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大魔王→黒猫  作者: (著)まっつぅ♪ (イラスト)SpringFizz
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71.猫のいたずら?

誰視点かを追記しました(2022/11/23)

我には不満がある。

それは我が調査していることを母親が『いたずら』などと言っていることだ。

人間には単に子猫が興味を引く物にちょっかいをかけているだけのように見えるのかもしれんが、真剣に調査している我からするといささか不愉快である。

まあ不愉快ではあるが、『いたずら』だと思われていれば変な疑いを持たれることもないし、結や舞衣などは『もっといたずらしてもいい』と言っているからやりやすいわけだが。

さて、今日こそあのトイレの秘密を暴くために調査に赴いている。我の前にはあのやたらキレイな陶器。

(前回はあの壁に取り付けられている物の調査ができなかったからな。)

我は前回のように陶器に飛び乗る。そして気になるのはこの巻き付けてある紙である。

(こんな白くて清潔感のある紙を惜しげもなく使うとはな…)

我は試しに触ってみると、柔らかくてなんとも言えない優しい手触りである。

(これは本当に紙なのか?紙特有のゴワゴワ感や繊維感が全くない。)

前に確認した紙で作った袋といい箱といい、紙だけでもこんなに応用が効くものなのか。

硬く丈夫にしたり、柔らかく手触りを良くしたり。

この世界と我らの世界の技術力に何故こんなに差があるのだろうか?

違いといえば魔法が使えるかどうかぐらいなものだろう?それだけでこんなに差が出るものなのか?

(魔法という便利なものがあるから技術力を向上させるという考えに至らなかったということなのだろうか?)

しかしこの技術力を知った我が戻れば、我が国の技術力の向上は間違いないだろう。

たとえ解析できなかったとしても、技術力を向上させることで生活水準を上げることはもちろんのこと、人間との争いでも大きな差をつけることができることがわかったのだ。技術開発の部署を作ることを第一優先にすることは決定事項だ。

(おっと、考えてばかりもいられない。)

あまりもたもたしているとまた母親が来て連れ戻されてしまう。考えるのは後にして、今は調査に集中しないとならない。

よく見ると我は考えながら紙をコロコロ回していたらしい。床には巻いてあった紙が『ダラン』と解かれていた。

(…これは怒られるのではないだろうか?)

いや、ある程度の『いたずら』は許されるはずだ。きっとこの程度なら大丈夫!それにやってしまったものはしょうがない。

我は気を取り直して、予定通りあの壁にある四角いものに飛びついた。

『ぴょ~ん』

『ポチッ』

(お、何かが押せた。)

床に飛び降りると何か変化がないかと確認する。すると、

『うぃ~ん』

なんとトイレの蓋が自動的に開いたのだった!

(なんと!このようなカラクリで蓋を開けるようになっているとは!)

唖然として見つめる我、そして完全に蓋が開いて止まる。

我は気を取り直して陶器に飛び乗る。するとそこにはある程度の穴と底にキレイな水が張ってある。

(ここに用を足すのか?)

それにしてはキレイな水を使っているように思う。それに用を足した後どうなるのだ?このまま用を足したら残るし、臭いだって当然出るだろう。

(ならばまだ秘密があるはずだ。)

我は再び飛びつく。

『うぃ~ん』

閉まる蓋。

(違うっ!そうじゃない!)

再び飛びつく。

開く蓋。

悪戦苦闘しながらなんとか別の場所を押せたようだ。何か別の音がする。

陶器に飛び乗ると、先程水が張ってあった場所の水が流れているのが見える。

(…おいおい、まさか用を足す度にこうやって水で流すということなのか?)

それならいつも清潔に保てる理由もよくわかる。我の世界では考えもつかないことだが、この世界ほど水が自由に使えるのならこれも『あり』ということなのだろう。

(やはり水源の確保は必須か。)

だが雨季でもないのにどうやって?まあそれは陽菜に聞けばいいか。

(まだ母親には気づかれていないか?)

ならばまだやれるはず。我は再び飛びつくと、今まで押していないはずの場所を押した。

すると、

「ケイ、またトイレにいたの?って、うわぁ…」

母親がやってきて状況を見るなりちょっと嫌そうな顔をする。

『うぃ~ん』

さっき我が押したことで何かが動く音がする。

『チョロチョロ~』

『シャ~』

何か水が出る音が聞こえたと思ったら、我の頭上を水が通過して母親にかかる。

「きゃっ!」

水浸しになる母親と床、慌てて四角い何かを操作する母親。そしてこちらを見るその顔は…

「…ケイ?」

(ひぃっ!!)

「にゃ、にゃぁ…(あの、これは…)」

母親が怒っているのがわかる。怒鳴られたわけではないが声に怒気が含まれているのがわかる。そして何より圧がっ!圧がっ!!

我は無言の母親に抱え上げられ、リビングに連れて行かれる。

『ガチャンッ!!』

そしてケージに入れられ閉められた。

しかし、今の我には前回のように文句を言う気力は全くなかったのだ…


結視点


「ただいま~。あれ?ケイちゃんがまたケージに入れられてる。ママ、なんかあったの?」

私はケイちゃんと遊ぼうと思って早く帰ってきたんだけど、いつものソファじゃなくてケージにいることにびっくりした。

それに扉が閉まってるからケイちゃんが自分で入ったんじゃないこともわかってる。

「…ケイは反省中です。」

ママは不機嫌そう。

「またなんか危ないいたずらしちゃった?」

「…ケイは反省中です。」

なんだろう?ママが怒ってるのはよくわかる。理由がケイちゃんのいたずらなのも。

「あの、ケイちゃんと遊びたいんだけどいい?」

「…ケイは反省中です。」

ママが怖い…

私はこれ以上何も言えなかった…

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