49.猫の爪切り
誰視点かを追記しました(2022/11/23)
結視点
「ただいま~」
ケイちゃんの予防接種もちゃんと終わって私たちはお家に帰ってきた。
「おかえり~。ケイ大人しく注射打てた?」
リビングに入るとお姉ちゃんがお出迎えしてくれた。私はバッグに入ってるケイちゃんを出してあげると、ケイちゃんはすぐソファで丸くなっちゃった。
「びっくりしてちょっと暴れちゃったけど、ちゃんと打ったよ。」
私だって注射やだなぁ、って思うもん。ケイちゃんがびっくりして暴れちゃうのはしょうがないと思う。でも…
「でも暴れたときにゆっこちゃんのパパさんの手を引っかいちゃったの…」
「えっ、大丈夫だったの?」
「うん、パパさんは何もなかったみたいにしてたけど、ちょっと血が出てた。」
動物のお医者さんだからなのかな?引っかかれても全然平気そうにしてた。
「う~ん、危ないからケイの爪切りしたほうがいいね。」
「うん、ママもそう言ってたから、帰りに爪切り買ってきたよ。」
ママはパパさんにすごく謝ってた。パパさんはニコニコしてたけど、やっぱり怪我させちゃうのはダメだもんね。
「ねえ、お姉ちゃん。ケイちゃん爪とぎしてるけど、爪切りと爪とぎは違うの?」
私は爪をとぐと先が削れて短くなるんだ、って勝手に想像してる。
「全然違うよ。簡単に言うと、爪研ぎは古くなった爪を剥がして鋭くするの。爪切りは人間と一緒で切って短くするんだよ。」
「古くなった爪をはがす?」
どうゆうこと?爪はがれちゃったら痛いよ…
「うん。猫の爪は層になってて、古くなると表面の層を爪研ぎで剥がして新しい鋭い爪に戻るようになってるの。掃除用のコロコロとかって使ったら粘着なくなるから表面剥がして捨てるでしょ?あんなイメージだよ。」
「そうなんだ。」
そっか、コロコロみたいにはがして新しくするんだ。
「だから爪研ぎは猫が自分のためにやること。爪切りはほとんど人間のためにやることになるのかな。」
「人間のため?」
人間のためってことは猫ちゃんにとってはいいことなのかな?
「野良猫って当然爪研ぎはやるけど、爪切りはやらないでしょ?」
「うん。」
野良ちゃんの爪切ってる人なんていないよね?
「爪切りって猫が爪で人を傷つけないように、とか部屋の物を傷つけないように、とかの理由でやるんだよ。」
「じゃあ本当はやらなくてもいいの?」
「まあそうかな?爪が伸び過ぎて巻爪になって皮膚に刺さっちゃう子も中にはいるから、そういうときのケアには絶対やらなくちゃだけど。」
「う~ん…」
皮膚に刺さっちゃうのはちゃんと助けてあげなきゃなのはわかるけど…
「結はなにか引っかかるの?」
「爪切るのってケイちゃんのためになるのかな?私たちが勝手にやっちゃうだけじゃないのかな?猫ちゃんって爪があるのが当たり前なんだよね?爪使って木に登ったりするもん。だったら切っちゃったらそういうことできなくなるんじゃないの?」
ケイちゃんのためにならないならやりたくないな…
「そうね、人間の都合だね。」
「それなら…」
「でもね、家族として一緒に暮らしていくためには必要なんだよ。ケイと何かやる毎に爪で引っ掻かれるのを気にしてたら疲れちゃうでしょ?それに昨日みたいに友達来て遊んでて怪我させちゃったら大変でしょ?」
「うん…」
「ケイだって結に怪我させちゃったら悲しい気持ちになるんじゃないかな?あの子頭良いからそういうのわかっちゃうかも。結だってケイと気持ち良く一緒にいたいでしょ?確かにこっちの都合をケイに押し付けるみたいになっちゃうけど、ずっと一緒にいるためには必要なんだよ。」
「そっか、ずっと一緒にいるためなんだ。」
「そうそう。それに爪で不便かけちゃう分は、他のことでケイのために私たちがしっかりしてあげればいいんだよ。」
そっか、他のことでケイちゃんのためにしっかりやってしてあげればいいんだ。
「うん、わかった。」
「それじゃ、ケイの爪切りやっちゃいましょう。今日は私が説明しながらやってあげるから結はちゃんと覚えてね。」
「はーい。」
私たちはケイちゃんがいるソファに移動した。
「それじゃ、爪切りの説明するね。」
「うん。」
「まずケイを後ろから抱える感じで膝に座ってもらいます。」
「ケイちゃんのお腹見えてかわいい~」
「そしたらまず右前足からやろっか。左手でケイの手を親指と人差し指で上下を摘むように持って軽く押します。そうすると、ほら爪出てきたでしょ?」
「ホントだ。」
「そしたら出てきた爪を切るんだけど、ちょっと爪を横から見て。」
「うん、平たくて尖ってるね。」
「それだけじゃなくて、爪が手の方に近づくと色が変わってるのわかる?」
「あ、ホントだ。赤くなってる。」
「爪切るときに気をつけなきゃならないのはここの赤くなってるところを絶対に切らないようにしなきゃなんだよ。」
「そうなんだ。」
「ここ切っちゃうと血が出るからね。ケイも痛くなっちゃうんだよ。」
「大変だっ!!絶対に切らないっ!!」
「だからこの赤い部分より外側をこうやって切るんだよ。」
『パチンッ』
「切れた、血出てない大丈夫。」
「そしたら爪の形を整えてあげて…これで大丈夫。」
「尖ってる部分なくなった。」
「これを全部の爪でやってあげるの。」
「けっこう大変なんだね。」
「そうね。でも大切なことだからね。」
「うん、がんばる。」
「それにしてもケイ全然暴れたりしないのね。ホントこっちのやってることわかってるんじゃないの?」
「ケイちゃん頭いいし優しいもん。」
「まあ楽でいっか。それじゃ他の爪もやっちゃいましょう。」
「は~い。」
私はお姉ちゃんが爪切りしてるのを見て、次は私がやってあげられるようになるんだって思った。
爪切りはすごく嫌がる子もいるようですので注意が必要です。
数日にわけて少しずつ切って終わったらいっぱい褒めてあげたりと、工夫して猫が嫌にならないようにしてあげてください。
どうしても難しいようなら獣医さんにお願いするのもいいと思います。