6.黒猫の診察
加筆修正しました(2022/05/04)
病院に入るとゆっこちゃんが診察室に案内してくれる。
「パパー、結ちゃん来たよ。」
ゆっこちゃんが声をかけると、
「はーい、診察室に入ってきて。」
ゆっこちゃんのパパさんの声が聞こえた。それを聞いてゆっこちゃんがすぐに診察室に通してくれた。
「おじゃまします。」
診察室に入ると、白衣を着たパパさんが準備をして待っててくれた。
「いらっしゃい、早速だけど猫の状態を診ようか。」
パパさんは私から猫ちゃんを受け取ると、診察台に優しく乗せた。
「呼吸は安定してるし…脈拍も問題なさそうかな。」
パパさんは猫ちゃんの体調を確認してるみたい。
しばらく猫ちゃんの確認をしてたパパさんが顔を上げて、
「うん、気を失っているだけで緊急で治療しなければならない状態ではないみたいだね。多少水を飲んじゃったみたいだけど大丈夫だよ。」
「本当ですか!」
私はパパさんの言葉を聞いてやっと安心できた。
「本当だよ。結ちゃんが早く助けてあげたからだろうね。とても偉いことをしたね。」
パパさんは優しそうな顔で私を見てほめてくれた。
「そんなことないです。猫ちゃんが大変だったから助けただけです。」
たまたま私がいたから私が助けただけで、こんなこと誰でもすることだよね?
「それじゃまず助けた状況を教えてくれるかい?」
「うん、私が川辺を歩いてたら…」
私は猫ちゃんを助けたときのことをなるべく丁寧に話した。パパさんは話を聞きながら猫ちゃんの様子を確認してるみたい。
「なるほどね、まだ意識は戻ってないみたいだけど脈も呼吸も安定してるからじきに目を覚ますと思うよ。結ちゃんは川に入って助けたんだよね?濡れちゃってないかい?」
「えっと、膝上ぐらいまで水に浸かっちゃいました。」
そういえば猫ちゃん助けるのに急いでたから濡れてることなんて気にもしてなかった。
「そのままにしておくとよくないよ。猫の診察をしている間にウチのお風呂で温まっていきなさい。」
「でも…」
「それに猫のことでいっぱいになってお家に連絡もしてないのだろ?こっちで連絡しておいてあげるからその間にゆっくりしてなさい。」
そういえば猫ちゃんを助けることしか考えてなかったから連絡もしてない。それに言われて気づいたけど脚がすっごく冷えてて寒い。
「うん、わかった。ありがとう。」
私はご厚意に甘えることにした。
「はい、それじゃゆう子案内してあげて。」
「はーい、結ちゃんこっちだよ。」
猫ちゃんのことも心配だけどお医者さんに任せたんだから大丈夫だよね?私はゆっこちゃんについて行った。
「タオルはここにあるの自由に使ってね。あとシャンプーとリンスはこっちね。ボディソープはこっち。」
ゆっこちゃんは丁寧に教えてくれる。
「うん、ありがとうゆっこちゃん。」
「服はここに入れといて。あと上がったら私の服使って、新しい下着もあるから。あとで置いとくね。」
「え、いいよ。ちょっと濡れちゃっただけだから。」
そんなに深くなかったからちょっと濡れちゃっただけだしね。
「だめだめ、まだあったかいけど濡れた服じゃ風邪引いちゃうよ。それにお風呂上がりはきれいな服着ないとだよ。」
確かにお風呂上がりに濡れたスカートを履くのはちょっとヤダ。私はゆっこちゃんに甘えることにした。
「ありがと~」
「うん、それじゃゆっくり温まってね~」
私は濡れて肌にくっついて気持ち悪い靴下を脱いでから服を脱いでお風呂に入った。