表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大魔王→黒猫  作者: (著)まっつぅ♪ (イラスト)SpringFizz
89/106

86.猫とダンボール

誰視点かを追記しました(2022/11/23)

結視点


「結~、何してるの?図工の宿題?」

部屋のドアを開けて入ってきたお姉ちゃんが私のやってることを見て聞いてきた。

「違うよ、ケイちゃんの遊び道具作ってるの。」

私はダンボールをカッターで切りながら答えた。

「ずいぶんおっきい物作ろうとしてるね。部屋じゃ狭くない?」

「そうだけど、ケイちゃんにびっくりしてもらいたいから内緒で作りたいの。」

こないだ風邪をひいたときにケイちゃんがずっとそばにいてくれて本当にうれしかった。

だからケイちゃんにお礼をしたいと思ってる。

「なるほど。何作ってるの?お家?」

「ないしょ~。」

「教えてくれたっていいじゃん。私も手伝おっか?」

「いいの、私が作りたいの。お姉ちゃんもびっくりするの作るから。」

私からのケイちゃんのお礼なんだから自分だけで作りたい。それにお姉ちゃんが手伝ったら、なんかどんどんお姉ちゃんが作っちゃいそうでイヤ。

「わかったよ。なら完成を楽しみにしてるね。」

「うん!ケイちゃんにはナイショだからね。」

「わかってるって、頑張ってね。」

「うん!」

お姉ちゃんはそう言って自分の部屋に戻っていった。

私はちょっとだけ組み上がったダンボールに、補強用のダンボールを貼りながらケイちゃんのことを考えてた。

(こないだのケイちゃん不思議だったなぁ。)

私が自分で気づいてない風邪をケイちゃんが教えてくれたのも、私が寝てる間ずっとケイちゃんが枕元にいてくれたのも、全部とてもうれしくて不思議な体験だった。

猫ちゃんが飼い主の体調不良に気づくことがあるってことはママから聞いたけど、それを自分で体験できるなんてびっくりした。

(家族だって、ママだって、認めてくれてうれしいな。)

ケイちゃんが私のこと認めてくれたのが本当にうれしいなぁ。

私は最初からケイちゃんの家族だって思ってやってたけど、それをケイちゃんもわかってくれたんだなぁ。

(だからがんばって作らないと。)

ケイちゃんがよろこんでくれるかな?それに遊んでくれるなら、怪我とかしちゃわないように切り口とか気をつけて作らないとね。

私は早くケイちゃんに渡してあげたい、って思いながらも慎重に丁寧にダンボールを組み合わせていった。


(…できた!!)

作業を始めて1週間、やっと完成した。ダンボールで工作するのなんてほとんどやったことなかったからすっごい時間かかっちゃった。

私が作ったのはダンボールキャットタワー。

4段になってて、各段には大きさの違うダンボールのお部屋がついている。

お部屋の入り口や窓にはダンボールの切り口で怪我しないようにフェルトシールを貼ってあるから安心。それに各部屋にはくつろげるようにタオルがしいてある。

ケイちゃんが入っても安定するように柱には太くて長い筒状のダンボールを使って、ちょっとぐらい暴れても簡単に壊れないように補強もしっかりした。

(これならきっと大丈夫!)

やっとケイちゃんにプレゼントできるんだ!!私はさっそくリビングに持っていこうとして…

(おっきすぎて一人で運べない…)

どうしよう?運ぶことなんて考えてなかった!!

(そうだ!お姉ちゃんにお願いしよう。)

