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大魔王→黒猫  作者: (著)まっつぅ♪ (イラスト)SpringFizz
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87.猫の健康診断(その1)

誰視点かを追記しました(2022/11/23)

結視点


「結ちゃん、土曜日遊ぼうよ。」

いつものように杏ちゃんが休み時間にみんなと私のところに来る。

「あ、土曜日はごめん。病院行くことになってるの。」

「えっ、結ちゃんなんか病気なの?」

「ううん、ケイちゃんの健康診断あるからゆっこちゃんとこに行くの。」

ケイちゃんがウチに来てもう半年ぐらいになる。

そろそろちゃんとした健康診断やらなきゃ、ってことで今週末に受けることになってる。

「健康診断?猫もするんだ?なんか人間みたいだね。」

杏ちゃんが不思議そうに聞いてきた。

「動物だから健康診断は大事なんだって。猫ちゃんしゃべれないでしょ?だから身体に悪いところあっても伝えることができないから、ちゃんと見つけてあげないとダメなんだってゆっこちゃんのパパさんが言ってたよ。」

私も定期検診とは違うちゃんとした健康診断があるなんて聞くまで知らなかった。

なんでも1年に1回は受けたほうがいいみたい。

「そうなんだぁ。じゃあ土曜は遊ぶ時間ないんだね…」

「ごめんね、日曜なら大丈夫なんだけど。」

「じゃあ、日曜!絶対だからね!!」

「うん。ゆっこちゃんと陽菜ちゃんは?」

「私は大丈夫。」

「私も日曜日なら大丈夫です。」

「なら日曜はみんなで遊び行くからね。約束だからね。」

「うん!」

「やった!」

杏ちゃんがみんなでって喜ぶのもちょっとわかる。

最近全員そろって遊べる回数が減ってる。ゆっこちゃんは元々塾に通ってたんだけど、最近陽菜ちゃんも塾に通い始めた。それに私もケイちゃんのことがあるから、みんなで予定合わせるのが難しくなってきちゃった。

そういえば陽菜ちゃんが塾に通うって聞いて杏ちゃんが「陽菜に裏切られたっ!!」って言ってたっけ。

でもそう考えると、杏ちゃんって私たちばっかり予定できちゃってさびしかったのかな?

ケイちゃんのこと大事だけど、杏ちゃんにさびしい思いさせるのはちょっと違うよね。

(時間の使い方って難しい…)

でもとりあえず日曜はみんなと楽しめる時間にしたいな。


ケイ視点


「ケイちゃん、今日は病院行くよ。」

朝食後に結がいつものバッグを持って我のところにやってきた。

事前に聞いていたから知っていたが、今日は病院の日だ。

「にゃー(構わん。)」

我はそう言って、結が持ってきたバッグに自ら入る。

「わぁ、ケイちゃん自分で入るなんてえらいね!」

たったそれだけのことで本当に嬉しそうにする結。

「にゃー(いいからさっさと行くぞ。)」

結も流石にわかっているのか、以前のようにバッグの蓋を閉めようとはしない。

我の入ったバッグを持ち上げると、いつものように母親の運転で病院へと向かった。


「こんにちは。」

診察室に入ると、いつものように柔和な笑顔の医者が出迎えてくれた。

「にゃー(今日は世話になる。)」

「ケイくんはいつも挨拶ができて偉いね。」

挨拶などできて当たり前なのだが、そんな我を皆が微笑ましそうな顔で見る。

…子供じゃないんだ、やめてくれ。

「それでは本日の健康診断の説明をしますね。わからないことがあったら質問してくださいね。」

「はい。」

「本日の検査はまず身体検査。これは体温と体重を測ってから触診と聴診を行います。」

「触診と聴診ってなんですか?」

流石にこのぐらいの医療知識は我でもわかるが結はまだ子供だ、わからなくても仕方あるまい。

「触診というのは身体を触ってどこか悪いところがないか調べることです。身体に腫れているところがないか?しこりができているところがないか?それに骨に異常はないか?関節は傷んでないか?お腹に異常はないか?ということを調べます。」

「触るだけでそんなにわかるんですか?」

「触るだけで全部がわかるわけではないんですよ。違和感があったら、そこを詳しく調べるようにするんです。そうすることによって病気や怪我かどうか判断するんですよ。」

「そうなんだ…ですね。」

結はいつものように話しかけて言い直す。やはりどこの世界でも医者は偉いのであろうか?ここに来ると結は丁寧に話そうとしている。

それを医者は微笑ましく見ている。

「聴診は心臓、肺、腸の音を聞きます。これは結ちゃんも病院で診察してもらうとしてもらいますね?それと一緒です。」

「はい、わかりました。」

「次に尿検査と便検査をします。便は事前のご連絡通りお持ちいただいていますか?」

「はい、これで大丈夫ですか?」

そう言って母親は袋を出す。便検査ということは、あれに我の便が入っているということか?

(いつの間に用意していたのだ?確かに我のトイレ掃除は結と舞衣がやっているが、それを保存していたとは…)

排泄物を持ち出されるのはいい気分ではない。しかもそれをこれから検査されるとなると何か嫌な気分になるというか、辱めを受けている気分になるというか…

検査なのだからしょうがないとはいえ、ここまで徹底するものなのかという驚きもある。

これも発達した医療ということなのだろう。

「ありがとうございます、それではお預かりしますね。尿検査は体内から直接尿を抽出します。」

「今からケイちゃんにおしっこしてもらうのではないんですか?」

「尿は体外に排出されると細菌が付着してしまうんですよ。ですから、体内から直接取ることでより詳しく検査できるんですよ。」

「直接取るってどうやるんですか?」

「お腹に注射器みたいな細い針を刺して取ります。」

「ケイちゃん痛くないの?」

結はちょっと不安そうな顔をしている。それに喋り方がいつものように戻っている。

「ケイくんは注射もあまり嫌がらないので大丈夫ですよ。」

「よかったぁ。」

それを聞いて安心する結。本当に我のことを大事に思っているのがわかって少々こそばゆい気分になる。

「それが終わったら血液検査です。こちらは本日は血液を取るだけで終わりになります。検査結果は後日お渡しします。」

「はい。」

「以上が本日の検査になります。何かご質問はありますか?」

「大丈夫です。」

「にゃー(問題ない。進めてくれ。)」

「はい、それでは検査を始めますね。」

こうして我は検査を受けることになった。

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