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大魔王→黒猫  作者: (著)まっつぅ♪ (イラスト)SpringFizz
63/106

62.舞衣と猫

今週はSpringFizz様のイラスト付きで投稿します。

そして私の「たまにベッタベタなネタが書きたくなる症候群」が発症しました。


誰視点かを追記しました(2022/11/23)

舞衣視点


「でね、1組の大野君って絶対舞衣に気があると思うんだよね。」

学校の帰り道、私は友達の彩乃と話しながら歩いていた。

「う~ん、そんなこと言われてもなぁ。」

「なんで?大野君結構いいじゃん。1年なのにバスケ部レギュラー取れるかもって期待されてるみたいだよ。」

(う〜ん、だから何?って感じだなぁ。)

正直ほとんど面識のない男子に気がある、って言われても興味ない。

「だって話したこともないのにそんなこと言われても困る。」

「え~、じゃあ誰ならいいの?」

自分のことじゃないのに彩乃はすごく不満そう。

「別に誰がいいって話じゃないと思うんだけど…」

「舞衣はいつもそんなこと言って…モテるのにもったいない!」

「別にモテたいわけじゃないんだけど…」

「うわっ!上から目線!いいですねぇ、モテる人は余裕ですね~」

「そんなんじゃないから。」

(中学生になって恋愛の話増えたなぁ…)

付き合ってる友達もちょこちょこ出てきてるのは知ってる。

でも私は正直めんどくさい。

別に恋愛に興味がないわけじゃないけど、まだ私の中では恋愛は物語の中の話って感じがしてる。

本やドラマの恋愛にドキドキすることはあっても、現実でそんなこと感じたことがない。

「あ、私こっちだからまたね、彩乃。」

話してたらいつの間にかいつも彩乃と別れる公園前に来ていた。

「ちょっと待って、舞衣。まだ話し足りないから公園付き合って。」

「えぇ…」

この話まだ続くの?

「いいじゃん、今日はまだ時間早いんだから。」

彩乃の恋愛話はめんどくさいんだけどなぁ…

(しょうがないから付き合うか。)

別に彩乃と話すのがイヤなわけじゃない。それどころか小学生の頃からずっと仲良しだ。

めんどくさいこともあるけど一緒にいてイヤになることもないし、気楽に話せる大事な友だちだ。

「まあいいけど。」

「やった!じゃあベンチに行こっか。」

「はいはい。」

(今日は早めに帰れるからケイをモフって癒やされようと思ってたんだけどなぁ…)

私はしょうがなく彩乃と公園に入った。


「で、舞衣の好みの男子ってどんな人?」

ベンチに座っても彩乃の恋愛話は続く。

「えぇ…好みなんて考えたことないよ。」

「なんで考えたことないの?絶対おかしいって!」

「おかしいって言われても…」

そんなに恋愛したいものなんだろうか?

「いるでしょ?気になる子ぐらい。」

「う~ん、今気になってるのはちっちゃくて黒くてモフモフで…」

「舞衣、それ最近飼い始めた猫でしょ。」

彩乃がジト目で私を見る。

「よくわかったね。」

「わからないわけないじゃんっ!」

「彩乃、口悪くなってる。」

「あんたが悪くさせてるのっ!」

ちょっとからかっただけなのに。相変わらず彩乃は気が短いというか喜怒哀楽がはっきりしてるというか。でもだから裏表ない感じに思えて一緒にいて気楽なんだけど。

…ってあれ?気づいたら猫が私の足にすり寄ってる。野良猫かな?

彩乃も気づいたみたいだけど、なんかびっくりしてる?

「舞衣、その猫懐いてるみたいだけど知ってるの?」

「知らないよ。ここへんにこんなかわいい三毛猫いたんだね。」

ずいぶんと人懐っこいみたい。私の足にスリスリしたと思ったら『ぴょんっ!』ってベンチに飛び乗った。そしてそのまま私の膝の上で丸くなってしまった。

「えぇ、マジかぁ…」

彩乃がなんか引いてる?

「ずいぶん人懐っこい猫ね。飼い猫かな?彩乃知ってるの?」

私は丸くなった三毛猫を撫でながら聞いた。彩乃の顔が若干引きつってるように見えるのが気になる。

挿絵(By みてみん)

