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大魔王→黒猫  作者: (著)まっつぅ♪ (イラスト)SpringFizz
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74.ゆう子ちゃん先生の放課後レッスン

twitterで報告しましたが、今回から当分の間SpringFizz様のイラストはお休みになります。

イラストを楽しみにされていた方には大変申し訳ございませんが、ご了承いただけますと幸いです。

またイラストを提供してもらえるようになりましたら、改めてご連絡いたします。

「「「おじゃましま~す。」」」

「いらっしゃい、こっちこっち。」

学校が終わってから私たちはゆう子ちゃんのお家に来ました。今日はとても重要な任務になるでしょうからしっかり勉強しないといけません。

(子供でもできる発電方法なのですから、もしかしたらあちらの世界でも再現できるかもしれません。)

実際に見てみないとなんとも言えませんが、私はそんな期待をしています。

「ねえ、ゲームは?」

杏奈ちゃんはお部屋に入るなりゆう子ちゃんに聞きました。

「だから今日は勉強だって言ってるじゃん。ゲームは終わってからね。」

「え~、杏奈ゲームやってるからみんなで勉強してればいいじゃん。」

「杏奈もたまには勉強しなよ。」

「勉強つまんないもん。」

杏奈ちゃんが言う事はわかります。目的がなかった頃の私もそう思っていました。

こちらの世界の教育制度はとても厳格になっています。ほぼ全ての子供が一定の教育を受けることに関してはとても優秀な制度だと思います。国民の教育レベル水準が高いことはとても素晴らしいと思います。

しかしゆう子ちゃんのように勉強ができる子供には物足りないでしょうし、興味があること、ないこと、全て同様に勉強しなくてはならないのは苦痛に感じます。

だからといって習熟度によって内容をわけるためには、教師の選別も必要でしょうし人数も必要でしょうし、何より場所が必要になるでしょう。また教育レベルの格差が広がる要因にもなりかねません。

(何事も完璧はありませんね。)

私がまた記憶を持ったまま元の世界に転生できるとしたら、どんな教育を広めるべきでしょう?

(そうです、実際に記憶を持ったまま転生しているのです。次もそうなる可能性はありますから。)

魔王様に逢えて私の頭はやっと回り始めたみたいです。私はあらゆる可能性を想定して行動しなければなりません。

「でもなんで陽菜は急に勉強しようと思ったの?杏奈と一緒だと思ってたのに…」

考え事をしていた私に杏奈ちゃんはちょっと不機嫌そうに言いました。

「電気って普段使っているのに何も知らなくて…それが不思議だと思ったのです。だからゆう子ちゃんに聞いてみたのです。」

また聞かれる可能性があると思っていましたので、今回はすんなりと子供らしい理由を言うことができました。

「ふ〜ん。だから実験なの?」

「そうだよ、これが実験道具。」

そう言ってゆう子ちゃんが持ってきたのはペットボトルで作った工作ですかね?羽がついているように見えますから、きっと風車と同じ要領で回すのでしょう。

「なにこれ?風車?」

杏奈ちゃんは不思議そうに眺めています。

「うん。羽が回ると発電してこの豆電球が光るんだよ。」

確かによく見ると羽の軸からエナメル線と豆電球が付いてます。

「へ~、やってみてよ。」

「はいはい。」

先程まで興味がなかった杏奈ちゃんが率先して聞いてるのが面白いですね。やはり実験というのは子供の興味を惹くのですね。

「じゃあ回すよ。」

ゆう子ちゃんはそう言って一緒に持ってきた扇風機を付けました。扇風機の風を受けてペットボトルの羽が回ると、

「あ、ついた!!なんで?」

私も驚きました。工作には電源コードも電池も付いていないはずですのに豆電球が光ったのです。確かに発電できているようです。

「不思議です。もしかして軸にしてるモーターみたいなものが発電しているのですか?」

工作をよく見ると軸にモーターのように見えるものが付いています。羽が回ればこれも回ります。そうすることで発電しているのでしょうか?

「みたいなもの、じゃなくてモーターだよ。モーターが回ると発電するみたい。」

「えっ、モーターって電気を使って何かを回すものじゃないの?」

杏奈ちゃんがびっくりしていますが、私もそう思っていました。確か男の子が遊ぶ車のおもちゃで、電池を入れてモーターを回して走るものがあったはずです。

「うん。モーターは電気を使って回すこともできるし、逆に何かの力で回してあげれば電気を作ることもできるんだって。」

「なんで?」

杏奈ちゃんの質問はもっともです。

「なんでかまではわからないけど…モーターって中心にコイルが入ってて、その周りに磁石がついてるんだって。コイルの周りを磁石が回ると発電するんだって。」

「コイルって?」

「銅線をグルグル巻きつけたものらしいよ。」

「へ~」

(これは凄いです!)

銅線ぐらいなら作れます。それに磁石だって向こうの世界にありました。ということはモーターを作って風車や水車の軸にすれば発電できるということではないですか!

「でも発電するために扇風機で電気使ってたら意味なくない?」

真剣に考えていた私は、杏奈ちゃんの子供らしい発想に思わず笑っちゃいそうになりました。

「これはわかりやすくするために扇風機で回してるの。手で回しても発電できるし、風車なんだから風があれば勝手に回ってくれるでしょ?」

「それはそっか。そういえば結ちゃん全然驚いてないね。知ってたの?」

確かにそのとおりです。さっきから結ちゃんはニコニコしながら見てるだけでした。

「うん。これ夏休みにゆっこちゃんと一緒に行った科学館で作ったやつだよね?」

そんな施設があるのですね。そこで作れるなら今度親に連れて行ってもらいましょうか?

「そうだよ。結ちゃんには退屈だった?」

「ううん、あのときは『発電できるのすごいね』で終わってたけど、なんで発電するのかわかってよかった。」

「そうだよね。それがわかんなくて、帰ってからパパに聞いたんだ。」

ゆう子ちゃんのお父さんは知ってたのですね…きっと理系なのですね…

「それにしても杏奈がこんなに興味を持ってくれるなんてびっくりだね。」

「ゆっこちゃんの実験が面白かったからだよ。あ~あ、学校もこんな勉強ならもっと楽しいのになぁ。」

羽を手でクルクル回している杏奈ちゃんは本当に楽しそうですね。

「実験ばっかりじゃ勉強になんないでしょ。」

「杏ちゃんのことだから実験ばかりになったら『今日も実験とかめんどくさい~』とか言いそうだよね。」

「言うね。」

「言いますね。」

私たちがそう言うと、

「ちょっと、みんなひどくない!?杏奈のことなんだと思ってるの?」

「勉強嫌い。」

「勉強嫌いだよね?」

「勉強に興味ないですよね?」

「ひどい!?それに陽菜にだけは言われたくないっ!」

杏奈ちゃんはむくれちゃいました。

その後私たちはみんなでゲームをやって楽しいひとときを過ごせました。

むくれていた杏奈ちゃんはゲームが始まった途端に元気になったのは言うまでもありません。

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