番外編その1.黒猫と聖夜と1周年
「大魔王→黒猫」12/18で連載1周年を迎えることができました!!
これもひとえに皆様のおかげです。本当にありがとうございます。
これからもほのぼの続けていきたいと思いますので、どうかよろしくお付き合いください。
「もうすぐクリスマスだねっ!」
私はとってもワクワクしていた。
だってケイちゃんと一緒の初めてのクリスマスになるんだもん。
「結は今年のプレゼント何がいい?」
ママが私に聞いてくる。
「あれ?結は今年は空に向かってサンタさんにお願いしなくていいの?」
お姉ちゃんが私をからかうように言う。
「お姉ちゃん!私だってもう子供じゃないんだよっ!」
「ごめん、ごめん。」
私は去年までサンタさんを信じてた。
だからパパとママが『サンタさんにプレゼントわかるようにお空にお願いしようね。』って言われたことをずっとやってた…
でもだからパパとママも私がほしいプレゼントわかってたんだけど。
「舞衣もあんまりからかわないの。それで、何が欲しいの?」
「私は新しいコート欲しいな。」
「舞衣に聞いてるんじゃないんだけど…まあいいわ、今度一緒に買いに行きましょ。結は?」
「う~ん…」
ほしいものいっぱいある!服とかぬいぐるみとかゲームソフトとか!
でも最近ゲームあんまりやってないな。ケイちゃんと一緒にいる時間が楽しいんだもん。
だったら服かなぁ…でもこないだ猫ちゃんプリントの服買ってもらったし。
どうせだったらケイちゃんと一緒に楽しめるのがいいなぁ。
「そうだっ!ママ、ちょっとないしょ話。」
「えっ、なにそれ?私には教えられないの?」
お姉ちゃんがなんか不満そう。
「いじわるなお姉ちゃんにはないしょだもん。」
「ちょっとごめんってば。私にも教えてよ。」
「ダメ。クリスマスまでないしょだよ~」
「結~」
そんな感じで私のプレゼントはママにこっそり教えておいた。
(今日はなにかの記念日のようだ。)
なにか浮かれた感じの空気が流れているのがわかる。クリスマス?という記念日らしい。
「ケイちゃん、今日のご飯だよ。今日はクリスマスだからちょっと豪華にしたんだよ。」
結が持ってきた皿を見て我は驚いた。
(なっ!いつもはドライフードとかいうカリカリだけだったのに、今日はウェットフードも付いてるだとっ!)
それだけではない。ドライフードもよく見ると何かがかけられてるのがわかる。
「ホントは猫ちゃん用のケーキも用意できればよかったんだけど…」
ケーキ!それは是非食してみたかったぞっ!ないのが悔やまれる…
「にゃ~(ケーキがないのは残念だが、この食事に免じて許そう。)」
「気に入ってくれるかな?ちゃんと食べてね。」
我は結に言われるまでもなく食事を始める。
(これはっ!ウェットフードは魚の味がしっかりしてて美味い!それにこのドライフード!どうやら味を変えるためにふりかけのようなものがかかっている。いつも食べてるものなのにこれだけで相当美味いぞっ!)
「どお?ケイちゃんおいしい?」
「にゃ~♪(褒めてつかわそう~♪)」
我は久々に大満足の食事をしたのだった。
なに?満足の敷居が低くないかって?
そんなわけなかろうがっ!と、言いたいところではあるが、貴様も猫になればわかるだろうよ…
「「「「メリークリスマス!」」」」
今日は家族一緒にクリスマスパーティー。ママの料理もいつもと違ってすっごい豪華!
「スープ美味しい!」
いつもと違ってなんかちゃんとしたお皿に入ってるコーンスープがとっても美味しい。
「毎年作ってくれるけど、サーモンのパイ美味しいよね。クリスマスって感じがする。」
お姉ちゃんが食べてるのはママが毎年クリスマスにだけ作ってくれるサーモンのパイ。中にはサーモンと玉ねぎと卵と春雨が入っててとっても美味しい。
ウチではこれを食べるとクリスマスって感じがする。
「あとでケーキあるんだから食べすぎないでね。」
「「はーい。」」
私はパイを食べてとっても幸せになってた。
「ケイ、ちょっとこっちいらっしゃい。」
我は母親に呼ばれた。なんだ?何があるのだ?
「悪いけど、結を喜ばすために協力してね。」
母親はそう言うと我を抱え上げた。結を喜ばす?何故我が協力しなければならない?
(まあ普段我のためにがんばってるのはわかる。たまには褒美も必要か。)
結がいつも我の世話をしてくれてるのはわかっている。我は母親に協力することにした。
「はい、これが今年のクリスマスプレゼントよ。」
「やった。パパ、ママ、ありがとう。」
お姉ちゃんはママからプレゼントを受け取ってさっそく開けてる。
「やった~、一緒に買いに行ったときからずっと着たかったんだよね。」
「お姉ちゃん、そのコートかわいい!」
ピンクのコートすっごいかわいい!いいなぁ、私もかわいいコートほしいなぁ。
「結はこれね。」
ママが私にも箱を渡してくれる。あれ?私のお願いしたプレゼントってこんなに大きくないよ?
「ママ、なんでこんなに大きい箱なの?」
私は不思議に思ってママに聞いた。
「いいから開けてみなさい?」
「は~い。」
私はとにかく開けてみることにした。そこには、
「にゃ~」
サンタさんのかっこうをしたケイちゃんが入っていたのだっ!
「きゃ~!ケイちゃんかわいいっ!」
「なにこれ!?かわいいっ!結のプレゼントずるいっ!」
「ずるくないもんっ!だってケイちゃんのお洋服がプレゼントだもん。」
お姉ちゃんにはないしょにしてたけど、ケイちゃんに服を着せてあげたくてママにお願いしたんだもん。
「でもケイちゃんが入ってるとは思わなかった!」
プレゼントもらってからケイちゃんに着せてあげようって思ってたから。
「このほうが結が喜ぶかな?って思ってケイに協力してもらったの。」
「うん!今までで一番うれしいっ!ママ、ありがとう!」
「やられたな~。これじゃ私のコートなんてたいしたことなく見えちゃうよ。」
「これからずっと大事にするね。お洋服もケイちゃんも!」
私は今までで一番大事な宝物をもらったんだ。
これからもずっと大事にするね、ケイちゃん。
来年もよろしくね。