76.猫は夜行性
誰視点かを追記しました(2022/11/23)
結視点
「最近ケイが午前中寝てること多いのよ。」
夕ご飯中にママがケイちゃんのお話をしてくれた。
「そうなの?こないだまでいたずらして大変だ、って言ってたのに。」
トイレのウォシュレットでいたずらしたときのママは怖かった。怒ってるのに静かで不機嫌なのがわかって話しかけられなかった…
「…まあそのことはいいのよ。猫のいたずらはしょうがないんだから。」
私が何考えてるかわかっちゃったのかな?ママはちょっとごまかすように言った。
「けっこうおっきくなってきたとは言ってもまだ子猫じゃない。よく寝るのは普通なんじゃない?」
お姉ちゃんはそう言ってあまり気にしてないみたい。でも確かにそうかも。
ケイちゃんはウチに来てからずいぶん大きくなった。最初は1キロぐらいだった体重ももう2キロ以上になるんじゃないかな?でもまだ子猫なんだよね。
「まあそうね。家に慣れて生活リズムが変わっただけかもしれないわね。」
「あれ?ケイちゃんまだお家に慣れてなかったの?」
こんなに一緒にいるのにまだ慣れてくれてなかったのかな?もしかしたらケイちゃんにムリさせちゃってたかな?
私は心配になってママに聞いた。
「結はがんばってくれてると思うけど、すぐに慣れるかどうかはその子次第だから。」
そう言ってくれるけど、私は不安になる。
「それに猫って基本的には夜行性なんだから。もしかしたら夜中起きてて午前中寝てるだけかもしれないよ。」
「そうなのかな?」
ゆっこちゃんもそんなこと言ってたけど、夜中のケイちゃんって起きてるのかな?
「私たち2階で寝てるから知らないだけで、夜中に大運動会してるかもよ?」
「運動会!?」
それってケイちゃんがかけっこしたり障害物競走してるのかな?
「そうかしら?朝散らかってるところ見たことないから、それはないんじゃない?」
「そうなんだ。」
ケイちゃんの運動会なら見ててすっごく面白そうなのに。それに絶対かわいい!
「いたずらが減ったならいいんじゃない?ママが怒ることも減るんだから。」
それはわかる。ママがあんなに怒るなんて知らなかったもん。
「舞衣、蒸し返さなくてもいいでしょ。私だって大人気なかったと思ってるんだから。」
ママはちょっとイヤそうな顔をした。
「あのときのママ怖かったよねぇ。結なんてすっかり怯えちゃってさ。」
ちょっとお姉ちゃん!バラさないで!!
「…そうなの?」
ママは私を見る。
「そ、そんなことないよ!ママが私の代わりにケイちゃんしかってくれたんだから。」
私は慌ててママに言う。
「そう、結はママの苦労わかってくれるのね。」
「うん!いつもありがとう!」
なんだかこれ以上この話を続けちゃダメ、って思う!
「そんなことあるって。私だってママに話しかけられなかったんだから。」
「へぇ…」
ママの顔が『ニッコリ』笑顔に変わる。でもなんでか怖いっ!!
「子猫のかわいいいたずらなのにね。大人げないよねぇ。」
お姉ちゃんはママの変化に気づかずに話す。お願い、気づいて!!
「…そういえば結、そろそろ新しい冬服買いに行こっか。ママが似合うのいっぱい買ってあげる。」
「えっと…」
私は急に話が変わってどうしたらいいかわからなくなった。
それにママの張りついた笑顔が怖い…
「ちょっと結ばっかりズルい!私も冬服欲しい!」
お姉ちゃんダメ!これ以上ママを刺激しないで!!
「あら舞衣、あなたいたの?」
ママは笑顔のままお姉ちゃんに言った。
「…えっと、ママ怒ってる?」
やっとママの変化に気づいたお姉ちゃんがとっても気まずそうな顔をする。
「さっさとご飯食べて宿題しなさい。」
怖いっ!笑顔で言ってるのにすっごい怖いよっ!!
「あの〜、ママ言い過ぎた。ごめんなさい…」
お姉ちゃんが気まずそうにママに謝る。
「…さっさとご飯食べて宿題しなさい。」
ママはさっきと同じ笑顔で同じことを言う。
「「…」」
私もお姉ちゃんもこれ以上何も言えなかった…