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04 橋の建設計画は順調に進む
クプルムとリービッヒの持ちかけたインキュベート川への橋の建設案は、とんとん拍子に進んだ。
勿論、橋の建設に回せるような潤沢な資金など伯爵領には無かったが、其れを見越して、リービッヒは密かに投資を募る計画も立てていた。
伯爵領と隣の辺境伯領に橋ができて街道が整備されれば、隣国との交易をするには最短ルートを通れる。
インキュベート川は流れも激しく、船渡し所か橋の建設等、夢のまた夢と言うのが国中の認識だった。
今まで、隣国に繋がる街道は、国の東側を南北に連なる険し山脈の南側を迂回し、幾つもの領地を通り、その度に通行税を納めなければならなかった。
有り余る橋の恩恵を前に、辺境伯や商人達は少なくない額の資金の投資約束してくれた。
また、幸運な事に高額な橋の設計費用は不要だった。
何故なら、クプルムとリービッヒが設計者で、隣国の橋建設も彼等の立てたプロジェクトだからだ。
隣国からも、技術者の育成との名目で資材や人手の支援があった。
厳しい冬が開ける頃には、本格的に工事が始まり、伯爵領はおおいに活気づいた。