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大魔王→黒猫  作者: (著)まっつぅ♪ (イラスト)SpringFizz
50/106

50.猫とスマホ

『道具』で統一していたところを『機械』と書いてしまったため修正しました(2021/11/09)

誰視点かを追記しました(2022/11/23)

ケイ視点


…我慢だ。

我の爪はすっかり短くなって、猫の姿である我の唯一とも呼べる武器が使えなくなってしまった。

当然切られることには反対だし、抵抗しようかとも思った。

しかしあの医者が我の恩人の一人であることは間違いない。急なことで驚いたとはいえ、我が恩人を傷つけたことは事実なのだ。

であればこれは罰として受け入れなければならないことだろう。

(信賞必罰は当然のこと。我慢我慢我慢ガマン…)

我の信条なのだ。当然自分が罰を受けることを拒否するわけにはいかないのだ。

(しかしこれでは当分の間爪が使えなくて行動制限がかかりそうだ…)

調査に支障が出るのは非常に困る。早く爪が伸びてくれないものか…

「ケイちゃん爪短くなった。これなら引っかいちゃうことないね~」

結が我の手を取り爪を見る。いつもながら無邪気なものだ…

「大人しくて楽だった。いつもこうだとありがたいね。」

爪を切った舞衣が我を開放する。

「ケイちゃん、爪切りも終わったことだし一緒に遊ぼうよ~」

「にゃ~(もう好きにしてくれ)」

どうせこうなるだろうと思ってた…

やはり子供の休日は我にとって気の休まる間もないということがよくわかった…


結に付き合わされてぐったりした我はソファで丸くなっていた。

(爪がないおかげで余計に疲れた…)

そう、爪が短くなったせいで踏ん張りが効かなくなったのだ。

ただでさえ床がツルツルして滑りやすかったのに、爪がないと本当に滑る。

そしておもちゃを捕まえられない。爪が引っかからないから全然捕らえられんのだ。

(爪が短くなっただけでここまで違うのか…)

多少の不便はあるとは思っていたが、ここまでとは思わなかった。

「ケイちゃん今日はあんまり捕まえられなかったね。」

結が舞衣と話している。

「爪が短くなったからしょうがないよね。それより走って滑ってたのが気になるね。」

「うん。これも爪が短くなったから?」

「それもあると思う。あんまり滑るようならなんとかしてあげなきゃかもね。」

「やっぱり滑ると危ないの?」

「うん。無理に踏ん張って疲れちゃうのもあるし、転んじゃうこともあるから。」

「そんなのダメだよ!ちゃんとしてあげなきゃだよ!!」

「これはパパとママに相談しないとかな。しばらくは様子見て、危なそうなら相談しよう。」

「ケイちゃん大丈夫かな?」

「すぐに危なくなるわけじゃないし、簡単に解決できることでもないからしょうがないよ。だからしばらくはケイが危なくないように私たちが見てましょう。」

「うん!絶対ケイちゃんに怪我させないっ!!」

結は随分と張り切ってるようだ。我を案じてくれているのはわかるが、監視が強まるのは困る。それにまとわりつかれるのも疲れる…

「にゃ~(大したことないからほっといてくれ。)」

「大丈夫だよ、ケイちゃん。私たちがいるからね。」

相変わらず話が通じない結はすっかりやる気を出している。

それを見てため息をつかずにはいられなかった…


「そうだ、ケイちゃんの新しい写真撮らせてね。」

結はそう言うと、我に向かって平べったい道具を向けた。

(あれは母親が我に向けていたのと一緒か?)

我が掃除する道具に乗ってたときに向けていた物と一緒に見える。あのときも写真とか言っていたような?

『パシャッ!パシャッ!』

またこの音がする。一体何なのだ?

「ケイちゃんほら、かわいく撮れたよ~♪」

そう言うと結は道具を我に見せてくる。そこには、

「にゃにゃー!!(なっ、なんだこれは!!我の姿が写ってるではないかっ!!)」

挿絵(By みてみん)

それは絵ではなく、先程の我を切り取ったかのように鮮明に写し出している!これが写真というものなのかっ!!

「ケイちゃんびっくりしてる?かわいい~♪これは写真って言ってね、ケイちゃんの姿を写したんだよ。」

「にゃ~(写しただと…)」

「ほら、他にもケイちゃんの写真いっぱいあるんだよ。これとか…」

結は楽しそうにいろんな写真を見せてくる。

(これはなんて興味深い技術なんだ!こんなことができるのなら偵察などお手の物ではないかっ!)

戦争になったときは相手の戦力や状況を報告で受けているが、それも写真を撮るだけで済むではないか。それだけではない、各種報告全てに使えるはずだ。

(確かに映像伝達技術が発達しているこの世界では静止画など容易いのかもしれんが…)

それにしても子供の手に収まるような小さな道具で、これほど容易く一瞬で静止画を作ることができるなんて…

(欲しいっ!!その技術が絶対に欲しいっ!!)

いかん、この世界の技術に触れる度にどうしようもなく欲しくなる。それほどまでに我の世界とこの世界の技術には差がありすぎる。

しかしあれもこれもと考えていると全てが中途半端になってしまうかもしれない…

まずは動力源の電気をどのように使っているのかを突き止めてからでないと…

我は逸る気持ちをぐっと堪えて結が見せる写真を眺めるのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  僕はスマホで文章書くので、たまにうちの子が触って誤字のまま投稿になる時があります。
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