04 舞踏会
今回の舞踏会は皇室で一番広いダンスホールで行われる。シャンデリアが眩しいほど輝き、陽気な音楽が流れている。テーブルの上には豪華な料理が所狭しと並べられており、食欲をそそる。アリシアたちが到着した時にはすでにたくさんの貴族達が談笑していた。
「クランシー公爵御一家のご到着です。」
そう紹介されてアリシア達が会場に入った。貴族達から一斉に見られ少し居心地が悪かったが、表情には出さずに歩き出す。
今日のアリシアは淡い水色のドレスを身に纏っていた。アリシアが動くたびに裾のチュールがふわふわと舞う。本当は動きやすいドレスを着たかったが、張り切ったメイド達にこれもあれもと着せ替え人形のようにされ、その中でも動きやすいものを選んだらこのドレスになった。さらにいつも以上にコルセットを絞められてしまった。胸元がキツく息苦しい。今すぐにでも脱いでしまいたい。さっさと陛下たちに挨拶をして帰ろう。そう心に決めた。
「アリシア?気持ちが表情にですぎだよ?そんな顔していたら母上に縛り付けられてでも最後までここにいることになるよ?」
「・・・。あら?なんのことですの?」
ニコリと笑いエドガーの顔を見上げる。とぼける気満々である。そんなアリシアにエドガーもニコリと笑い
「せっかく綺麗なんだから、楽しもうよ。」
エドガーもニコリと笑った。その笑みを見た一部の令嬢達から黄色い歓声が上がる。エドガーはまさに童話の王子様のような外見をしている。茶色の髪の毛は動くたびにサラサラと動き、触ったら柔らかそうで、エメラルドグリーンに輝く瞳には彼の性格である優しさが滲み出している。「お兄様とダンスをしたい御令嬢がたくさんいらっしゃるようですわよ?」
その言葉にエドガーは周りを見渡し、再度アリシアを見た。
「今日はアリシアをエスコートすることが僕の仕事だからね。他の令嬢方はまたの機会にお願いしようかな。」
「私を風除けにしないでください。」
(めんどくさいからって一緒にいる気ね。勘弁して欲しいわ)
ジトリをエドガーを見上げる。この男は外見こそ王子様のようであるが、内心はかなりの腹黒である。めんどくさいことはいつもアリシアにさりげなく押し付ける。
「それもあるけど、母上からアリシアから目を離さないように言われているんだ。僕も母上には敵わないからね。」
と、わざとらしく肩をすぼめてみせた。
(お母様を出してくるなんで卑怯すぎる!そう言われたら何も言えないじゃない!)
「それなら、最後までしっかりエスコートしてくださいませ。」
「もちろんだよ。」
お互いニコリと笑い、最初の一曲目のダンスをすることにした。




