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大魔王→黒猫  作者: (著)まっつぅ♪ (イラスト)SpringFizz
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91.開かずの間秘密(その2)

(さて、どうやってあの部屋に入ろうか?)

父親がいる日でないと開かない部屋、あの部屋には絶対秘密があるはずだ。

しかしこの間のようにしても父親に見つかってしまうし、父親が中にいるときにドアを開けようとしたが内側から鍵がかかっていた。

そうなると、父親がいる日でかつ鍵が開いていて父親が部屋にいないタイミングを狙うしかないのだが…

(無理難題過ぎるのではないか?)

とにかくチャンスを待つしかあるまい。


今日は日曜日、いつものように家には家族が揃っている。

「ケイちゃん、ご飯だから降りてきてね。」

最近お気に入りのキャットタワーの最上段にいる我に結が食事を持ってきてくれる。

我は慣れた足取りで結の足元に降りる。

「えへへ、キャットタワー気に入ってくれてるんだ。」

結は自分が作ったキャットタワーを我が使っているのをとても喜んでいる。

(まあ子供の作った物にしては良く出来ているとは思うし、高いところから見下ろせるのは悪くない。)

それに恩人が喜んでいるのは悪くない。

我が食事を始めると、結は自分の食事のためにキッチンへ戻っていった。


「結は今日どうするの?」

「今日はみんなと遊ぶ約束してる。」

リビングでは朝食を食べながらの家族の会話が聞こえる。

「舞衣は?」

「私も美羽と遊んでくる。」

どうやら今日は結も舞衣も出かけるらしい。

ここに来て最初の頃は土日はほぼ結か舞衣がいて我を構ってきたのだが、最近はそこまでではない。

『子供だから飽きた』というわけでもなく、『我がいるのが当たり前の生活になって落ち着いた』ということであろう。

「ごちそうさまでした、それじゃ行ってきまーす。」

「ごちそうさまでした。私も~」

「夕飯までには帰ってきてね。」

「「はーい。」」

子供達が騒がしく出かけていくと、リビングは静かになる。

「2人共出かけちゃったかぁ。それなら僕は部屋にいようかな?」

おっ、今日はあの部屋が開くのか。これはチャンスかもしれん。

「…また?」

それを聞いた母親が父親を見る。

なんか母親の顔から表情が消えているように見える。正直恐怖を感じる…

「いやっ、なんかあったらちゃんと手伝うよっ!いつでも呼んでいいから!」

それを見た父親が慌てる。

「まあいいけど。ほどほどにしてよね。」

ちょっとした警告だったのだろうか?母親の顔はすぐにいつもの表情に戻った。

「いやぁ、最近新しいの入ったからさぁ。つい…ね?」

「つい、じゃないでしょ。好きなことに熱心なのは構わないけど。」

「わかってるって。さっきも言ったけど、なんかあったらちゃんと手伝うから。」

「はいはい。」

そんな不憫な父親が今日も慌てふためいていたのだった。


…そして我は待っている。

今あの部屋には父親が入っている。

そのままでは入れないことはわかっているので、父親が部屋に入ってしばらくしてから、我はドアの近くに潜んでいる。

作戦はこうだ。

1.母親が父親を呼ぶ、または父親が自ら部屋を出るのを待つ

2.ドアが開いたら出てくる父親に見つからないよう、そっと部屋に忍び込む

3.外から鍵をかけられるので、父親が次に入るときにそっと出る

正直上手く行くかはわからんが、多少のリスクはしょうがあるまい。

しかし待ち続けてだいぶ経つが、なかなかチャンスが訪れない。

今か今かと待ち続ける我にやっとその時が訪れた。

『ガチャッ』

「はぁ、今いいとこだったのになぁ。なんでこのタイミングでママから呼び出しあるかなぁ…」

どうやら何かしらの方法で母親から連絡が来たのであろう。父親は愚痴りながら部屋から出てきた。

我は父親に見つからないよう、また鈴が鳴らないように慎重に動き出す。

「ちょっとパパ、まだなの?」

リビングの方から母親の声が聞こえた。そのタイミングで父親の意識がそちらに向かう。

「ごめん、すぐ行く。」

我はそのタイミングを狙って部屋に忍び込む。そしてそのままドアが閉じる。

(成功だっ!)

我は見事に開かずの間に潜入することに成功したのだった。

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