4.黒猫と少女の出会い
加筆修正しました(2022/05/04)
誰視点かを追記しました(2022/11/15)
少女視点
「結ちゃん、またね~」
「うん、バイバ~イ」
私は河川敷で一緒に遊んでた友達とわかれてから、お家に帰る前にちょっと川辺を一人で歩いていた。
夕方のこの時間になると夕日が川に映ってキラキラしててとてもキレイ。
私はそれを見るのが大好きなのだ。
(今日も楽しかった~)
キレイな川を見ながら歩いていると川になんか黒い動物がいるのを見つけた。
「あれ?猫ちゃんかな?」
ちょっと先で川に向かって一生懸命体を伸ばしている子猫がいる。こんなところにいるなんてノラちゃんなのかな?
「はぅ、かわいい~」
ちっちゃい身体で一生懸命なのがたまらなくかわいい!
(お水飲みたいのかな?でも水まで届くのかな?ちょっと危ないな…)
私はちっちゃい身体でがんばってる子猫がとても心配になった。
(あ~、届きそう。でもこれ以上伸ばすと落ちちゃいそう。)
そう思って見ていると、落ちることを考えていないのだろうか、その子猫は限界を超えるように身体を伸ばした。
(これ以上はダメ!!)
これ以上いったら絶対川に落ちちゃう!私は子猫を助けるために走りながら叫んだ。
「猫ちゃん、危ない!!」
子猫は気づいていないのか、そのまま体を伸ばして足を滑らせた。
『ボチャンッ!!』
(大変!あそこらへんは深くなってて猫ちゃんじゃ足が届かない!)
今は川の水量もそんなに多くないし流れも穏やかだけど、私の膝上ぐらいあったはず。
あんな小さな猫ちゃんじゃ泳げるかもわからない。
(急いで助けないと!)
私の悪い予感が当たっちゃったみたい。猫ちゃんは泳ごうとジタバタしてるけど流されていってる。
私はとにかく猫ちゃんが流される方向へと走った。
(大変!絶対助けないとだっ!)
今の時期で良かった。流れが穏やかなおかげで私の足でもすぐ追いつきそう。
でもだんだん猫ちゃんの動きが少なくなってきてる…溺れて水を飲んじゃったのかもしれない。
とにかく急いで、早く猫ちゃんを助けないと。
猫ちゃんに追いついた私は濡れるとかそんなことは一切考えず、猫ちゃんが流されるちょっと先に向かって飛び込んだ。そして流されてきた猫ちゃんを抱き上げた。
「猫ちゃん、大丈夫っ!!」
私は抱き上げた猫ちゃんに必死で呼びかけた。
溺れて体力を使ってしてしまったのか、猫ちゃんはぐったりしている。
(どうしよう、大丈夫かな?)
よく見るとお腹が小さく動いてるのがわかった。どうやら息はちゃんとしてるみたい。
(よかった、間に合った。でも溺れちゃってたからどうしよう…)
呼吸はしているけど目が開いてないから意識があるのかもわからない。
「猫ちゃん、猫ちゃん!!聞こえる?大丈夫?」
私が話しかけると、猫ちゃんの目がうっすらと開いて私を見た。
(あ、ちゃんと意識あるのかな?)
目が開いたからちょっと安心した私はそのまま呼びかける。
「猫ちゃん、よかった。大丈夫?」
しかし猫ちゃんはすぐに目を閉じて意識を失ってしまった。