております!」
「な、何だって!」
誰もが一斉に叫んだ。




