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試合

中庭で二人は剣の稽古をしている。

サツキナは白いシャツの剣士姿だ。青い胴着を身に着けていた。黒いうさ耳の帽子を着けている。そこから出ている豊かな黒い髪。そして黒い瞳。対するカラミス王子も剣士姿。真っ赤な髪に赤い胴着。濃いブルーの瞳が美しく映える。


シンジノアは中庭で二人の稽古を見ていた。向こう側にデイジーがいた。シンジノアと目が合うとデイジーはぷいと去って行った。

いつの間にか沢山の見物人が集まって来た。


カン、カン……と剣の弾く音がする。サツキナの剣は細く鋭い。対するカラミス王子の剣はうんと大きい。

シンジノアははらはらしながら二人を見ていた。


あんなに本気でやらなくてもいいのに。

あの男は女性相手に何を考えているのだと思った。



すっとサツキナは腰の剣をもう一本抜いた。

「マジで反則くせえ! 二刀流っすか?」

カラミスが叫んだ。

「そっちの方が力があるのだから! これで五分五分よ!」

「きったねえ! 勝つ為なら手段を選ばねえんだから!」

「うるさいわね。そんなの負け犬の遠吠えよ」

目にも止らぬスピードでサツキナの剣が舞う。それを猛スピードで弾くカラミス王子。

カンカンカンカン。カンカンカンカン。

「うぉりやぁ!」

剣を力一杯振り上げたカラミス王子。

シンシノアは心臓が止まるかと思った。


キーン。

サツキナの剣が弾かれて飛んだ。

「やべ!」

うわぁっ!とギャラリーの壁が開く。

剣はくるりと弧を描くと、ざっと地面に刺さった。

誰もがあっけに取られた。

だが、サツキナのもう一本の剣はカラミス王子の脇腹にその切っ先を向けていた。


「あれ?」

「脇が空き過ぎね。はい、これで5勝ね」

「くそっ! ムカつく!」

「へっへっへっ(笑)」


二人は礼をする。

割れんばかりの拍手が起きた。

息を詰めて見ていたシンジノアはふうっと大きく息を吐いた。そして額の汗を拭った。

心臓がばくばくと言っている。


無性にあの二人に腹が立った。

もう二度とこんな思いは御免だと思った。


「すげえな。あの魔族のお姫様。俺はびっくりしたぜ。あの剣の速さ」

「あの鋭い突きを躱す赤毛王子も半端ない」

「あの王子は細いくせに力があるな」

「俺達も頑張らなくちゃな」

そんな声が聞こえる。


ガジールとフィリップも二人の稽古を見て驚いていた。

「あれは予想以上だな」

「俺、サツキナ姫に負けちゃうかも」

ガジールが言った。

「いや、負けるだろう。ウチの隊長だってヤバいんじゃないのか?」

「俺が何だって?」

シンジノアが言った。

「あれ? 隊長。見ていたのですか?」

「ああ」

「すげえ試合でしたね。目にも止らぬ速さでしたよ。それにまた無駄な動きが一個も無い。

ありゃあ、もう殺人マシーンですね。隊長のお姫様は。怖い。怖い」

「あんな強いお姫様だったら俺達もう要らないかも」

「隊長。惚れ直したでしょう?」

ガジールがそう言ってシンジノアは不機嫌な顔でぶすりとして言った。

「ああ、全く。とんでもない婚約者だよ。剣も強いが気も強い。確かに俺も負ける。もう二度と剣の稽古はさせない。二度とな!!」

 そう言うとサツキナとカラミスの所に急ぎ足で去って行った。



 その後ろ姿を二人は唖然として見送る。

「おい」

フィリップがガジールの脇腹を突く。

「あれは心配しているんじゃないのか? すげえ怒っていたぞ」

「やべえぞ。カラミス王子に突っかかるかも知れん」

二人は急いでその後を追った。



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