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大魔王→黒猫  作者: (著)まっつぅ♪ (イラスト)SpringFizz
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89.猫の健康診断(その3)

「はい、それでは尿を取ります。ケイくんは暴れないいい子ですが、念のためこのエリザベスカラーを着けますね。」

そう言って医者が取り出したのは謎の透明な道具。

「エリザベスカラーってなんですか?」

結が我の代わりに道具の質問をしてくれる。

「エリザベスカラーは動物の首に着けることで身体のいろいろなところを舐めないようにする物です。今からお腹に尿抽出のための針を刺しますから、念のために着けてもらうんですよ。」

なるほど、筒状になっているのはそういうことか。確かにこれが首についていたら顔から上は完全に隔離されて何も出来んな。

「はい、それでは着けますね。」

そう言って医者は我の首に取り付ける。透明だから視界が遮られることはないが、圧迫感というかなんというか…

「それではケイくんにはここに寝転がってもらいます。」

連れて行かれたのはいつもとは別の診察台。我はそこで横向きに寝させられた。

「では採尿を始めますね。」

我の下半身の方にいる医者の手にはなにやら細い針、そしてその針から透明な長い管が伸びている。

「はい、ケイちゃん大人しくしましょうね。」

いつの間にか我の上半身側にゆう子の母親が来て我を落ち着かせるように撫でる。きっと普通の猫なら暴れてしまうのだろう。

(状況がわかっているのに暴れるわけがないだろうが。)

相変わらず誰も彼もが我を子供扱いして気に入らない。

そうしているうちに医者が我の腹に針を刺す。少々チクリとするが、まあその程度だ。

「相変わらず大人しいですね。」

「ケイちゃんえらいですから当然です。」

結は得意気にそう言う。

「…はい、これで採尿も終わりました。それでは最後にこのまま採血します。」

医者は注射と言ったか?そのときに使ったものと同じような道具を取り出す。前回の予防接種とかいうときは中になにやら液体が入っていたが、今回は何も入っていない。

「予防接種は首からしましたが、採血は後ろ足から行います。」

今度は後ろ足の太もも辺りがチクリとした。そして何も入っていなかった道具の中に我の血が溜まっていく。

「はい、これで本日の検査は終了となります。」

やっとのことで開放されるか。医者は我の首からエリザベスカラーを取る。

「ケイちゃん、大人しくしててえらかったね。」

結はそう言って開放された我を抱きかかえる。だから子供扱いをするな。

「本当に偉かったね。普通はこんなに早く検査終わらないですよ。」

医者が感心したように言う。

「そんなに暴れちゃう子多いんですか?」

「そうですね、大人しい子でも今日の倍ぐらいの時間がかかるのが普通ですね。」

「そうなんだ、やっぱりケイちゃんは特別なんだ!」

結は我を抱えて嬉しそうにする。それを見守る大人達。

「今日の診察では異常は見つかりませんでした。他の検査結果は1週間後にはわかりますので、また受け取りに来てください。」

「ありがとうございます。そのときはケイちゃん一緒にいたほうがいいですか?」

「いえ、検査結果だけですから大丈夫ですよ。もし何か異常が見つかった場合は事前に連絡しますので、その場合は連れて来て下さいね。」

「はい、わかりました。」

「それではこれで本日は終了となります。」

「はい、ありがとうございます!」

こうして我の初めての健康診断は特に問題もなく終了した。


後日

「ケイちゃん、ケイちゃん!」

結が作ってくれたキャットタワーの一番高い位置にある部屋でくつろいでいると、結が嬉しそうに寄ってくる。

最近我はソファよりもここにいることが多い。やはり大魔王として下々の者よりも高い位置にいるのが当然であろう。

「あのね、こないだの検査の結果が出てね。ケイちゃんはすっごく健康でアレルギーも何も心配いらないんだって!」

そうか、何も問題なかったか。まあそうであろうな。

我が大魔王として君臨していたときはあらゆる病気などとは無縁だったのだからな。

まあ多少貧弱な猫の身体になってしまったとはいえ、健康なのは当然であろう。

「よかったね!これからももっともっとずっと一緒にいられるね!」

本当に結は我のこととなるとこのように大喜びしおって…

「にゃー(まあこれからもよろしくしてやろう。)」

我は結に向かってひと声かけたのだった。

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