私はお姉ちゃんを呼びに行った。

「運べないって、そんな大きい物作ったの?」

「うん、だから運ぶの手伝って。」

「いいよ。」

私はお姉ちゃんを連れてお部屋に戻ってきた。

「どれどれ?って、これすごいじゃない。キャットタワー?」

「うん。ネットで調べたらダンボールで作れるって書いてあったから作ってみた。」

「よくこんなの一人で作ったね。切り口もちゃんとフェルトシールで補強してるし、ちょっと揺らしてもちゃんと安定してるし。」

「パパとママに相談したら頑丈なダンボール用意してくれたの。」

「え~、知らなかったの私だけ?なんかのけ者みたい…」

「だってお姉ちゃんびっくりさせたかったんだもん。」

「こんなのびっくりするに決まってるよ。」

「やったぁ。」

「それじゃ、下まで運んじゃいましょ。」

「うん!お姉ちゃんありがとう!!」

私はお姉ちゃんと一緒に壊さないように慎重にリビングまで運んでった。


ケイ視点


我は夕飯も食べ終わってソファでゴロゴロしていた。

決してサボっているわけではないぞ。家族が帰ってきているこの時間は下手に動くことができないので基本的に暇なのだ。

すると部屋のドアが開いて、結と舞衣がなにやら大きな物を運んできた。

「結、そこ引っ掛けないように気をつけてね。」

「うん、お姉ちゃん後ろ向きだけど大丈夫?」

「平気。それでこれどこに置くの?」

「ケイちゃんのお部屋の近く、ってママと話してある。」

「わかった。それじゃ、運んじゃうよ。」

「うん。」

結と舞衣は持ってきたものを我のケージの近くに置いて、我に近づいてきた。

「ケイちゃん、こないだはずっと一緒にいてくれてありがとう。風邪ひいたときって一人でいるの心細いからすっごくうれしかったよ。今日はお礼にキャットタワー作ってきたの。」

なんと、これは我への貢物だったのか。

「ケイちゃんダンボール好きでしょ?だからがんばって作ったんだよ。気に入ってくれるといいな。」

結はニコニコしながら我に言った。

「それにね、ケイちゃんがお家に来てくれてから本当に毎日が楽しいの。ケイちゃんが一緒にいてくれるのが本当にうれしいの。だからね、いつもありがとうケイちゃん。ケイちゃんがちょっとでもうれしいって思ってくれたら、私もすっごくうれしいよ。」

(貴様という奴は…)

我としては今までの恩のつもりでやっただけだというのに…しかもこの程度では全然報いてないと思っていたところなのに…

「にゃー(我も貴様には感謝している。)」

たとえ通じないとしてもそう言わずにはいられなかった。

「ケイちゃん喜んでくれてる?やったー!キャットタワーでも遊んでくれるとうれしいな。」

(これではいつになっても恩を返せないではないか…)

結が作ってきたものは子供遊びのようなものだろう。だが結の態度から本当に一生懸命作ったのだろうというのは容易に想像がつく。

それを我に献上するのだ、感謝しないわけがない。

(…そうだな。)

我は少し考えるとキャットタワーの方へ移動した。きっと今結が求めているのもは我がキャットタワーを使うことであろう。

「お姉ちゃん、ケイちゃんがキャットタワーに向かってるよ。」

結は舞衣と一緒に嬉しそうにこちらを見ている。

我は近くでキャットタワーを見ると、どうやらダンボールを重ねて繋ぎ合わせて作ったものだと理解した。

前にダンボールに入ったときも思ったのだが、物を運ぶ用に作られた物だけあって、紙で作ってあるのにとても頑丈だった。そして紙で作ってあるだけあってとても軽かった。

だからこうやって積み上げても形を崩すことないのであろう。

試しに一段上に乗ってみても、我の体重をしっかりと支えてびくともしない。

そのまま二段、三段、と登っても問題がない。

そして最上段にある部屋を見てると、そこにはくつろげるスペースとタオルが敷いてあった。我はひとまずその部屋の上まで登って頂上から景色を見ると、

(おぉ、視界が広い。あまり高い位置からリビングを見たことがなかったが、これは面白い。)

ここからだとリビング内が一望でき、どこに何があるのかがよく見える。

「にゃー(これは快適だ。)」

「見て、お姉ちゃん。ケイちゃん楽しそう。」

「本当だね。結やったじゃん。」

「うん!!」

最上段にいると結や舞衣を見下ろすことができる。まあ舞衣は若干低い程度だが。

姉妹は我を見てとても嬉しそうにしている。

「にゃー(これは気に入ったぞ、感謝する。)」

我は姉妹に感謝すると、しばらく上からの景色や部屋の作りの確認をして楽しんだのだった。

猫はダンボールが好きな子が多いので、こうやってダンボールで何か作ると喜んでくれる子が多いです。

ちょっと大変かもしれませんが、みなさんも飼い猫のためにしてあげたら楽しいかもしれませんね。

きっと作っているときも、作ってから猫が遊んでいるのを見るときもとても幸せな気持ちになるのではないでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