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ラクシャ公爵家の日常

ラクシャ公爵の奥さんが保育系に拘る理由(ワケ)

作者: 呉月娘

スペンサーさんとエリザベートさんの馴れ初めを書いていて、スペンサーさんの悪事を作りたくなりました。


よろしくお願いいたします。

「君がラクシャ公爵の奥さんか…。はじめまして、僕はスペンサー・ハングリッドだ」


ある日、エルさまがお仕事でいない日のこと。


旦那さまの親戚だという男性が訪ねてきた。


「はぁ…」


ハングリッド公爵は、銀髪で赤い瞳が美しいと思う。


だけども、私は会いたくない人物だ。


「僕には会いたく無かっただろうね。僕も、君にどういう顔をしていいか分からないからね」


彼は少し緊張しているのかもしれない。 

ゆっくりとした口調で、

私の様子を伺いながら話を進めていく。


「セバス…」

私は執事の名前を呼ぶ。


「はい、奥さま」


「…エルさまは?」


「しばらく帰ってきません。通信魔法で…」

「いいえ、呼ばないで。ハングリッド公爵がお帰りになるまで、エルさまはここには入れないで」

私は執事に命ずる。

もう、12歳だから頑張れるはず。


そして、ハングリッド公爵を見る。


「父を殺すように、エルさまに命じられたハングリッド公爵。何をしにいらしたのですか?」


そして、問う。

今更何の用だと。



■■■■■


とても静かな時間だ。

時計の音のみが響く。   


この邸は、こんなにも広いのか。


そう思ってしまうほどに。


「僕は謝罪に来た訳ではないよ…」

ハングリッド公爵は静かな声で口火を切った。


「ハングリッド公爵として下した決断を間違いだとは思わない」


「そうですか」    

確かに彼は間違ってはいない。


「なら、何をしに?」


「あー、そうだね…」

しばらく考え込み、


「僕は何をしに来たんだろうね?」


まさかの疑問返しにお茶を吐き出しそうになる。


「ハングリッド公爵…?」


「僕はね、君に会いたかったんだよ。ただ見てみたかった。それだけだよ」


「それだけ?」


「それだけだよ。僕はどうやら、君に興味があるらしい」


「閣下っ!!」

セバスの怒号に、


「純粋にね。僕は君に会いたかったんだよ」

「何故?」


「何となくだよ…」


彼は優しく微笑う。


困ったような笑み。


エルさまに少し似た笑み。    


「寂しいの…?」


エルさまも寂しいと言っていた。


「…そうか。エルシードは寂しいって?」

彼は問う。


「君がいるのに?」

静かな声で。


「不思議だね。君ではエルシードの寂しさを満たせなかったの?」


その言葉にカッとなり、

「ハングリッド公爵っ!!」

セバスの批難の声が重なる。


「僕はただ聞いただけだよ」

彼は言う。


「だからね、助言をあげよう」

「助言?」


「エルシードが母親を殺したくなったら、【許さない】ことを認めてあげるんだよ」

「何故?」


「【許すこと】は美徳じゃない。許す相手に我慢を強いいることだ。相手は傷つけ、自分は【許す】という我慢をするのは余りにも不公平だろ?憎む自由を、母親を捨てる権利を認めてあげるんだ」


「それは悲しいわ…」

私はそう思う。


だって、親なのよ?

産んでくれた人、

育ててくれた人、

大切な家族なの。


私はだから、父を…。



だけど、

「親に対して情を持っているほど、辛いものは無いよ…。助けて欲しいと願うことすら罪深いと感じてしまうほどにね」

ハングリッド公爵は、まるで自分の経験でそれを知っているかのように、私を見て言うのだった。


■■■■


そして、私は…【知る】ために学び続ける。

旦那さまは【一体化】してしまい、

ハングリッド公爵が【拒絶】した親への愛について。


なのに、それなのに私は…。


「旦那さま…」

「はぁい?」

あんマンを食べる夫に、


「大学院を留年したのに、お祭りに行くのは良くないわ…」


腕を組みながら、現在文句を言っている。


現世の欲にまみれて、大学院から留年通知が来ましたからね(TOT)


うぅっ、お祭りの華やかや賑わいが心を傷つけていく。


「せっかくのお祭りなんだよ?一緒に回ろうよ」

「留年したのよ、私…」


「また勉強できるチャンスがあるから、素敵なことじゃないか?」


夫よ。貴方は私の留年通知を見て、モンペと化しましたよね。私は忘れませんよ。銃撃隊を引き連れて、大学に来た貴方を。


「前向きね…」

まるで、あのモンペ事件を無かったかのように言う夫に呆れたため息が出てしまう。

「前しか進めないなら、後ろ向きはやるだけ時間の無駄だよ」  

サラッと言う夫。

私は知っている。貴方、皇太子にコンコンと説教を受けたんですってね?


「貴方は本当に前向きですね」

サラッと皇太子の説教はスルーですか?


「君は物事をよく考える素晴らしい人だね。どうしても、保育系を勉強したいんだろ?」

「…うん」

「なら、頑張りなさい。必ず私はね、君を待っているから」

「寂しくない?」

その質問をすると困った顔をするが、

「寂しくても、君は必ず帰ってきてくれるじゃないか」

だから平気だと夫は笑ってくれた。


作者は人見知りが激しいので、知っているキャラがいないと駄目です。知っているキャラって、心強いですよね。


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