68.報告
誰視点かを追記しました(2022/11/23)
結視点
「ケイちゃん、お部屋の掃除終わったよ。」
今日は朝からケイちゃんのケージの掃除をお姉ちゃんと一緒にやってた。
大変だけど、ケイちゃんが気持ち良く過ごせるようにって思えば全然へっちゃら。
(こないだケイちゃんのためだけど、わがまま言っちゃったもんね。)
だからってだけじゃないけど、ケイちゃんのことは私がちゃんとやらないとだもんね。
「お姉ちゃん、手伝ってくれてありがとう。」
お姉ちゃんはいつも私のこと助けてくれてホントに嬉しい。
「私だってケイのお世話したいんだからいいんだよ。」
お姉ちゃんはニコニコしながら言ってくれた。
(パパにもママにもお姉ちゃんにもなんかお礼したいな。)
でも私にできることってあるのかな?
「それより結、今日はこれから病院行くんでしょ?準備しなくていいの?」
「あ、そろそろ準備しなきゃ。」
「後片付けやっといてあげるから準備しちゃいな。」
「うん、ありがとう。」
今日はゆっこちゃんのパパさんにケイちゃんの手術しない、ってことを伝えにいくことになってる。お世話になってるから決めたことはちゃんと報告しなさい、ってパパからも言われた。
「ママー、準備できたよ。」
今日はケイちゃん連れてかないからキャリーバッグはいらない。
「それじゃあ車出すから外出てて。」
「は〜い。ケイちゃん、お姉ちゃん、いってきま~す。」
「いってらっしゃ~い。」
「にゃ~」
ケイちゃんとお姉ちゃんに見送られて私は外に出た。
「こんにちは。」
待合室から診察室に入ってパパさんに挨拶する。
「こんにちは、いらっしゃい。そちらに座ってください。」
「今日はケイちゃんの手術について家族で話し合ったから報告に来ました。」
診察室だとなんか丁寧に話さなきゃ、って思って緊張する。それにいつもと話し方も変えなきゃだから慣れない…
「はい、伺いましょう。」
パパさんはいつもの優しそうな顔で私を見る。
「みんなで話し合ってケイちゃんに去勢手術は受けさせないことにしました。パパさん…先生が教えてくれたこともちゃんとみんなで話して決めました。」
「そうですか。今日はケイ君を連れて来てないから、その報告に来てくれたのかな?」
「はい。パパがお世話になってるから決めたことはちゃんと報告しなさい、って。」
「わざわざありがとうございます。それなら今日は発情期の注意点を話しましょう。」
「よろしくお願いします。」
「雄猫の場合、生後9~12ヶ月で発情期が始まります。ケイ君だと早くて半年後ぐらいかな?期間は大体春から夏の終わりぐらいまでですね。暖かくなって子育てができそうな時期になると発情する、と考えてください。」
「ずいぶんと期間が長いんですね。」
「猫は年に複数回繁殖することができますから。春に子供を産んで2ヶ月で離乳すると、もう次の子供を産むことができるんです。」
そうなんだ。ノラちゃんがいっぱいいるのもいっぱい子猫産んでるからなのかな?
「発情期になると、雌猫が雄猫を呼ぶように鳴くようになります。春先に野良猫がいつもと違う鳴き方をしているのを聞いたことありませんか?」
「あ、ある。なんか『うな~お』みたいな感じでいつもより大きな鳴き声してるのですか?」
「それですね。雄猫はそれを聞くと雌猫に応えるように鳴いたり、雌猫を探すので落ち着かなくなります。外に出たがっても絶対に出さないようにしてください。迷子になってしまう可能性もありますし、他の雄猫と雌猫を巡って喧嘩して怪我をしてしまうかもしれません。」
「はい、絶対ケイちゃんが危険になるようなことしません。」
「そうですね。あとうるさくしても叱ったり大きな音で驚かせてはいけません。無理矢理抑えようとすると猫にストレスを与えてしまいます。」
「はい。」
「雄猫の場合はマーキングのために部屋におしっこでスプレーする場合があります。これも粗相とは違って繁殖期特有の行動ですので叱らないであげてください。」
「マーキングってなんですか?」
「マーキングというのは自分の居場所を他の猫に知らせるための方法です。ここは自分の縄張りだと主張して雌猫を呼ぶためのものですね。」
「あ、動物番組で見たことあります。」
そういえば野生動物がやってるのをテレビで見たのを思い出した。
「それと一緒です。なので対策として部屋のマーキングされそうな場所にビニールシートを貼ったりして、部屋や家具に臭いが残らないようにしてあげてください。臭いが残っていると、発情期が終わっても同じことをやってしまう子もいるみたいですので。」
「わかりました。」
「発情期付近は他の猫と会わないように気をつけてあげてください。他の猫に会うことによって発情してしまったり、喧嘩してしまう場合もありますから。あとはいっぱい遊んであげてください。そうすればストレス解消にもなりますし、夜疲れて寝てしまうので鳴くことも少なくなります。」
「はい、ケイちゃんといっぱい遊びます。」
「結、それだけじゃないでしょ…」
「もちろんちゃんとやるもん。」
「いえ、子供はそのぐらいがいいんですよ。いっぱい遊んであげてケイ君と仲良くしてあげてくださいね。」
「はいっ!」
「それでは今日はこんなところですかね。何かお聞きしたいことはありますか?」
「大丈夫です。」
パパさんがいろいろ教えてくれたからどうすればいいのかわかった。
「はい、それでは何かあったらいつでも来てくださいね。」
「ありがとうございました。あ、ゆっこちゃんっていますか?」
「ゆう子なら部屋にいるはずだよ。上がっていくかい?」
「いいですか?ママ、ちょっとゆっこちゃんと会ってから帰っていい?」
「いいけど待ってる?」
「ううん、先帰っていいよ。」
「わかったわ。あまり遅くならないでね。」
「はーい。」
いろいろ相談に乗ってくれたゆっこちゃんにもちゃんとお話したい。
私はママと別れてゆっこちゃんのお家におじゃまになった。





