41.火の使い方を暴け(リベンジ編)
加筆修正しました(2022/06/11)
誰視点かを追記しました(2022/11/23)
ケイ視点
「おまたせ、ケイちゃん。これでお部屋に出ても安全だよ。」
結はそう言ってケージの扉を開けてくれた。我が閉じ込められ不貞腐れて寝てる間に何かやったようだ。
「にゃ~!(我を閉じ込めるとは不敬者め!!)」
閉じ込めたのは結ではないが、文句の一つも言ってやりたい。
「ごめんね、ケイちゃん狭くてイヤだったよね。でも危ないことやっちゃダメだからね。」
子猫である我が身を案じているのはわかるが、そんなことばかりされると調査が進まん。
(まあ今回は感電の可能性もあったわけだ。この貧弱な身体では何が起こるかわからんからな。)
「にゃ~(今回だけは特別に許そう。)」
動力源を知ることができたという心の余裕がある我は寛大な処置をしたのだった。
結視点
やっとケイちゃんと遊べる!!
ケージを開けるとケイちゃんはゆっくり出てきて私に向かって鳴いた。
(やっぱり閉じ込められてイヤだったよね。)
私はケイちゃんを優しく撫でながら、もっとケイちゃんが暮らしやすい部屋にするんだって思った。
「おっと、ケイと遊ぶのはまだよ。」
私がケイちゃんを抱え上げようとしたらお姉ちゃんに言われた。
「なんで?もう安全だから遊びたいよ。」
朝からずっと我慢してたんだもん。遊びたい!!
「これからケイのおトイレ掃除するんだよ。」
「あ、そっか。ケイちゃんのお部屋いつもキレイにしてあげなきゃだもんね。」
遊びたいけど、ケイちゃんのためならちゃんとやらなきゃ。
「それが終わったら夕飯の手伝いだよ。」
「うぅ、はぁい…」
パパとママにお手伝いするって約束しちゃったもんね。ケイちゃん遊べるのご飯の後になりそう…
「じゃあケイが出てる間にやっちゃおう。まずトイレ出しちゃって。」
「うん。」
私はケージの反対側の扉を開けるとトイレを出した。
「そしたらこのスコップで排泄物だけすくってね。すくえたらゴミ袋に入れちゃって。」
こうやっておトイレの掃除するんだ。
「できたよ。」
「うん、大丈夫だね。あとは底に敷いてあるトイレシートを取り替えてあげればいいんだけど、これは1週間に1回で大丈夫。週末は二人でしっかりとお掃除してあげよっか。」
「わかった。お姉ちゃんありがとう~」
「これは毎日だから交代でやろっか。明日は私がやるから明後日は結ね。」
「うん!」
お姉ちゃんも手伝ってくれて嬉しい。毎日キレイにしてあげないとね。
ケイ視点
ケージを出た我はテレビを見て『なるほど』と思った。
我が調査していたコンセントと呼ばれるものには何やらカバーらしきものが被せられている。
(これ以上コンセントの調査は難しいか…まあ何度も監禁されるのもごめんだが。)
動力源がわかったから大した痛手にはなるまい。あのテレビから出てる線も金属なのはわかった。欲を言えば線の中身を調べたかったが。
(今の我では線を分解することも出来ぬだろうからしょうがないか。)
この貧弱な身体を恨めしく思うが、泣き言を言ってもしょうがない。調査することはいくらでもあるのだ。
(それに分解などしたらまた監禁されるかもしれんしな…)
そんなことを考えていると、朝と同様食べ物の焼けるいい匂いがしてきた。
(これはっ!朝のリベンジチャンスではないか!)
どうやって火を使っているのか、今度こそ見てやるぞっ!!
我は気合いを入れて朝同様椅子に向かった。
(くそっ!やっぱり登れん!爪が引っかかって行けそうなのに!)
身体を伸ばして椅子に巻いてある縄に爪を引っ掛けるが、どうにも登れん。
しばらく椅子と格闘してると、
「あっ、ケイちゃん。椅子で爪といじゃダメだよ!」
今度は結に見つかってしまった。
「にゃー!(爪など研いでおらんっ!)」
我は抗議の声を上げる。
「も〜、ダメだよケイちゃん。爪とぎはこっちなんだから。」
結にひょいっと抱きかかえられてしまった。
「はい、爪とぎはここ。」
結に連れて行かれたのは入口近くに置いてあるオブジェの前だった。
「ここで爪とぐんだよ。」
そう言って結は我の手を持ってオブジェの表面をカリカリさせた。
「にゃー!!(違うっ!そうじゃない!!)」
我は抗議の声を上げる。
「それじゃ、私はお手伝いしてくるから大人しくしててね。」
結は我を置いて行ってしまった。
「にゃにゃー!!(違うと言っておろうがっ!!)」
『ガリガリッ!ガリガリッ!』
我は爪とぎに八つ当たりするしかなかった…
トイレの掃除方法ですが、あくまで一例となります。
正しい利用方法は商品によって異なりますので、必ず取扱書をご確認ください。