「知ってる。ここへんだと絶対に人に懐かない野良猫って有名な子。」

「いやいや、そんなわけないでしょ?撫でられてこんなに気持ち良さそうにしてるのに。」

私が撫でると目をつぶってゴロゴロ言って気持ち良さそうにしてる。

「だからそれが信じられないんだって。いつもは誰にも近づかないし、すぐに威嚇するし。」

「そうなの?こんなにかわいくて人懐っこく見えるのに?」

この子が懐かないなんて信じられない…

「舞衣からマタタビ臭がするとか?」

「殴るよ?」

「暴力はんた〜い。さっきのお返し。」

やり返されてしまった…それにしてもマタタビ臭はない。

「ねえ、私も撫でたい。この子を撫でられるチャンスなんて滅多に無いもん。」

「いいんじゃない?」

別に私が独占してるわけじゃないし。

「やった!」

彩乃が嬉しそうに手を伸ばすと、

「しゃーっ!!」

「うわっ!」

三毛猫がすごい形相で威嚇した。

「ほら、やっぱ懐かないじゃんっ!!」

彩乃が恨めしそうな目で私を見る。

「私のせいじゃないんだけど…」

「舞衣が私に期待を持たせたっ!」

「子供かっ!」

「誰の胸が子供みたいにちっちゃいって!?」

「胸の話なんてしてないよっ!」

彩乃は女子の中で背はかなり高い方だけど胸が(かなり)小さい。

そしてそれをすごく気にしてる。気にするあまり、こうやってよく自爆する。

私がもう一度三毛猫を撫でてみるとやっぱり気持ち良さそうにしてる。

「いいですねぇ、舞衣は猫にもモテるんですねぇ。私とは違いますねぇ。」

彩乃がイヤミっぽく言ってくる。

「まあそういえば友達の家の他人には懐かない猫も寄ってきたことあったっけ。」

前に遊びに行った友達にもびっくりされたことを思い出した。

「やっぱりマタタビ臭…」

「彩乃?」

私は彩乃をジロリと睨む。

「なんでもありません。」

彩乃がわざとらしく目をそらす。

「ウチのケイもこのくらい懐いてくれたらなぁ。」

「ケイは撫でさせてくれないの?」

「そんなことないよ、させてくれる。でも懐いてるって感じはしない。」

ケイは大人しいし、抱いたりモフってもあんまり嫌がらないけど、なんか懐いてるのとは違うんだよなぁ…

「いいなぁ、私も猫に好かれたい。」

彩乃が羨ましそうに私を見る。

「でも犬には嫌われてるかも。前に絶対人を吠えないっていう犬にすっごく吠えられた。私犬も大好きなのに…」

あのときは犬と遊べるって聞いてたから、すっごく楽しみにしてただけにショックだった…

「猫に好かれるから犬とは相性悪いのかな?ならいいや、私犬の方が好きだから。」

「私どっちも好きなのに…どっちにも好かれたい。」

「贅沢言うな。」

彩乃の恋愛話はめんどくさかったけど、この三毛猫のおかげで話は逸れたし、とっても満たされる寄り道になってよかった。


ケイ視点


「ただいま~」

リビングのソファでゴロゴロしていると、どうやら舞衣が帰ってきたらしい。

「ケイ~、ただいま~」

舞衣はリビングに入ると我に近づいてくる。

(…ん?なんだ、この不快な臭いは?)

猫になって敏感になった嗅覚が我に不快感を与える。なんだ?どこから臭う?

(舞衣が近づいてくると不快な臭いが強くなる?)

なんの臭いかはわからんが、とにかく不快だ!本能が拒絶するっ!

「しゃーっ!!(貴様、我に寄るなっ!!)」

我は舞衣に威嚇しながら距離を取る。

「えぇ、ケイが私に威嚇してる…」

舞衣は泣きそうな顔で我を見る。

「しゃーっ!!(なんの臭いか知らんが不快だっ!!)」

我は舞衣が近づけないように素早く移動して距離を取った。


舞衣視点


「どうしたのっ!?」

ケイの声にびっくりしてママが駆けつけてきてくれた。

「帰ってきたからケイに話しかけたら威嚇された…」

私は半泣きになりながらママに説明した。

「それだけ?うーん…舞衣、帰りにどこかで他の猫触ってきた?」

「うん、公園で野良猫に懐かれたから撫でてた…」

「それね。他の猫の匂いがついてるからケイが怒ったのよ。」

「そんなことあるの?」

「そうみたいよ。きっとケイは他の猫の匂いがついてる舞衣に嫉妬したのよ。」

「しゃーっ!!」

「うぅ、じゃあ今すぐお風呂入るっ!」

他の猫に好かれるのは嬉しいけど、ケイに嫌われるとか最悪っ!!

私は泣きながら急いでお風呂に入ったのだった。

今回初登場の彩乃は「たまにベッタベタなネタが書きたくなる症候群」の被害者です。

ベタネタが書きたくてキャラ設定しました。

つまり彩乃の体型はネタのために作られたものなのです。


実はこのお話は一部ノンフィクションです。

人に全く懐かない公園の三毛猫は実際にいて、私の膝で丸くなっていました。

まあそのときは一人でいたので、懐かないというのは後日友達に聞いたのですが。

また他人に懐かない友達の家の猫もよく懐いてくれました。

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