52.大魔王の飲み物事情(その2)
ケイ視点
(呼ばれたから出てきたらまた騒がれてしまった…)
猫である我が何かやる度にきゃあきゃあと騒々しい家族だ…そんなにかわいいのか?
流石に大げさではないのだろうか?まあ我の待遇が良くなるのなら全く問題ないのだが。
(それより今はこの紙袋だ。)
中に入ってわかったのだが、この紙はとても頑丈だ。それに触り心地もツルツルしているし、なんというかしっかり繊維が詰まっただけではないように思える。
(普通の紙なら木の繊維が少しはわかるものなのだが…)
繊維の引っ掛かりも全く感じられないのに、感触から紙だというのはわかる。不思議な感覚だ…
『ばすっばすっ』
軽く叩いてみても全然問題ない、なんて頑丈な紙だろう。
(こんな頑丈な紙なら経年劣化を防ぐのにも役立ちそうだ。)
紙など我の世界にもあるありふれた物だと思っていたが、技術が高いとここまで違うものなのかと思い知らされる。
(一体何なのだ、この世界は…)
紙一つで驚かされるなどと誰が予想できるだろうか…
(…それにしてもこの袋の中はやけに落ち着くな。)
光もあまり通さず、子猫である我が入っても少々窮屈なのだが何故か落ち着く。
(今日は色々回って疲れたからか、少し眠くなってきた…)
我は紙袋を一通り確認するとだんだんと眠くなってきたのを自覚した…
結視点
「あれ?紙袋静かになったね?」
さっきまでケイちゃんが紙袋の中で遊んでたから音してたのがなくなってる。
「もう飽きちゃったのかな?ケイ~」
私はお姉ちゃんと紙袋をのぞき込んだ。すると、
「ケイちゃん寝ちゃってるね。かわいい~」
ケイちゃんは紙袋の中で丸くなって寝てた。
「もう本当にわかってるわね、この子。」
お姉ちゃんもかわいくってしかたないみたいだけど、ケイちゃんが寝てるから小さい声で話してる。
「ここにいると危ないから移動させてあげましょう。」
「うん。」
私とお姉ちゃんはケイちゃんが起きないように、そっと紙袋をケージの前まで移動させた。
「なんで猫ちゃんって紙袋好きなのかな?」
私はちょっと不思議に思ってお姉ちゃんに聞いた。
「猫って狭くて暗いところが好きだからじゃないかな?」
「そうなんだ。」
私なら狭くて暗いなんてちょっと怖いって思うのに。
「まあ私もネットとか友達の猫の知識だけしかないから詳しいことはわからないけどね。」
「そっか、お姉ちゃんでもわからないことあるんだ。」
いつも教えてくれるから、なんでも知ってると思っちゃった。
「そりゃそうだよ。私だって猫飼うの初めてなんだから。」
「そっか、そうだよね。」
「だから一緒に勉強しましょ、結。」
「うん!」
いつも教えてもらってばっかりだから、お姉ちゃんと一緒に勉強できるなんてなんか嬉しい。
「そういえば、こないだケイちゃんの飲み物調べよって言ってたのやってないね。」
調べようとしたらパパが帰ってきたから忘れてた。
「そうだったね。それじゃ調べてみよっか?」
「うん!」
私はお姉ちゃんとスマホで検索することにした。
「へぇ、猫って甘酒飲めるんだ。」
「やっぱりミルクは猫用ミルクだ、って書いてある。」
お姉ちゃんと調べてみてわかったのは、猫ちゃんにはやっぱり水道水が一番安全だってことだった。
「猫用ミルクとか猫用スポーツドリンクは毎回用意するのは難しいね。」
「お金もかかっちゃう…」
猫ちゃん専用にするとお金かかっちゃうのは私でもわかる。
「甘酒もカロリー高いから少量だけだって。」
「甘酒ってあんまり好きじゃない…」
甘くて美味しいって言う人もいるけど、なんかドロッとしててツブツブしてて私は好きじゃない。
「まあ無理に用意するものでもないよね。それより麦茶はいいんじゃない?」
「うん。麦茶なら冷蔵庫にもあるし、私も好き。」
夏は冷たい麦茶がいいよね。
「ミネラルとかマグネシウムが入ってるから毎回は飲ませられないみたいだけど、たまにならいいんじゃない?」
「よかった、ケイちゃんよろこぶかな?」
「そうかもね。でもあげるときは冷たいままだと良くないと思うよ。」
「そうなの?」
「うん。猫は熱いのもダメだし、冷たすぎるのもダメなんだって。だから常温ぐらいの麦茶がいいんじゃないかな。」
「そうなんだ。」
私だったら冷たい麦茶が飲みたい、って思うのに。
「好き嫌いがあるみたいだから、今度試しに出してあげましょっか。」
「うん!」
ケイちゃんよろこんでくれるかな?私たちはこの後も猫ちゃんについていろいろ調べたのだった。
猫が飲めるものについては好みが大きいと思います。
水(軟水)が一番ですが、味や匂いがついてないものを好まない子もいるようです。
そういう子は肉の煮汁を冷やして飲ませたりすることもあります(もちろん味は付けません)。
また過去に尿管結石になった猫に麦茶を与えることはお勧めできません。





